ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】

ー大江戸学園:南町奉行所ー

結花「それで、私たちが呼ばれたのですか」

想「はい。何か由比さんの本陣を攻撃するのに良いルートなどはありませんでしょうか。出来れば……そうですね、二十名くらいで進めるものなら直良いのですが」

由真「そんなの、地下道を使えばいいじゃない」

地下道……学園創設時に、先だって整備されたというあれか。

核施設の保守点検や、電気・ネット・水などインフラ関係のケーブルを通すのに使用されているらしい。

構造を熟知していれば便利に使えそうだけど。

想「しかし地下道は一般生徒は原則立入禁止。地図も有りませんし、あまり現実的では……」

唯「大丈夫ですよ。ボクたちの剣魂にはそのデータが入ってますから」

想「剣魂に……どうやってあなた方はそれを手に入れたのです?」

唯「それは秘密ですけど!」

堂々断剣されてしまっては、それ以上追及する事も出来ない。

逢岡さんも、今それを知ったところで何も変わらないと判断したようだ。

想「とりあえず了解です。その地下道を使えば、由比さんの本陣へ直接攻撃を仕掛けられるのですか?」

由真「向こうが出口に気づいてなければね。封鎖とか逆に利用されてたりしたらどうにもならないけど」

想「ふむ……ややバクチではありますが、狙う意味はありますね」

悠「他全部を放っておいて、本陣を直接狙うってだけでバクチだな。言いだしたのはおれなんだけど……部の悪い賭けはお嫌いですか?」

想「いいえ、乗りましょう。このまま時間をかけていてはいずれ押し切られてしまいますし。徳田さん、鬼島さんにも協力を要請します。遠山さんにはそのまま守りをお任せしておけばよいでしょう」

由真「私たちは道案内をすればいいのね」

悠「酉居はどうします?こちらの意見など聞いてくれそうにないけど」

想「上手く陽動でもしていただければそれで構いません。……ということです」

悠「……いざ承知」

結花「相変わらず逢岡さんは怖い人ですね」

想「はは……微笑みの奉行なんて呼ばれたことも有りましたが」

結花「いえいえ、有事の際には頼りになる、という意味です」

想「では好意的に受け取っておきましょう。しかし攻撃側がやや不安ですね……あまり大勢では乗りこめないでしょうし、もう数人くらい頼りになる方がいれば万全なのですが」

強い人といえばまず十兵衛さんだけど、師匠は指南役だし、今は執行部にでも入っているはずだ。

他には長谷河も同じだし、シオン……だと鬼島さんと相性が悪いし。

悠「あんまり頼みたくないけど、大神さん、寅、それと久秀、かな……」

想「皆さん、気まぐれですが、腕は確かですね。お金を出して、依頼という形にすれば引きうけてくれるかもしれません。お願いしてよろしいですか?」

悠「うまくいくかはわからないけど、一応は話してみます。ひとりくらいは捕まるでしょう。たぶん……。」

由真「由比さんか……これで終わらせられたら、すぐに再開できるし」

悠「再開?」

由真「こ、こっちのことよ!」



ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「ということになった」

吉音「おぉ~。決戦だねっ」

逢岡さんと相談してきたことを伝えると、吉音は力強く頷いた。

吉音としても乙級の生徒たちと闘うのは最小限にとどめたいという思いがある。

ちなみに由真たちは、地下道見取り図作成やらスケジュール調整のために、奉行所に残っているらしい。

悠「まず簡単には終わらないだろうけど。少しでも状況が変わればというところだ。それで……久秀」

久秀「私の剣魂の制限解除で手を打ってあげるわ。奉行にそれを約束させてきなさい。」

悠「……わかった。「相談」はしてきてやる。」
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