ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー大江戸学園:武家屋敷街外れー
詠美「う……あっ……」
かすれた声を最後に、徳河さんの膝が落ち、身体が前のめりに倒れていく……
悠「徳河さんっ!」
吉音「詠美ちゃんっ!?どうしたの!」
詠美「はぁ……はぁ……はぁ……ぁ…………」
危ういところで抱き留めたものの、徳河さんからの返事はない。ぐったりとて自分で歩くことも出来ない様子だ。
悠「この呼吸に唇の色……チアノーゼが起きかけてる」
刺客A「あそこだ!押さえろ!」
しかし背後からは敵が迫ってくる。徳河さんを置いていけるわけもない。
悠「ちっ、ちょっと我慢しろよ!」
徳河さんの下に自分の身体をいれ、担ぐようにして持ち上げた。
もう逃げ切るのは不可能だ。とにかくどこかの家の中にでも隠れられたら……!
平良「この先は用水路だ!橋を落とせば少しは時間が稼げる。なんとかそこまで!」
身体を投げ出すようにし、一歩目を踏み出した、そのとき。
悠「おおっうわぁぁぁああああっ!?」
吉音「詠美ちゃん!悠ぅーーっ!!」
ー???ー
詠美「ぅ…………?私は……どうして……」
悠「あ、気がついたんだな!よかった……」
詠美「んん……?そうだ、由比さんの手下から逃げて……ここは?」
まだいくらか朦朧とするのか、徳河さんはゆっくり身体を起こしながらも、頭を押さえている。
悠「どうもここは学園の地下のようだ。以前話に聞いた、学園の建設時や保守整備に使われてるっていう作業用通路だな」
詠美「……そのようね。よく入口を見つけることができたわね……」
悠「ああいや、敵から逃げている途中で突然地面が崩れて、そこにできた穴に落ちちゃったんだよ。その先がその通路だったってわけ」
徳河さんは、おれの指さした方向に視線をやり、眉間にしわを寄せた。
落ちてきた場所は瓦礫で埋まってしまい、出ることも入ることも出来ない。その下敷きにならなかっただけでも幸運と見なければ。
詠美「広い学園とはいえ……そんな危険なところがあったなんて、管理が行き届いていないわね……そのためにとりあえず追っ手から時間を稼げているのは、皮肉なことだけど。ここがどこだかわかる?」
悠「いえ……おれ普通の携帯しか持ってなくて、っか今は携帯自体持っていなくて、長谷河や吉音ともはぐれてしまってる」
詠美「そう……タケチヨもまだ応じてくれないわ。いったい何をされたのかしら」
そういえばあれだけいた敵軍でも、誰ひとりとして剣魂を使っていなかった。
なんらかの手段で、あの場に居る生徒の剣魂を使用不能にしたのは間違いなさそうだ。
悠「ジャミング……か。」
詠美「いずれにしても、ここでのんびりしているわけにはいかないわ。……ふたりも心配だし、出口を探しましょう……ぅっ」
悠「まだ歩かない方がいい。呼吸は落ち着いてるが、負担はデカイ」
立ち上がったものの、足下がおぼつかずよろめいたところを支える。
重みはさほどでもなかったが、中腰の不安定な姿勢だったため、のしかかられるような形になってしまった。
詠美「ごめんなさい……この程度で、消耗してしまうなんて」
悠「普段から激務だろうし、心労もあるんだろうるさっきまで長い時間、ずっと走ってたのも……ま、あんまり気にしなくていいから、大人しく背負われてくれ。」
詠美「……この体たらくでは、何を言ってもむなしいだけね。」
さすがの徳河さんも、今度は抵抗することなく、おれにおぶさってくれた。背中に温かみと……柔らかさが広がる。
あれだけ駆けまわり、刀を振りまわした後だというのら、徳河さんからは甘い香りがする。
おれの身体は……考えないようにしよう。
詠美「う……あっ……」
かすれた声を最後に、徳河さんの膝が落ち、身体が前のめりに倒れていく……
悠「徳河さんっ!」
吉音「詠美ちゃんっ!?どうしたの!」
詠美「はぁ……はぁ……はぁ……ぁ…………」
危ういところで抱き留めたものの、徳河さんからの返事はない。ぐったりとて自分で歩くことも出来ない様子だ。
悠「この呼吸に唇の色……チアノーゼが起きかけてる」
刺客A「あそこだ!押さえろ!」
しかし背後からは敵が迫ってくる。徳河さんを置いていけるわけもない。
悠「ちっ、ちょっと我慢しろよ!」
徳河さんの下に自分の身体をいれ、担ぐようにして持ち上げた。
もう逃げ切るのは不可能だ。とにかくどこかの家の中にでも隠れられたら……!
平良「この先は用水路だ!橋を落とせば少しは時間が稼げる。なんとかそこまで!」
身体を投げ出すようにし、一歩目を踏み出した、そのとき。
悠「おおっうわぁぁぁああああっ!?」
吉音「詠美ちゃん!悠ぅーーっ!!」
ー???ー
詠美「ぅ…………?私は……どうして……」
悠「あ、気がついたんだな!よかった……」
詠美「んん……?そうだ、由比さんの手下から逃げて……ここは?」
まだいくらか朦朧とするのか、徳河さんはゆっくり身体を起こしながらも、頭を押さえている。
悠「どうもここは学園の地下のようだ。以前話に聞いた、学園の建設時や保守整備に使われてるっていう作業用通路だな」
詠美「……そのようね。よく入口を見つけることができたわね……」
悠「ああいや、敵から逃げている途中で突然地面が崩れて、そこにできた穴に落ちちゃったんだよ。その先がその通路だったってわけ」
徳河さんは、おれの指さした方向に視線をやり、眉間にしわを寄せた。
落ちてきた場所は瓦礫で埋まってしまい、出ることも入ることも出来ない。その下敷きにならなかっただけでも幸運と見なければ。
詠美「広い学園とはいえ……そんな危険なところがあったなんて、管理が行き届いていないわね……そのためにとりあえず追っ手から時間を稼げているのは、皮肉なことだけど。ここがどこだかわかる?」
悠「いえ……おれ普通の携帯しか持ってなくて、っか今は携帯自体持っていなくて、長谷河や吉音ともはぐれてしまってる」
詠美「そう……タケチヨもまだ応じてくれないわ。いったい何をされたのかしら」
そういえばあれだけいた敵軍でも、誰ひとりとして剣魂を使っていなかった。
なんらかの手段で、あの場に居る生徒の剣魂を使用不能にしたのは間違いなさそうだ。
悠「ジャミング……か。」
詠美「いずれにしても、ここでのんびりしているわけにはいかないわ。……ふたりも心配だし、出口を探しましょう……ぅっ」
悠「まだ歩かない方がいい。呼吸は落ち着いてるが、負担はデカイ」
立ち上がったものの、足下がおぼつかずよろめいたところを支える。
重みはさほどでもなかったが、中腰の不安定な姿勢だったため、のしかかられるような形になってしまった。
詠美「ごめんなさい……この程度で、消耗してしまうなんて」
悠「普段から激務だろうし、心労もあるんだろうるさっきまで長い時間、ずっと走ってたのも……ま、あんまり気にしなくていいから、大人しく背負われてくれ。」
詠美「……この体たらくでは、何を言ってもむなしいだけね。」
さすがの徳河さんも、今度は抵抗することなく、おれにおぶさってくれた。背中に温かみと……柔らかさが広がる。
あれだけ駆けまわり、刀を振りまわした後だというのら、徳河さんからは甘い香りがする。
おれの身体は……考えないようにしよう。