ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー大江戸学園:武家屋敷街外れー
吉音「あっ、いたー!詠美ちゃーん!」
悠「お?」
突然駆けだした吉音の先には、お目当ての徳河さん、それに長谷河さんの姿があった。
吉音とマゴベエのいうとおり、確かにここで間違いなかったらしい。
向こう側もひとりじゃなかったのは少し意外だったけど。
吉音「遅くなってごめんね詠美ちゃん。今日は、ありがとっ!」
詠美「……あなたのことだもの。遅れてくることがむしろ当たり前のように感じられるわ」
吉音「えへへ。でも待っててくれて良かった~♪」
悠「長谷河も来たんだな」
平良「お前こそ。まぁ取り越し苦労なら良いが」
……ん?
吉音「久しぶりだよね、ちゃんとお話しできるの。詠美ちゃん、なんだかずっと怒ってるみたいだったから」
詠美「今も機嫌がいいわけではないわ。ただあなたが何を言うのか、聞いてから考えてもいいと思っただけよ」
吉音「あたしはなんにも変ってないよ、詠美ちゃん」
詠美「私がそれで喜ぶとでも?私は以前とはまったく違うわよ」
吉音「それでも詠美ちゃんが詠美ちゃんのところは、きっと残ってるよ」
詠美「……あなたはそんなくだらない問答をするために来たの?とりあえず立ち話をするより、あなたのとっておきというお店に案内していただけないかしら」
吉音「え?詠美ちゃんが案内してくれるんじゃないの?」
詠美「どうして呼ばれた側の私が知っているのよ。あれだけ自慢していたじゃない」
吉音「あ……あれれ?うん?」
悠「ちょっと、すまん。その自慢っていうのは?」
詠美「ものすごく美味しいお店を見つけた。それに私と話したいこともあるから、一緒にどうか……手紙ではそんな内容だったわ」
悠「手紙……」
なんだこの違和感。背筋に汗が浮かぶ。
吉音「違うよぉ。これから一緒に頑張っていきたいから、その前に一度あっておこうって書いてあったよ」
平良「……一応確認させてもらいたいが、その手紙はどちらが書いて、どちらへ出した」
吉音「詠美ちゃんが書いたんじゃないの?あたしの家に届いてたよ」
詠美「私のところへは、差し出し人があなたになった手紙が届いたわ。念のために言うけれど、私はあなたへ手紙なんて書いてない」
吉音「あ……あれあれ?久しぶりに詠美ちゃんが誘ってくれたんじゃないの?その、仲直りー……とか」
詠美「どうして私がそんなことをもちかけなければならないの。アナタの方からどうしてもと訴えるから、こうしてやって来たのよ」
雲行きが怪しい。二人の言葉は完全に食い違い、何一つ一致しない……。
平良「……悠、お前はどうしてそんな場所にくっついてきた」
悠「それは、少し不審な点を感じて……逢岡さんからも警戒しておくようにと……」
平良「奇遇だな、私もほぼ同じ理由だ。そしてそれは正解だったようだ」
悠「この手紙は、どちらも出した覚えがない。ということは」
詠美「……まんまと、嵌められたか」
吉音「え?え?どういうこと?これから一緒にご飯じゃないの?」
詠美「その話しはまたあとよ……。すぐに刀を抜きなさい。どこから来るかわからないわよ。いえもう既に、全方位を囲まれて……」
闇に包まれた道の向こうで、いくつもの銀光が林のように並んでいる。
おれ達を中心として、全ての道を塞ぐように。
悠「待ち伏せか……ここはねずみ取りの罠だったわけだな」
押し寄せる剣気がチクチクと肌を刺激してくる。
吉音「あっ、いたー!詠美ちゃーん!」
悠「お?」
突然駆けだした吉音の先には、お目当ての徳河さん、それに長谷河さんの姿があった。
吉音とマゴベエのいうとおり、確かにここで間違いなかったらしい。
向こう側もひとりじゃなかったのは少し意外だったけど。
吉音「遅くなってごめんね詠美ちゃん。今日は、ありがとっ!」
詠美「……あなたのことだもの。遅れてくることがむしろ当たり前のように感じられるわ」
吉音「えへへ。でも待っててくれて良かった~♪」
悠「長谷河も来たんだな」
平良「お前こそ。まぁ取り越し苦労なら良いが」
……ん?
吉音「久しぶりだよね、ちゃんとお話しできるの。詠美ちゃん、なんだかずっと怒ってるみたいだったから」
詠美「今も機嫌がいいわけではないわ。ただあなたが何を言うのか、聞いてから考えてもいいと思っただけよ」
吉音「あたしはなんにも変ってないよ、詠美ちゃん」
詠美「私がそれで喜ぶとでも?私は以前とはまったく違うわよ」
吉音「それでも詠美ちゃんが詠美ちゃんのところは、きっと残ってるよ」
詠美「……あなたはそんなくだらない問答をするために来たの?とりあえず立ち話をするより、あなたのとっておきというお店に案内していただけないかしら」
吉音「え?詠美ちゃんが案内してくれるんじゃないの?」
詠美「どうして呼ばれた側の私が知っているのよ。あれだけ自慢していたじゃない」
吉音「あ……あれれ?うん?」
悠「ちょっと、すまん。その自慢っていうのは?」
詠美「ものすごく美味しいお店を見つけた。それに私と話したいこともあるから、一緒にどうか……手紙ではそんな内容だったわ」
悠「手紙……」
なんだこの違和感。背筋に汗が浮かぶ。
吉音「違うよぉ。これから一緒に頑張っていきたいから、その前に一度あっておこうって書いてあったよ」
平良「……一応確認させてもらいたいが、その手紙はどちらが書いて、どちらへ出した」
吉音「詠美ちゃんが書いたんじゃないの?あたしの家に届いてたよ」
詠美「私のところへは、差し出し人があなたになった手紙が届いたわ。念のために言うけれど、私はあなたへ手紙なんて書いてない」
吉音「あ……あれあれ?久しぶりに詠美ちゃんが誘ってくれたんじゃないの?その、仲直りー……とか」
詠美「どうして私がそんなことをもちかけなければならないの。アナタの方からどうしてもと訴えるから、こうしてやって来たのよ」
雲行きが怪しい。二人の言葉は完全に食い違い、何一つ一致しない……。
平良「……悠、お前はどうしてそんな場所にくっついてきた」
悠「それは、少し不審な点を感じて……逢岡さんからも警戒しておくようにと……」
平良「奇遇だな、私もほぼ同じ理由だ。そしてそれは正解だったようだ」
悠「この手紙は、どちらも出した覚えがない。ということは」
詠美「……まんまと、嵌められたか」
吉音「え?え?どういうこと?これから一緒にご飯じゃないの?」
詠美「その話しはまたあとよ……。すぐに刀を抜きなさい。どこから来るかわからないわよ。いえもう既に、全方位を囲まれて……」
闇に包まれた道の向こうで、いくつもの銀光が林のように並んでいる。
おれ達を中心として、全ての道を塞ぐように。
悠「待ち伏せか……ここはねずみ取りの罠だったわけだな」
押し寄せる剣気がチクチクと肌を刺激してくる。