ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
由比さんの全国放送での決起宣言から数日。
由比さんの軍と幕府との小競り合いは学園のいたるところで続いている。
学園には殺伐とした雰囲気が広がり、不安の声を上げる生徒も日に日に増え始めていた。
先の事は分からないが、これほどの騒動が静かに幕を閉じるはずもない。
じきに始まる大きな戦いに備え、覚悟だけはしっかりとしておこう。
悠「ん?こんな時間に誰だ?」
店の方から聞こえてきたノックに目を開く。
吉音ならノックなんかせずにあがってくるはずだし……。
立て続けのノックに、立ち上がる。
戸を開けるとそこには思わぬ人物が立っていた。
鼎「こんばんは、小鳥遊さん」
悠「飛鳥……先生?こんばんわ。こんな時間にどうかしましたか?」
意外な来訪者におれは戸惑い気味に挨拶を返した。
月明かりの下、いつものように柔和な笑みを浮かべる飛鳥先生。
しかし、その笑顔にはどこか無理をしているような陰りが見え隠れしている。
鼎「え~っと、ですね、その……」
先生がもごもごと何かつぶやこうとする。普段からぼんやりとした話し方をする人だけど、なんかいつもとは雰囲気が違うっていうか……。
悠「先生?」
鼎「ううぅ~」
もじもじと先生が身体を揺らすたびに、豊満な胸も形を変える。
相変わらずデケェ……。いけないとは分かっていてもついつい視線が……。
悠「ふーむ……」
鼎「あのぉ……小鳥遊さん?」
悠「いえいえ、なんでもないっすよ。とりあえず、立ち話もなんですからあがってください」
わざわざこんな時間に来たからには、それなりの理由が有るはずだ。
鼎「あっ、はい」
~~
湯呑みを両手で持って飛鳥先生が大きく息を着く。
部屋に通してすぐはおどおどしていた先生だが、熱いお茶を飲み干すころにはだいぶ落ち着きを取り戻していた。
悠「少しは落ち着きましたか?」
鼎「ええ。ごめんなさい……教師が生徒の小鳥遊さんに気遣いをさせてしまって」
悠「気にしないでください。それより、おれに何か用だったんですか?」
おれの問いかけに、先生の表情が今まで見たこと無いほど真剣に引き締まる。
その表情に思わずおれも背筋をピンと伸ばしてしまう。
鼎「実は、小鳥遊さんにお願いがあってきました。」
悠「お願い、ですか?」
机に湯呑みを置くと、畳みを這うようにして先生はおれの側に近付いてきた。
至近距離から覗きこんだ先生の瞳には決意の光が宿っていた。
鼎「ええ、先生に力を貸してください、小鳥遊さん!」
いや、意気込みだけは伝わるんだけど、結論だけ先に伝えられても……。
悠「えーと……とりあえず順を追って説明して欲しいんですけど……」
鼎「あうう、そうですよね。先生ったら動転してしまって……」
いくら真剣な顔をしててもやはり中身は飛鳥先生か。
どこか間の抜けた会話に思わずため息が漏れそうになってしまう。
それにしても、先生の顔がやたら近い……。それに何か甘い香りがする。
悠「おれの力って言われても……」
気まずさに視線だけ先生の方に残しつつ顔を逸らした。
けれど先生はおれの動きに合わせるように後を追いながら話を続ける。
由比さんの全国放送での決起宣言から数日。
由比さんの軍と幕府との小競り合いは学園のいたるところで続いている。
学園には殺伐とした雰囲気が広がり、不安の声を上げる生徒も日に日に増え始めていた。
先の事は分からないが、これほどの騒動が静かに幕を閉じるはずもない。
じきに始まる大きな戦いに備え、覚悟だけはしっかりとしておこう。
悠「ん?こんな時間に誰だ?」
店の方から聞こえてきたノックに目を開く。
吉音ならノックなんかせずにあがってくるはずだし……。
立て続けのノックに、立ち上がる。
戸を開けるとそこには思わぬ人物が立っていた。
鼎「こんばんは、小鳥遊さん」
悠「飛鳥……先生?こんばんわ。こんな時間にどうかしましたか?」
意外な来訪者におれは戸惑い気味に挨拶を返した。
月明かりの下、いつものように柔和な笑みを浮かべる飛鳥先生。
しかし、その笑顔にはどこか無理をしているような陰りが見え隠れしている。
鼎「え~っと、ですね、その……」
先生がもごもごと何かつぶやこうとする。普段からぼんやりとした話し方をする人だけど、なんかいつもとは雰囲気が違うっていうか……。
悠「先生?」
鼎「ううぅ~」
もじもじと先生が身体を揺らすたびに、豊満な胸も形を変える。
相変わらずデケェ……。いけないとは分かっていてもついつい視線が……。
悠「ふーむ……」
鼎「あのぉ……小鳥遊さん?」
悠「いえいえ、なんでもないっすよ。とりあえず、立ち話もなんですからあがってください」
わざわざこんな時間に来たからには、それなりの理由が有るはずだ。
鼎「あっ、はい」
~~
湯呑みを両手で持って飛鳥先生が大きく息を着く。
部屋に通してすぐはおどおどしていた先生だが、熱いお茶を飲み干すころにはだいぶ落ち着きを取り戻していた。
悠「少しは落ち着きましたか?」
鼎「ええ。ごめんなさい……教師が生徒の小鳥遊さんに気遣いをさせてしまって」
悠「気にしないでください。それより、おれに何か用だったんですか?」
おれの問いかけに、先生の表情が今まで見たこと無いほど真剣に引き締まる。
その表情に思わずおれも背筋をピンと伸ばしてしまう。
鼎「実は、小鳥遊さんにお願いがあってきました。」
悠「お願い、ですか?」
机に湯呑みを置くと、畳みを這うようにして先生はおれの側に近付いてきた。
至近距離から覗きこんだ先生の瞳には決意の光が宿っていた。
鼎「ええ、先生に力を貸してください、小鳥遊さん!」
いや、意気込みだけは伝わるんだけど、結論だけ先に伝えられても……。
悠「えーと……とりあえず順を追って説明して欲しいんですけど……」
鼎「あうう、そうですよね。先生ったら動転してしまって……」
いくら真剣な顔をしててもやはり中身は飛鳥先生か。
どこか間の抜けた会話に思わずため息が漏れそうになってしまう。
それにしても、先生の顔がやたら近い……。それに何か甘い香りがする。
悠「おれの力って言われても……」
気まずさに視線だけ先生の方に残しつつ顔を逸らした。
けれど先生はおれの動きに合わせるように後を追いながら話を続ける。