ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】

ー大江戸学園:船着き場ー

???「援軍を呼ばせるな!一気に制圧するんだ!」

「一歩遅かったな。やらせん!」

ズバッ!
???「ぐわぁあっ!」

平良「火付盗賊改め方だ!大人しく刀を納めろ!」

男子生徒A「おお!鬼平様!」

???「火盗……はやいな」

???「だからといって、ひるむものかっ!」

平良「ならばその身に分からせてやろう。」

スバッ!
???「あぐっ……ぇっ?」

???「くぅ!さすがに強いな!怪我人を回収して撤退だ!急げ!」

平良「むぅ?なんだと……」

火盗役人「見事な引き際ですね」

平良「ああ。あれは最初からそういう指示を受けていたな。同時に多方面に展開している、ともいっていた。ヤツらの上には強い統率力をもったリーダーがいるらしい」

火盗役人「今度は武力での闘争ですか。なかなか落ち着きませんね、学園も」

平良「革命……か」




ー???ー

???「報告します。多方面同時奇襲はおおむね成功。それぞれの拠点の制圧も完了です。ただ港だけは、長谷河平良の火盗が現れたとのことで、奪取に失敗してしまいました。」

雪那「ふむ……予定通りとはいえませんが、許容範囲ではありますね。問題ありません。このまま強行します。いよいよ我々も、表舞台に立つ時が来ました。学園を、徳河の専横から私たちの手に取り戻すのです!」





ー大江戸学園:執行部室ー

酉居「橋に……番屋に……食料の貯蔵庫だと……」

平良「防衛には成功したものの、港も襲われた。同じ組織と見て間違いないだろう」

詠美「狙いを変えてきた?それともこれまでの暴動とは別の集団なの?」

平良「それはまだ判然としないが、ひとつ気がかりなことがある。どの部隊も、リーダーが乙級の生徒らしいと報告が入っている。私が対した港でもそうだった」

詠美「乙級……?下級生たちがこれだけの組織だった行動をとれるものかしら……」

平良「おそらくは裏に強力な指導者がついているんだろうな」

酉居「そんなものどうでもいい。学園の施設を占拠するとは、これは立派な反逆行為だ。長谷河、今すぐ火盗に出動の準備をさせろ。奴らを叩き潰しに行く!」

平良「了解。だが奴らは複数方面に展開しているぞ。私達だけでは手が足りない可能性がある。」

酉居「ならば町方にも出動させれば良い話だろう。いくら反抗的な遠山といえど、この状況を見ては……」

詠美「待って。放送を通じてなにか声明が出されているわ」

酉居「声明だと?」

雪那『私は由比雪那。敵対する方々の視線からいえば、このところの役人襲撃事件の首謀者という事になります。しかしそれは光ある学園の未来のために必要な行為。なにひとつ恥じることなどありません。この大江戸学園には、自由と実力主義が、その理念にあげられています。しかし現実はどうでしょうか?実家の格によって入学前からヒウラルキーは決定され、上層と下層の間には大きな隔たりがあります。特に将軍などは徳河家かそれに近しい者が独占し、その他要職もほぼ家名のみで決定されているような状態です。これが正しい学園の姿でしょうか?コレで本当に理念の実現が可能なのでしょうか?断言しましょう。そんなことはあり得ません。これまでの学園の乱れようがそれを明らかにしています。このまま指を咥えて見ていることなどできません。よって私たちは立ち上がることにしまた。もう皆様お気づきでしょうが、我々は学園施設の一部の解放に成功しています。これより私たちは、幕府を打ち倒し、学園の皆様の手へと取り戻すことを誓います!』

酉居「由比雪那だと……ということはあのチビどもはその門下生というわけか」

詠美「なるほど、統率がとれているわけね。彼女は勉強を教えると同時に、自分の思想を吹き込み、洗脳していたんだわ。いえ、頭のいい彼女の事だから、決起のための兵士を作る目的で、私塾を開いていたのかもしれないわね。」

酉居「……だから、そんなことはどうでもいい。だが我々をコケにし、あえて秩序を乱す行為は許せん。叩き潰し、今後の見せしめにしてくれる!くだらん理論を振りかざしたところで、こちらが易々と態度を変えると思うなよ!」
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