ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

輝「なんだよお、珍しく目安箱に頼ろうかなっておもったのにさ」

吉音「ごめんね、てる……」

想「すみません……力が足りないばかりに」

輝「……いや。いいよ。新ちゃん達は悪くないって」

悠「……」

しばらく、落ち込んだ空気に包まれる。

輝「よし!」

悠「なんだ突然?」

輝「いや、向こうがその気ならこっちにも考えがあるってことさ。つまんない圧力に屈するもんか!」

想「まさか、禁を破る気ですか?」

輝「へへ、禁止されたのは往来で売りさばくことさ。そんなことしなくても売る方法はいくらでもあるさね。おいらはそもそもアングラペーパー!なら逆にチャンスってこと!よし!俄然盛り上がって来たぁ!!」

人一倍空気が読めないからこそかもしれないその元気が、なぜかおれ達にも伝わってくる。

悠「輝……そんなことしなくても、酉居のところに行って雇ってもらえばいいんじゃないか?」

輝「やだよ。そんなの」

さっきまであんなに怒ったり落ち込んでたりしたのに、そこだけははっきりと断る輝。

悠「なんでなんだ?」

輝「つまんないから」

悠「……」

シンプルな答え。

輝「おいらは、瓦版作るのが面白いから作ってるのさ。それを見て喜ぶ人たちもいるし、怒る人たちも居るのはよくしってるけど、発明も同じさ。人の心を動かして、そこが面白いんじゃないのさ、どうせ生きてて同じ時間を過ごすなら、面白い方がいいじゃない」

悠「……」

おれ達は、輝の言葉に聞き入っていた。

輝「楽しいことは待ってても来ないし、欲しいものだって作らなきゃないしさ。だから、動き続ければ良いんだよ」

悠「…………」

輝がそうやって自分の考えを言うなんて、初めて聞いた気がする。

輝「悠ちゃんも新ちゃんも、そういう気持ちで目安箱やってるんだろ?」

吉音「目安箱をやってた、気持ち……」

輝「まあ、なんていうか……おいらにとっては、発明と瓦版屋やってるときが、一番生きてるってコトなのさ!」

想「そうですか……」

吉音「てるも、いろいろ考えてるんだね。」

2人も、なにか感じ入るところがあったみたいだ。

そう、目安箱が一時的に無くなったとしても、おれ達はおれ達にできる世直しをやっていけばいいんだ。

その事を、輝は自覚させてくれた。

悠「まあ、気持ちはわかるけどさ。あまり無茶はしてくれるなよ?」

輝「うーん、それは約束できないなぁ。面白ければなんとかなるよ」

想「やり過ぎて私に捕縛させないでくださいよ。」

輝「あはは、そんときゃ逃げるから大丈夫さ!」

でもやっぱり、輝は輝だった。




~~

ー大江戸学園:日本橋ー

???「三……」


~~


ー大江戸学園:番所ー

???「ニ……」


~~


ー大江戸学園:役人屋敷ー

???「一……」


~~

ー大江戸学園:船着き場ー

???「うおおおおおっ!」

男子生徒A「おおっ!?な、なんだっ!?」

???「この場所は俺たちが制圧する!ケガをしたくなかったらとっとと消えろ!」

男子生徒A「まさかお前ら、あの襲撃犯か?こんどはこっちを狙ってきたか!」

???「ここだけじゃないぞ、学園の色んなところで同時に仲間が戦ってる!」

???「学園は俺たちの手で、未来に向かって作りなおされるんだ!」

男子生徒A「うわっ!な、何をいっているんだおまえたちは?」

???「血の入れ替えだ!革命を起こすんだ!」

男子生徒B「こ、こいつらどこかおかしいぞ!ただの暴漢じゃないのか?」

男子生徒A「まずい、こっちはほぼ無警戒だった……手が足りない!」
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