ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】

ー???ー

???「ほう……それで臨時の船を」

五人組:壱「はい。早急に再度体勢を整えたく思いまして」

五人組:弐「既に目録はできています。しかし奉行連中を通していると、また面倒なことに……」

???「ふむ。それはよくわかった。しかしのぅ……外に発注し、船一隻を呼び寄せ、秘密裏に港に入れる。これはいくらわしでも、そう簡単にできることではないのだよ。わかっておるかね?」

五人組:参「そ、それはもちろんです。これまでにも便宜を図っていただいていますし……」

???「では先立つモノが必要だということも、わかっておろうな?」

五人組:肆「もちろんです。ここに用意してきました」

???「ほほう……これはなかなか……見事な輝きじゃのう」

五人組:伍「この件で実弾だけは手に入りましたからね。」

五人組:壱「よろしくお願いしますよ……瑞野校長」

瑞野「ぐふふふ。任せておけ。わしを誰だと思って居るのじゃ」




ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

輝「号外ー!号外だよー!今学園を騒がせている五人組。それと瑞野校長が結託していたよー!五人組は、校長に賄賂を送って、船を呼んだれいろんな権利取得に口利きをしてもらってたんだよ!」

悠「あの肉ダルマが五人組の後ろ盾だったのか……」

もしかして光姫さんがいっていたのはコレのことなのか?

輝「ネットには動画にもアップされてるよ。間違いなく本当の情報だからね」

悠「すごいな、輝。どうやってこれを突きとめたんだ?最初から校長が怪しいと踏んでたのか?」

輝「いんやぁ、実はお恥ずかしいことにタレコミがあったんだよね。どうやったんだかわかんないんだけど、最初から最後までキッチリ撮った動画があってさ。それを宣伝してくれって言われて」

悠「……」

あの言葉をそのまま解釈するなら、光姫さんが何か手を打っておいたとしか思えない。…………銀次だろうな。

輝「フツーは自分でやれよって追い返すとこなんだけど、ネタがネタだったからねぇ」

やや苦い顔をして語る輝。

もしこれが輝の捏造か飛ばしだったら、もっと大手柄として、嬉々として喧伝しているだろう。

ガセだと思ったらそもそも号外なんて作らないだろうし、少なくとも輝は本当だと信じているんだな。

悠「……」

輝「でも今はすごい校長批判が飛び交ってるよ。光姫様のお陰で、皆の生活にちょっとだけ余裕があったことも、後押ししてるね。」

悠「そうか……暴挙を起こすほどには最悪の状況ではなく、かといって立ち上がれるほどの余裕もない。五人組は絶妙な加減を維持していたんだな」

輝「そんなとこだろうね」

悠「わかった。ありがとよ。おれは新や鬼島さんを呼んで、逢岡さんの所へいってくる!」

輝「はーい。いろいろ頑張ってねん」




ー大江戸学園:南町奉行所ー

改めて南町奉行所に集められたおれたちを、逢岡さんがゆっくりと見渡す。

そして軽く頷いてから、口が開かれた。

想「瑞野校長は、五人組の屋敷へ逃げ込んだとの情報が入っています。これまで表に出てくる事がなかった彼らですが、動画にある証拠だけで押し込むことが可能でしょう。瑞野が逃げ込んだことも、こちらにとっては好都合です」

珍しく逢岡さんが、他人を呼び捨てにした。表情も口調も普段通り淡々としているが、内心熱い思いが渦巻いているのかもしれない。

桃子「良し!それじゃあさっそくとっ捕まえにいこうぜ!」

悠「ああ。ぐずぐずしていたら最悪島の外に逃げられるかもしれないし」

想「五人組の方は問題ないのですが、厄介なのは瑞野の方でして……」

吉音「大丈夫だよ!校長先生はでっかいからドアに挟まるよ!」

想「……そういう意味ではなくてですね。私たち町奉行や火盗らの権限は、あくまで生徒相手のものでしかないのです。教師ら職員に対しては、私たちが何かをすることはできないのです。理事会にでも訴えかけることができれば、また話しは変わりますが」

吉音「理事会……」

桃子「チッ、めんどくせえなぁ……」
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