ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー大江戸学園:大江戸城ー
酉居「なんということをしてくれたんですか、水都さん」
光姫「貧しい生徒に、食料品や日常品を分けてやったのじゃよ」
酉居「しかしそれに使用したのは、執行部の公金ではないです!この巨大な出費をどこで挽回するつもりですか?これではいざというときに動くことができない!」
光姫「わしは今こそが、そのイザというときじゃと考えたのじゃがな」
酉居「百歩譲ってそうだとしても、誰の断りも無しに、勝手に動かすとはどういう事ですか?執行部はあなたの私物ではない!」
光姫「やれやれ、その言葉そっくり返したいものじゃが」
酉居「そもそも、生活がしていけなくなった者は、借金するなり退学するなりするのがこの学園のあり様だ。今までしつこく理念リネンと唱え続けてきたアナタが破るとは、いったいどういう了見か!」
光姫「そういきり立たずとも分かっておる。だから抵抗なくここにおるのではないか。わしは公金を横領した。それだけじゃ」
詠美「そうね。他をどういい繕っても、その点だけは免れない。光姫さんには副将軍から降りていただき、謹慎をお願いするほかないわ……」
酉居「フン、当然だ」
光姫「よかろう。わしもその程度の覚悟はできておる。ではな。おぬしらも精々、学園を食い物にされぬよう心する事じゃ」
酉居「言われずとも……!」
詠美「…………(これで、私たちは悪役を演じることになった。この件で動くことはできない……今だけは、あなたにお願いする事にするわ)」
~~
桃子「光姫が解任された、だとぉ!?」
~~
朱金「莫大な公金を横領し、私的に浪費した……あの水都のお嬢がか?信じられねぇな……」
~~
久秀「そう……そう動いたの。まったく飛んだ劇薬を使ったわねぇ。水都光姫」
~~
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「やっぱり、あの分配した物資はそういうことだったんだな」
想「執行部内の強力な後ろ盾を失ってしまいました。これは大きな痛手ですね。皆の生活も限界に来ていた……これは仕方のないことなのかもしれませんが」
吉音「お腹をすかせていたみんなに、ご飯を買って上げたんでしょ?どうしてそれがいけないの?」
想「正確にはそれを勝手にしてしまったことが責められてるのですが……。いずれにせよ本来の学園からすれば、褒められた事ではありませんしね」
吉音「でも、しなきゃダメだったんじゃない……」
吉音も逢岡さんも、複雑な表情をしている。
おれだって納得できてはいない。手段は良くなかったかもしれないが、必要なことだったはずだ……。
しかし同時に、光姫さんに言われたことも頭に蘇る。これは本当の解決にはならない。皆が潤ったこの数日のあいだに、勝負を決めなくては。
この次に起ることとは、一体何なんだろう……。
ー大江戸学園:城前広場ー
悠「徳河さん!長谷河!」
詠美「……悠。どうしたのかしら、こんなところで」
悠「もちろん徳河さんたちを待っていたにきまっているじゃないですか」
ここに腰を据えてからどれだけたっただろう。ようやく徳河さんと長谷河が、顔を見せた。
そろってどこかへ行っていたのだろうか?見たことある光景なのに、それさえもなにか疑わしく思えてしまう。
詠美「それで?」
悠「光姫さんを処罰しなければならないのはわかります。でもどうして隠居までが必要なんですか?あれは五人組を止めるために必要なことだったし、事実役に立ったじゃないですか。徳河さんならその裁量で、もっと軽い裁き方にできたはずなのに。」
このふたりが、望んで光姫さんを隠居に追い込むはずがない。何らかの意図を持ってした……そう合って欲しい。
なのに徳河さんから帰って来た答えは、寒々しく論理的なものだった。
酉居「なんということをしてくれたんですか、水都さん」
光姫「貧しい生徒に、食料品や日常品を分けてやったのじゃよ」
酉居「しかしそれに使用したのは、執行部の公金ではないです!この巨大な出費をどこで挽回するつもりですか?これではいざというときに動くことができない!」
光姫「わしは今こそが、そのイザというときじゃと考えたのじゃがな」
酉居「百歩譲ってそうだとしても、誰の断りも無しに、勝手に動かすとはどういう事ですか?執行部はあなたの私物ではない!」
光姫「やれやれ、その言葉そっくり返したいものじゃが」
酉居「そもそも、生活がしていけなくなった者は、借金するなり退学するなりするのがこの学園のあり様だ。今までしつこく理念リネンと唱え続けてきたアナタが破るとは、いったいどういう了見か!」
光姫「そういきり立たずとも分かっておる。だから抵抗なくここにおるのではないか。わしは公金を横領した。それだけじゃ」
詠美「そうね。他をどういい繕っても、その点だけは免れない。光姫さんには副将軍から降りていただき、謹慎をお願いするほかないわ……」
酉居「フン、当然だ」
光姫「よかろう。わしもその程度の覚悟はできておる。ではな。おぬしらも精々、学園を食い物にされぬよう心する事じゃ」
酉居「言われずとも……!」
詠美「…………(これで、私たちは悪役を演じることになった。この件で動くことはできない……今だけは、あなたにお願いする事にするわ)」
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桃子「光姫が解任された、だとぉ!?」
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朱金「莫大な公金を横領し、私的に浪費した……あの水都のお嬢がか?信じられねぇな……」
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久秀「そう……そう動いたの。まったく飛んだ劇薬を使ったわねぇ。水都光姫」
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ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「やっぱり、あの分配した物資はそういうことだったんだな」
想「執行部内の強力な後ろ盾を失ってしまいました。これは大きな痛手ですね。皆の生活も限界に来ていた……これは仕方のないことなのかもしれませんが」
吉音「お腹をすかせていたみんなに、ご飯を買って上げたんでしょ?どうしてそれがいけないの?」
想「正確にはそれを勝手にしてしまったことが責められてるのですが……。いずれにせよ本来の学園からすれば、褒められた事ではありませんしね」
吉音「でも、しなきゃダメだったんじゃない……」
吉音も逢岡さんも、複雑な表情をしている。
おれだって納得できてはいない。手段は良くなかったかもしれないが、必要なことだったはずだ……。
しかし同時に、光姫さんに言われたことも頭に蘇る。これは本当の解決にはならない。皆が潤ったこの数日のあいだに、勝負を決めなくては。
この次に起ることとは、一体何なんだろう……。
ー大江戸学園:城前広場ー
悠「徳河さん!長谷河!」
詠美「……悠。どうしたのかしら、こんなところで」
悠「もちろん徳河さんたちを待っていたにきまっているじゃないですか」
ここに腰を据えてからどれだけたっただろう。ようやく徳河さんと長谷河が、顔を見せた。
そろってどこかへ行っていたのだろうか?見たことある光景なのに、それさえもなにか疑わしく思えてしまう。
詠美「それで?」
悠「光姫さんを処罰しなければならないのはわかります。でもどうして隠居までが必要なんですか?あれは五人組を止めるために必要なことだったし、事実役に立ったじゃないですか。徳河さんならその裁量で、もっと軽い裁き方にできたはずなのに。」
このふたりが、望んで光姫さんを隠居に追い込むはずがない。何らかの意図を持ってした……そう合って欲しい。
なのに徳河さんから帰って来た答えは、寒々しく論理的なものだった。