ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー大江戸学園:大通りー
銀次「あっけないもんだな、お嬢。五人組の麾下といえどこの程度か」
光姫「いや当たり前の商人であれば、皆ああするじゃろうよ。本来の彼らはあくまで一商人であり、経済支配など企んではおらん。敵を履き違えてはいかんよ」
銀次「なるほど。頭さえ潰せばあとはなんとでも、か」
光姫「一時的にではあるが、五人組は力を失う。その際に奴らが泣きつく相手こそ、真の黒幕じゃ。それを見逃すでないぞ」
銀次「合点だ。そこは本職の実力を見てもらうぜ」
光姫「うむ。頼りにしておるぞ。さ、次の問屋へと参ろうか」
ー大江戸学園:城前広場ー
貧困にあえぐ生徒に向け、物資が無料で分配される。放送によってそんな情報が、学園全土へと流された。
男子生徒A「おお……すげぇ!これで助かる!あと数日遅かったらどうなっていたことか……収入を全部借金の返済に充てられる!いやぁありがとう!ありがとう!」
女子生徒B「あっ、ちょっとそれ私が取ろうとしてたのに!横から入って来ないでよ!」
光姫「あーこれこれ揉めるでない。物資はまだ他にも多くある。全員に数日分はいきわたるはずじゃ。押し合わぬようにキッチリ並べ。でないと分けてやらんぞ?」
分配会場である城前広場は、貧しい生徒たちでごったがえしていた。
誰もが口々に感謝を述べ、安堵した顔で帰っていく。学園の皆は、もうここまで追い詰められていたのか……。
桃子「おい光姫!ホントにこれ、タダでもらっちまっていいんだな!?」
光姫「おうとも。そのために持ってきたのじゃからな」
桃子「あ、あとで返せとか言われても無理だからな?」
光姫「問題ないと申して居るではないか。好きなだけ持っていくが良い」
桃子「うおお!すまねぇ!助かるぜ!」
鬼島さんたちも歓声をあげてそれぞれに物資を持ち帰っている。
その光景は見ているだけでも和まされるものだが……。
悠「光姫さん」
光姫「おお悠か。お主も欲しいものがあれば手にとって良いのじゃぞ」
悠「いや、おれのところは最悪自宅にかえればどうとでもなるんで……でも、まぁせっかくなんでひとつ貰おうかな」
なんていって光姫さんの肩に手を置いてみた。
光姫「かっかっか、大胆じゃが。わしは限定品での残念ながら却下じゃ」
悠「うーん、残念。しかしまぁ皆は糊口をしのげたようで、本当によかったですね」
光姫「とりあえずはな。しかしこれは解決ではない。お前たちにはこれからが勝負となるときじゃ」
悠「うっす……あの、光姫さん、ひとつきいてもいいですか?」
光姫「ん?なんじゃ」
悠「これだけの物資を無料で配るなんて……いったいどこからどうやって調達してきたんですか?」
光姫「ほっほっほっ、心配ない。それならすぐにしれわたることじゃろう。学園全体にな」
悠「全体に……?」
詠美「……光姫さん、今よろしいかしら」
光姫さんが意味深な笑いをあげていると、そこへ城の方から徳河さんがやってきた。
その表情は、歓喜に沸く他のみんなとは対照的に、冷たく強張っている……。
光姫「詠美か。ひと通り落ち着くまで猶予をくれるとは、お主も人が良いの」
詠美「……そういうわけではありません。が、あなたがそう思うのは自由です。一緒に来ていただけますね?」
光姫「もちろんじゃ。抵抗するつもりはない。……ということじゃ、すまんな悠。銀次と由佳里と、後は頼んだぞ」
悠「一体これは何なんですか。これから何が起こるんですか」
光姫「それもすぐにわかる。参ろう、詠美よ」
詠美「ええ。悠。あなたも機を見逃さないことね」
その言葉を最後に、光姫さんと徳河さんも姿を消していった。物を与えられ、一時的に生活が潤ったとしても、根本的な解決にはなっていない。
ここから一体どうするんだ……?
銀次「あっけないもんだな、お嬢。五人組の麾下といえどこの程度か」
光姫「いや当たり前の商人であれば、皆ああするじゃろうよ。本来の彼らはあくまで一商人であり、経済支配など企んではおらん。敵を履き違えてはいかんよ」
銀次「なるほど。頭さえ潰せばあとはなんとでも、か」
光姫「一時的にではあるが、五人組は力を失う。その際に奴らが泣きつく相手こそ、真の黒幕じゃ。それを見逃すでないぞ」
銀次「合点だ。そこは本職の実力を見てもらうぜ」
光姫「うむ。頼りにしておるぞ。さ、次の問屋へと参ろうか」
ー大江戸学園:城前広場ー
貧困にあえぐ生徒に向け、物資が無料で分配される。放送によってそんな情報が、学園全土へと流された。
男子生徒A「おお……すげぇ!これで助かる!あと数日遅かったらどうなっていたことか……収入を全部借金の返済に充てられる!いやぁありがとう!ありがとう!」
女子生徒B「あっ、ちょっとそれ私が取ろうとしてたのに!横から入って来ないでよ!」
光姫「あーこれこれ揉めるでない。物資はまだ他にも多くある。全員に数日分はいきわたるはずじゃ。押し合わぬようにキッチリ並べ。でないと分けてやらんぞ?」
分配会場である城前広場は、貧しい生徒たちでごったがえしていた。
誰もが口々に感謝を述べ、安堵した顔で帰っていく。学園の皆は、もうここまで追い詰められていたのか……。
桃子「おい光姫!ホントにこれ、タダでもらっちまっていいんだな!?」
光姫「おうとも。そのために持ってきたのじゃからな」
桃子「あ、あとで返せとか言われても無理だからな?」
光姫「問題ないと申して居るではないか。好きなだけ持っていくが良い」
桃子「うおお!すまねぇ!助かるぜ!」
鬼島さんたちも歓声をあげてそれぞれに物資を持ち帰っている。
その光景は見ているだけでも和まされるものだが……。
悠「光姫さん」
光姫「おお悠か。お主も欲しいものがあれば手にとって良いのじゃぞ」
悠「いや、おれのところは最悪自宅にかえればどうとでもなるんで……でも、まぁせっかくなんでひとつ貰おうかな」
なんていって光姫さんの肩に手を置いてみた。
光姫「かっかっか、大胆じゃが。わしは限定品での残念ながら却下じゃ」
悠「うーん、残念。しかしまぁ皆は糊口をしのげたようで、本当によかったですね」
光姫「とりあえずはな。しかしこれは解決ではない。お前たちにはこれからが勝負となるときじゃ」
悠「うっす……あの、光姫さん、ひとつきいてもいいですか?」
光姫「ん?なんじゃ」
悠「これだけの物資を無料で配るなんて……いったいどこからどうやって調達してきたんですか?」
光姫「ほっほっほっ、心配ない。それならすぐにしれわたることじゃろう。学園全体にな」
悠「全体に……?」
詠美「……光姫さん、今よろしいかしら」
光姫さんが意味深な笑いをあげていると、そこへ城の方から徳河さんがやってきた。
その表情は、歓喜に沸く他のみんなとは対照的に、冷たく強張っている……。
光姫「詠美か。ひと通り落ち着くまで猶予をくれるとは、お主も人が良いの」
詠美「……そういうわけではありません。が、あなたがそう思うのは自由です。一緒に来ていただけますね?」
光姫「もちろんじゃ。抵抗するつもりはない。……ということじゃ、すまんな悠。銀次と由佳里と、後は頼んだぞ」
悠「一体これは何なんですか。これから何が起こるんですか」
光姫「それもすぐにわかる。参ろう、詠美よ」
詠美「ええ。悠。あなたも機を見逃さないことね」
その言葉を最後に、光姫さんと徳河さんも姿を消していった。物を与えられ、一時的に生活が潤ったとしても、根本的な解決にはなっていない。
ここから一体どうするんだ……?