ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー大江戸学園:船着き場ー
伊都「じゃ、ぱんちら代に、しおんちゃんは貰っていくわね」
悠「あっ」
大ジャンプとその後の会話に気を取られていたけど、大神が着地したのは、シオンのすぐそばじゃないか!
伊都「よっ、と……あー重い重い」
大神は言うほど力んだ様子もなく、気絶しているシオンを肩に担ぎあげる。
悠「っ……」
伊都「それでは、わたくしはお先にかえらせていただきますわ。みなさま、ご機嫌よぉ」
桃子「あっ、待ちやがれ……」
追いかけようとした鬼島さんの足元が大きく波打ち、たたらを踏ませる。
その間に、大神は格に隠していたらしいカートを駆って、飛ぶような速さで逃げていってしまった。
悠「はっや……」
桃子「あ……くそっ、逃がすか!」
想「鬼島さん、いまは船の制圧が先です!」
桃子「あ、ぅ……分かったよ、ああもう!うおりゃあっ!」
鬼島さんは刀を振りまわして、まだ残っている雇われ用心棒たちの群れに飛び込んでいった。
久秀「逢岡奉行殿、ここに残っている下郎はどういたしまして?」
寅「誰が下郎だクソアマ」
想「右京山さん……貴方はどうしたいのです?」
寅「別に興が冷めた。シオンと大神が消えたんだ。どうせ船も落ちるだろう……見逃してくれるっていうんなら俺も消えるが?」
想「わかりました。どうぞ行ってください」
寅「ふん、おい悠。次はこんな茶番じゃなく、本気で死合だ」
恐ろしい捨て台詞を残して寅は獣よろしくの動きで闇夜に消えてしまう。
久秀「おやおや、いいのですかぁ?お奉行殿?」
想「今は一刻も早い制圧が大事です」
寅の言った通りシオンと大神が逃走したことで浮足立っていた連中を掃討するのに、大した時間はかからなかった。
ー大江戸学園:大通りー
吉音「今夜は大成功だったね。想ちゃんも嬉しそうだったし、良かった良かった~」
久秀「久秀は散々だったわ。すぶ濡れだし」
そういって笑っている吉音の方こそ嬉しそうで、久秀はあきれ顔だった。用心棒たちを片づけるのに思った以上の手間をかけてしまったものの、貨物船の制圧は無事、成功だった。
いつの間にやら船内に潜入していた仲村さんが、出航準備を遅らせてくれていたのだ。
おれたちが、寅にシオンや大神に手間取っているうちに忍び込んだらしい。珍しく大手柄だった。
港湾の管理施設も、シオンと寅が持ち場をはなれたことで、大した抵抗もなく制圧出来たのだそうだ。
悠「これで、物不足も少しは解消されるといいんだけどな」
吉音「うん……おっきな船だったけど、あれ一隻じの荷物だけじゃ、みんなにいきわたらないよね……」
久秀「無理でしょうね。」
久秀のストレートなものいいに、吉音の笑顔に陰がさす。今回の作戦は成功だったけれど、まだ船を一隻押さえただけで、五人組に与えたダメージは微々たるものだ。
押収した物資も、学園の生徒数から考えれば、焼け石に水程度の量でしかない。
港施設の管理責任者も、賄賂で密入港を見逃していたことは認めたが、それ以上のことは否認している。
ただ金を受け取っていただけで、相手がどこの誰かは知らなかった……といい張っている。
五人組との闘いは、まだまだ始まったばかりなのだ。
吉音「でも、一歩前進だよねっ」
悠「……うん、そうだな」
久秀「だといいのだけどねぇ」
吉音の笑顔と久秀の皮肉笑いに挟まれながらおれも頷いた。
伊都「じゃ、ぱんちら代に、しおんちゃんは貰っていくわね」
悠「あっ」
大ジャンプとその後の会話に気を取られていたけど、大神が着地したのは、シオンのすぐそばじゃないか!
伊都「よっ、と……あー重い重い」
大神は言うほど力んだ様子もなく、気絶しているシオンを肩に担ぎあげる。
悠「っ……」
伊都「それでは、わたくしはお先にかえらせていただきますわ。みなさま、ご機嫌よぉ」
桃子「あっ、待ちやがれ……」
追いかけようとした鬼島さんの足元が大きく波打ち、たたらを踏ませる。
その間に、大神は格に隠していたらしいカートを駆って、飛ぶような速さで逃げていってしまった。
悠「はっや……」
桃子「あ……くそっ、逃がすか!」
想「鬼島さん、いまは船の制圧が先です!」
桃子「あ、ぅ……分かったよ、ああもう!うおりゃあっ!」
鬼島さんは刀を振りまわして、まだ残っている雇われ用心棒たちの群れに飛び込んでいった。
久秀「逢岡奉行殿、ここに残っている下郎はどういたしまして?」
寅「誰が下郎だクソアマ」
想「右京山さん……貴方はどうしたいのです?」
寅「別に興が冷めた。シオンと大神が消えたんだ。どうせ船も落ちるだろう……見逃してくれるっていうんなら俺も消えるが?」
想「わかりました。どうぞ行ってください」
寅「ふん、おい悠。次はこんな茶番じゃなく、本気で死合だ」
恐ろしい捨て台詞を残して寅は獣よろしくの動きで闇夜に消えてしまう。
久秀「おやおや、いいのですかぁ?お奉行殿?」
想「今は一刻も早い制圧が大事です」
寅の言った通りシオンと大神が逃走したことで浮足立っていた連中を掃討するのに、大した時間はかからなかった。
ー大江戸学園:大通りー
吉音「今夜は大成功だったね。想ちゃんも嬉しそうだったし、良かった良かった~」
久秀「久秀は散々だったわ。すぶ濡れだし」
そういって笑っている吉音の方こそ嬉しそうで、久秀はあきれ顔だった。用心棒たちを片づけるのに思った以上の手間をかけてしまったものの、貨物船の制圧は無事、成功だった。
いつの間にやら船内に潜入していた仲村さんが、出航準備を遅らせてくれていたのだ。
おれたちが、寅にシオンや大神に手間取っているうちに忍び込んだらしい。珍しく大手柄だった。
港湾の管理施設も、シオンと寅が持ち場をはなれたことで、大した抵抗もなく制圧出来たのだそうだ。
悠「これで、物不足も少しは解消されるといいんだけどな」
吉音「うん……おっきな船だったけど、あれ一隻じの荷物だけじゃ、みんなにいきわたらないよね……」
久秀「無理でしょうね。」
久秀のストレートなものいいに、吉音の笑顔に陰がさす。今回の作戦は成功だったけれど、まだ船を一隻押さえただけで、五人組に与えたダメージは微々たるものだ。
押収した物資も、学園の生徒数から考えれば、焼け石に水程度の量でしかない。
港施設の管理責任者も、賄賂で密入港を見逃していたことは認めたが、それ以上のことは否認している。
ただ金を受け取っていただけで、相手がどこの誰かは知らなかった……といい張っている。
五人組との闘いは、まだまだ始まったばかりなのだ。
吉音「でも、一歩前進だよねっ」
悠「……うん、そうだな」
久秀「だといいのだけどねぇ」
吉音の笑顔と久秀の皮肉笑いに挟まれながらおれも頷いた。