ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー大江戸学園:奉行所ー
入港できる船の数と、その積載量は有限だ。
その権利の多くは五人組に握られてしまっているこの現状。方々へ卸している問屋達も、そこに対抗し続けるよりは、参加に収まって恩恵を受けた方が利益が大きい。
逆にそれを良しとしないと、圧力をかけられ続け、仕入れられる量もさらに減少させられてしまう。
基本的に学園での商売は、上へ行けばいくほど限られた権利書の奪い合いになるからなぁ……。
越後屋「権利を持っている人物へどれだけ銭を出せるかで、仕入れ量が決まってくるという事やな。相手がお役人でも一般生徒でも、そこんところは変われへん」
悠「おれは最終消費者とほとんど変わらな位置にいるからなぁ。そんなこと考えたこともなかったよ」
越後屋「ふふん。仮に世界征服でもしよと考えたら、武力よりも銭の使た方が速いし効率ええんやで」
悠「また途方もない話しだな。うちのドボケ従兄弟じゃあるまいし」
越後屋「世界っちゅー言葉が嫌なんやったら、学園に置き換えてもええわ。とにかくこれは、学園イチの商人やったウチへの挑戦や。受けて立ったろやないの」
なるほど、越後屋は物価高の抑制ではなく商人として対抗意識を燃やしたってことか。
そりゃ突然正義感に目覚めたりするはずないもんなぁ。
でもそれはおれたち庶民にとって助かることなのは間違いない越後屋にはこのまま頑張ってもらおう。
……越後屋が勝ったら勝ったで、その後がどうなるか、ちょっと心配だが。
ー大江戸学園:長屋街ー
桃子「おうどうしたんだ、値段が元に戻ってるじゃねぇか。仕入れができるようになったのか?」
商人A「実は越後屋さんが力を貸してくれましてね」
桃子「越後屋がぁ?むぅ……そいつはちょっとフクザツだな」
商人A「でもすごい赤字のはずなのに、そんなことは気にするなっていって協力してくれるんですよ。もちろんあとで見返りは要求されるでしょうけどね」
桃子「どうせあいつは金稼ぎの事しか考えてねぇんだ。それもその手段なんだろ」
商人A「でもそれで安くものが手に入るんなら、それでいいんじゃないんですか?」
桃子「そりゃそうだけどよ……まぁしかたねえのかなぁ」
腰をあげた越後屋の行動力には目を見張るものがあった。
五人組に対抗しているとみられる問屋達に次々に声をかけ、結束。
なんとか仕入れてきたものを全て越後屋が買い取り、通常の価格で各店舗に卸しはじめた。
これまでの物価高騰に不満を募らせていた生徒たちは、皆こぞって越後屋の店舗で品物を購入し始めた。
特に貧しさで困窮していた下町長屋に住む生徒たちからは、多くの感謝が寄せられている。
ー大江戸学園:越後屋ー
越後屋「まぁまぁここまでは順調やな」
悠「順調って、大丈夫なのか?完全に赤字になってると思うが」
越後屋「安ぅ仕入れて売れへんのと、高ぅ仕入れて赤字でも売る。さてどっちがええやろな?」
悠「あん?」
赤字で売り続けたら、文字通り売れば売るほど赤字が大きくなっていく。
反対に安く仕入れてさえおけば、いつかは少しずつでも売れていくかもしれない。そんなふうに思うが……。
越後屋「それは甘い考えや。あんさん在庫を持つという恐ろしさがまだ理解出来てへんみたいやな。商品が手元にあるのと銭が手元にあるのは違う。在庫を抱えてしまうと、それを処理せんことには身動きが取れへん。赤字でも銭と商品を滞ることなく交換し続けていけばもいくらでも状況の変化に対応できる。今回の例でいえば問屋連中かて少しでも売れる方へ~て乗り換えてくるかもしれへんやろ?」
悠「おー、なるほど」
越後屋「もちろんそれはいつか転換があるて希望があって、それまで体力が持つ場合でしかでけへんけどな」
うぅん、越後屋は本当に根っからの商人なんだな。遠くを見て、最終的に勝つ戦法を取る。
おれにはなかなか真似の難しい分野だ。
悠「じゃあこれで五人組の所から商人たちが戻ってきて、物価が正常に戻るんだな」
越後屋「そうは簡単にいかへんやろなぁ」
悠「な、なんでだよ」
越後屋「ほんまにわからへんの?ウチらができることは、あちらさんも出来るゆぅことやで?」
悠「あっ……」
今でこそ越後屋の下でものを買ってくれているが、その理由は単に安いからというだけだ。
向こうが値段を下げてきたらあっという間に逆転される。こちら……というか越後屋は、赤字が大きくなろうとも、とにかくどこよりも安く提供し続けるしかない。
さらに戦いは一回戦だけでなく、新たな物資が運ばれてくるたびに何度も何度も繰り返されるんだ。
越後屋「ウチの資金が尽きるか、あちらさんの根気と在庫が尽きるか、どっちが早いか勝負やな!」
入港できる船の数と、その積載量は有限だ。
その権利の多くは五人組に握られてしまっているこの現状。方々へ卸している問屋達も、そこに対抗し続けるよりは、参加に収まって恩恵を受けた方が利益が大きい。
逆にそれを良しとしないと、圧力をかけられ続け、仕入れられる量もさらに減少させられてしまう。
基本的に学園での商売は、上へ行けばいくほど限られた権利書の奪い合いになるからなぁ……。
越後屋「権利を持っている人物へどれだけ銭を出せるかで、仕入れ量が決まってくるという事やな。相手がお役人でも一般生徒でも、そこんところは変われへん」
悠「おれは最終消費者とほとんど変わらな位置にいるからなぁ。そんなこと考えたこともなかったよ」
越後屋「ふふん。仮に世界征服でもしよと考えたら、武力よりも銭の使た方が速いし効率ええんやで」
悠「また途方もない話しだな。うちのドボケ従兄弟じゃあるまいし」
越後屋「世界っちゅー言葉が嫌なんやったら、学園に置き換えてもええわ。とにかくこれは、学園イチの商人やったウチへの挑戦や。受けて立ったろやないの」
なるほど、越後屋は物価高の抑制ではなく商人として対抗意識を燃やしたってことか。
そりゃ突然正義感に目覚めたりするはずないもんなぁ。
でもそれはおれたち庶民にとって助かることなのは間違いない越後屋にはこのまま頑張ってもらおう。
……越後屋が勝ったら勝ったで、その後がどうなるか、ちょっと心配だが。
ー大江戸学園:長屋街ー
桃子「おうどうしたんだ、値段が元に戻ってるじゃねぇか。仕入れができるようになったのか?」
商人A「実は越後屋さんが力を貸してくれましてね」
桃子「越後屋がぁ?むぅ……そいつはちょっとフクザツだな」
商人A「でもすごい赤字のはずなのに、そんなことは気にするなっていって協力してくれるんですよ。もちろんあとで見返りは要求されるでしょうけどね」
桃子「どうせあいつは金稼ぎの事しか考えてねぇんだ。それもその手段なんだろ」
商人A「でもそれで安くものが手に入るんなら、それでいいんじゃないんですか?」
桃子「そりゃそうだけどよ……まぁしかたねえのかなぁ」
腰をあげた越後屋の行動力には目を見張るものがあった。
五人組に対抗しているとみられる問屋達に次々に声をかけ、結束。
なんとか仕入れてきたものを全て越後屋が買い取り、通常の価格で各店舗に卸しはじめた。
これまでの物価高騰に不満を募らせていた生徒たちは、皆こぞって越後屋の店舗で品物を購入し始めた。
特に貧しさで困窮していた下町長屋に住む生徒たちからは、多くの感謝が寄せられている。
ー大江戸学園:越後屋ー
越後屋「まぁまぁここまでは順調やな」
悠「順調って、大丈夫なのか?完全に赤字になってると思うが」
越後屋「安ぅ仕入れて売れへんのと、高ぅ仕入れて赤字でも売る。さてどっちがええやろな?」
悠「あん?」
赤字で売り続けたら、文字通り売れば売るほど赤字が大きくなっていく。
反対に安く仕入れてさえおけば、いつかは少しずつでも売れていくかもしれない。そんなふうに思うが……。
越後屋「それは甘い考えや。あんさん在庫を持つという恐ろしさがまだ理解出来てへんみたいやな。商品が手元にあるのと銭が手元にあるのは違う。在庫を抱えてしまうと、それを処理せんことには身動きが取れへん。赤字でも銭と商品を滞ることなく交換し続けていけばもいくらでも状況の変化に対応できる。今回の例でいえば問屋連中かて少しでも売れる方へ~て乗り換えてくるかもしれへんやろ?」
悠「おー、なるほど」
越後屋「もちろんそれはいつか転換があるて希望があって、それまで体力が持つ場合でしかでけへんけどな」
うぅん、越後屋は本当に根っからの商人なんだな。遠くを見て、最終的に勝つ戦法を取る。
おれにはなかなか真似の難しい分野だ。
悠「じゃあこれで五人組の所から商人たちが戻ってきて、物価が正常に戻るんだな」
越後屋「そうは簡単にいかへんやろなぁ」
悠「な、なんでだよ」
越後屋「ほんまにわからへんの?ウチらができることは、あちらさんも出来るゆぅことやで?」
悠「あっ……」
今でこそ越後屋の下でものを買ってくれているが、その理由は単に安いからというだけだ。
向こうが値段を下げてきたらあっという間に逆転される。こちら……というか越後屋は、赤字が大きくなろうとも、とにかくどこよりも安く提供し続けるしかない。
さらに戦いは一回戦だけでなく、新たな物資が運ばれてくるたびに何度も何度も繰り返されるんだ。
越後屋「ウチの資金が尽きるか、あちらさんの根気と在庫が尽きるか、どっちが早いか勝負やな!」