ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】

ー大江戸学園:大通りー

朱金「あーあー今日は暇だな」

真留「珍しくキチンと仕事が終わりましたね。今日は怒らないのでのんびりしてください。」

朱金「お前はオレのかーちゃんか。しかしイマイチつまんねーんだよな、こうして堂々と歩いてるのは。やっぱりなんつーかこう、誰かに追いかけられてるみたいなスリルがねーとさぁ」

真留「どういう意味ですかソレは」

「ぐあっ!やりやがったなてめえぇ!」

「んだオラァ!ふっかけてきたのはそっちだろうが!」

朱金「おっ?なんだケンカか?へへへへ」

真留「喜ばないでくださいよ遠山さま……」

男子生徒A「よそ見してるてめぇが悪ィんだ!」

男子生徒B「ド真ん中を歩いてくるそっちのせいだつつーの!」

朱金「おらおらおら、天下の往来で何やってやがんだぁ?」

男子生徒B「うるせぇ邪魔すんな!とっとと行っちまいな!」

朱金「んだとテメェ!誰に向かって口利いてやがんだぁ!」

ドゴォッ!
男子生徒B「グハッ!……あ?」

真留「ああやってしまった……本当にタイミングの悪い人たちですね」

朱金「そっちも来るか?いくらでも相手になってやんぜ?あぁん?」

男子生徒A「なんだお前は……つ、付き合ってられっかよ!」

朱金「あっ!こら逃げる気かおい!真留!そっち行ったぞとっ捕まえろ!」

真留「は、はいっ!」

男子生徒A「うおおおお!どけぇ!」

真留「わっ!きゃうんっ!」

男子生徒A「ハッ!ヒョロいチビが!」

真留「まっ、待ちなさいっ!待てーっ!!ああ……ちょっと……いかないで……」

朱金「くぉら真留ゥゥゥウ!!」




ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「…………」

朱金「ってことがあってな」

真留「はぅん……」

ぺらぺらと語る朱金の横で、真留がしょんぼりと肩を落としている。いかに真留が下級生で小柄だとは言え、仕事になるとそうも言っていられないからなぁ。

朱金「ま、その逃げたヤツも数時間後には捕まったし、重い悪事だったわけでもないから、いいっちゃいいんだが……真留にはもうちょっと、武人としても成長してもらをねーとな」

真留「返す言葉もありません……」

悠「その前に朱金も、すぐカッとするところは改めた方がいいと思うぞ」

朱金「それはそれ、これはこれ」

悠「都合のいいことで」

とはいえ朱金のいってることに間違いはないんだけど。

朱金「これはアレだな、真留には課題を出してやんなきゃな」

真留「うぐっ……な、なんでしょう」

朱金「強さってのはなにも道場だけで磨かれるもんじゃねぇ。実戦で必要な技ってのはまた全然違うんだ。つーわけで、いつでも、どんな手を使ってもいい。真留はそこに居る悠から一本取れ」

悠「うおい!何で勝手に決めてるんだよ!」

朱金「こういうことを頼むのに、一番都合がいい奴だからな、悠は。どうだ真留、やれるか?キッチリ一本取れたら、悠が何でも言うこと聞いてくれるってよ」

真留「わあっ、分かりましたッ!よろしくお願いします!」

なぜだっ!?

悠「なんでおればっかり苦労する事になってるんだよ!」

朱金「女の子に狙われるんだぞ。そこは喜べよ」

一本て殴られるんだろ?喜べるかよ!

真留「はいっ!それはもう朝から晩までねらってしまいますよ!」

……と言おうと思ったが、真留がなにかすごく乗り気になっているのでいいだしにくい……。

朱金「真留の特訓に付き合うと思ってしばらく逃げ回ってくれ」

悠「……わかったよ。どれだけ期待にそえるかは分からないけど」

真留「絶対一本取って、いうこと聞いてもらいますからねっ!」

真留は真留でなにか違うところに情熱を燃やしている気がするし。まぁやる気になるんだったらそれでもいいのかなぁ……。
75/100ページ
スキ