ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー大江戸学園:道場ー
十兵衛「……始めっ!」
岩見「うおおおおぉぉぉっ!」
バシッ!
悠「うぉっ……ととっ!」
開始早々、岩見はおれとの距離を詰めると、力任せに竹刀を振りまわした。
一撃一撃は重いが、身体に余計な力が入っているせいで遅く、受け止めるのは簡単だった。
それにしても……。
岩見「おらぁっ!おらぁっ!くたばりやがれぇっ!」
バシッ!
岩見の勢いには鬼気迫るものがある。
その怒りはおれにではなく、別の誰かに向かっているようだった。
悠「はあぁぁぁっ!」
竹刀を押し戻し、岩見と距離をとる。本当だったら蹴りでもいれてやるんだけど……。
岩見「はぁっはぁっ……くそっ、当たれよぉっ!」
悠「……」
まだ始めて数分も経っていないのに、岩見はすでに息があがっていた。
それもそのはずで、打ちこむ力は強いが、がむしゃらに竹刀をふりまわしているだけなのだ。無駄な動きも多いし、力も入ってるから消耗が激しくなる。
キツイいい方をすれば、ひとりで踊っているだけで、剣の腕なんてないのに等しかった。
岩見「うおぉぉぉっ!」
正面から力任せに振り下ろされる一撃。
おれはそれを最小限の動きで受け流すと、返す刀で切っ先を岩見の首筋に突き付けた。
十兵衛「そこまで!悠の勝ちだ」
おれは竹刀を戻し、相手に一礼する。
悠「ありがとうございました」
岩見「はぁはぁはぁ……ありがとうございました……」
十兵衛「やれやれ、これは骨が折れそうだな……悠、岩見と仕合ってみてどうだった?」
悠「ものすごい殺気でした。でも、その分太刀筋は読みやすかったです。」
十兵衛「ふ……岩見、お前の剣はまるでなっていない。一からの指導が必要だ」
岩見「……自分でも分かってます」
十兵衛「まずはその、無駄に溢れる殺気をなんとかしないといけないな」
悠「それだけ殺気を剣に込める理由……いったいなにがあったんだ?」
十兵衛「平良が連れてきた時点で、だいたい予想はついているが……岩見、話してくれるな?」
岩見「俺には恨みを持つ相手がいて、そいつを懲らしめようとしたところを、長谷河さんに邪魔されました……」
十兵衛「邪魔、ねえ……」
岩見「あくどい商売で他人を苦しめる、そんな人間を守る火盗には憤りましたが、自分の力が足りないのも事実。それを見かねて、長谷河さんはここに連れて来て下さったんだと思います。俺にもっと剣の腕が有れば、確実にあいつを仕留めることができたんですから……」
悠「なんか誤解があるような気がするが……つまり、火盗の世話になるような事をやったと」
十兵衛「そんな事だろうと思ったよ。平良は以前もそういった輩を、ここに連れてきたことがあったからな」
岩見「お願いします!俺、強くなりたいんです!」
十兵衛「自分の恨みを晴らすため、か……」
岩見「確実に、この手で仕留められるようになりたいんです」
悠「あのなぁ……いくら恨みがあるからって、暴力に訴えるのはどうかと思うけどな。おれが言えるセリフでもないが」
十兵衛「平良に止められて、お前はこれ以上罪を重ねなくて済んだんだぞ。わかっているのか?」
岩見「…………」
十兵衛「餅は餅屋だというだろう。相手の方は平良に任せておけばいい。悪いようにはしないさ。
十兵衛「……始めっ!」
岩見「うおおおおぉぉぉっ!」
バシッ!
悠「うぉっ……ととっ!」
開始早々、岩見はおれとの距離を詰めると、力任せに竹刀を振りまわした。
一撃一撃は重いが、身体に余計な力が入っているせいで遅く、受け止めるのは簡単だった。
それにしても……。
岩見「おらぁっ!おらぁっ!くたばりやがれぇっ!」
バシッ!
岩見の勢いには鬼気迫るものがある。
その怒りはおれにではなく、別の誰かに向かっているようだった。
悠「はあぁぁぁっ!」
竹刀を押し戻し、岩見と距離をとる。本当だったら蹴りでもいれてやるんだけど……。
岩見「はぁっはぁっ……くそっ、当たれよぉっ!」
悠「……」
まだ始めて数分も経っていないのに、岩見はすでに息があがっていた。
それもそのはずで、打ちこむ力は強いが、がむしゃらに竹刀をふりまわしているだけなのだ。無駄な動きも多いし、力も入ってるから消耗が激しくなる。
キツイいい方をすれば、ひとりで踊っているだけで、剣の腕なんてないのに等しかった。
岩見「うおぉぉぉっ!」
正面から力任せに振り下ろされる一撃。
おれはそれを最小限の動きで受け流すと、返す刀で切っ先を岩見の首筋に突き付けた。
十兵衛「そこまで!悠の勝ちだ」
おれは竹刀を戻し、相手に一礼する。
悠「ありがとうございました」
岩見「はぁはぁはぁ……ありがとうございました……」
十兵衛「やれやれ、これは骨が折れそうだな……悠、岩見と仕合ってみてどうだった?」
悠「ものすごい殺気でした。でも、その分太刀筋は読みやすかったです。」
十兵衛「ふ……岩見、お前の剣はまるでなっていない。一からの指導が必要だ」
岩見「……自分でも分かってます」
十兵衛「まずはその、無駄に溢れる殺気をなんとかしないといけないな」
悠「それだけ殺気を剣に込める理由……いったいなにがあったんだ?」
十兵衛「平良が連れてきた時点で、だいたい予想はついているが……岩見、話してくれるな?」
岩見「俺には恨みを持つ相手がいて、そいつを懲らしめようとしたところを、長谷河さんに邪魔されました……」
十兵衛「邪魔、ねえ……」
岩見「あくどい商売で他人を苦しめる、そんな人間を守る火盗には憤りましたが、自分の力が足りないのも事実。それを見かねて、長谷河さんはここに連れて来て下さったんだと思います。俺にもっと剣の腕が有れば、確実にあいつを仕留めることができたんですから……」
悠「なんか誤解があるような気がするが……つまり、火盗の世話になるような事をやったと」
十兵衛「そんな事だろうと思ったよ。平良は以前もそういった輩を、ここに連れてきたことがあったからな」
岩見「お願いします!俺、強くなりたいんです!」
十兵衛「自分の恨みを晴らすため、か……」
岩見「確実に、この手で仕留められるようになりたいんです」
悠「あのなぁ……いくら恨みがあるからって、暴力に訴えるのはどうかと思うけどな。おれが言えるセリフでもないが」
十兵衛「平良に止められて、お前はこれ以上罪を重ねなくて済んだんだぞ。わかっているのか?」
岩見「…………」
十兵衛「餅は餅屋だというだろう。相手の方は平良に任せておけばいい。悪いようにはしないさ。