ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】

ー大江戸学園:食堂ー

翌日、おれは結花さんに誘われて食堂へとやってきた。用件はきっと昨日の事だろうと、早々に話しを切りだしておく。

悠「……ってことがあったんですよ」

結花「なるほどね」

おれが説明を終えると、結花さんはなんともいえない表情を浮かべた。

その隣では唯ちゃんが、箸を片手にあきれた顔をしている。

唯「由真姉ってば、面倒なことに巻き込まれちゃっても~」

悠「どうします、結花さん?」

結花「んー……とりあえず、由真の好きにさせておくわ」

悠「え?いいんですか?」

結花「まあ、由真にもなにか考えがるんでしょうから」

唯「それに由真姉の場合、下手に口出しすると、余計に意地になっちゃいそうだしね。」

悠「……確かに」

結花「そういうわけだから、あとのことは小鳥遊くんに任せてもいい?」

悠「おれに……ですか?」

結花「ええ。事情を知ってる小鳥遊くんなら、あの子も少しは話ししてくれると思うし」

唯「ヤバそうだと思ったら、いつでも呼んでね。ボクと結花姉でなんとかフォローするから」

悠「ああ。そうしてもらえると助かるよ」

おれひとりで由真の面倒を見るのは大変だが、結花さんと唯ちゃんの手助けを当てにできるのなら心強い。




ー大江戸学園:廊下ー

平良「ん?」

悠「あ」

結花さんと唯ちゃんと別れ、教室に戻る途中、長谷河に出くわしてしまった。

平良「どうした?私の顔を見るなり声をあげたりして」

悠「イヤ、別に……」

平良「別にということあるまい。見るからに慌ててるじゃない」

悠「そ、そそそそ、そんな……」

平良「それはわざとらし過ぎる。」

悠「あはは、あはははっ」

流石は長谷河というべきか、一瞬で見抜かれてしまった。一瞬、銀珠子との勝負のことを話してしまおうかと思った。

だが、そんなことをしたら由真は怒るだろうし……。なにより銀珠子は、怪盗猫目の招待を知っているのだから、不用意なことをするわけには……。

平良「本当にどうしたんだ?」

悠「いや、なんでもないですよ」

平良「だが……」

悠「それより、長谷河殿はなにをなさっているんでせうか?」

おれがあからさまに不自然に話しを逸らすと、長谷河も隠そうとせず不満そうな顔をした。

だが、追求するようなことは口にせず、ため息だけを漏らして話を続ける。

平良「……食後の腹ごなしに、軽く見廻りをしていただけさ」

悠「そうですか。なら、邪魔してもなんですから、おれはこれで」

平良「おい?」

一方的に話をうち切って、逃げるようにその場を後にする。

そして、長谷河の姿が見えなくなったのを確認して、ほっと息を吐いた。

「今、長谷河平良に勝負のことを話そうとしてたでしょ?」

悠「あー?」

いきなり背後から聞こえた声に驚いて振り向くと、銀珠子がにこやかに笑みを浮かべてたっていた。
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