ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

光姫「なるほどのう、そんなことが……」

吉音「まったくもう、心配したんだよ、ホントに……」

悠「だから悪かったって、何度も謝ったろう?」

久秀「謝るなら、誠意って言う形を見せてほしいわね。誠意を見せなさい、誠意を」

悠「お前……どこの893もんだよ。全然心配してねぇ口ぶりだし」

久秀「この店の権利書の有りかが分からないまま消えられるのはとても心配だわ」

数日後、たまたま小鳥遊堂に立ち寄った光姫さんに、事の顛末を話した。

悠「それにしても、思い返すだに妙な人ですよ、大神伊都ってのは……光姫さんは、何か御存じないんですか、彼女のこと」

光姫「ふむ……あいにくわしも、彼奴のことはようしらんのじゃ」

悠「……」

そうなのか。光姫さんほどの人でも、知らないことってあるんだなぁ。

光姫「ただ……彼奴の行動が、こちらの不利益になったことはないし……あれほどの使い手じゃ、下手に手を出せばこちらが怪我をするかも知れんしの」

悠「まぁ、確かに……」

考えて見ればあれほど強いヤツが、正義か悪かにつけば、どちらも非常にめんどうなことになりそうな気がする。

ある意味、今のようなニュートラルな状態が、一番いいのかも……。

吉音「もしかして、その白組と紅組の、両方をつぶすために乗り込んでいたのかも……?」

光姫「ほっほっほ、それは重畳……。だといいがのう」

悠「はははは……」

光姫さんに追従して笑いながら、おれは内心「ないない」と思っていた。大神の行動を見る限り、そんな思慮深いようには見えないんだよな。

どっちかというと、もっと子供っぽい、直感で行動しているような……。

久秀「お金がもらえて何十人も叩き切れる。そう思ってただけでしょう。大神無双という感じかしら」

悠「そいつはぴったりだな。っか、お前はと゜うなんだ?」

久秀「何がかしら?」

悠「大神とダチなんだろ」

久秀「あぁ、幼なじみよ」

悠「なんっ……!?」

光姫「なっ……!?」

吉音「えええぇぇ!!」

久秀「嘘よ。」

悠「うぉい!」

久秀「お金で動いてくれるから便利なのは認めるけどね。昔からの知り合いってわけじゃないし」

悠「すっげー言い草だな」

久秀「あら、そうかしら?右京山寅だって似たようなものでしょ。金を払いさえすれば何でもする」

悠「寅は……そーじゃないだろ。まぁ、確かに似たような部分はあるが」

光姫「ほっほっ、なんにせよ。無事に終わってよかったではないのかの」

悠「ですね……あ、お茶のお代わりどうですか?」

光姫「うむ、頼む」

吉音「悠、あのね、私は……」

悠「おやつはねーぞ」

吉音「ぶー!けちんぼ!」

悠「この野郎」

光姫「よいよい、わしのおごりで何か茶菓子を人数分頼む」

吉音「わーい!さすがみっきー!」

光姫「みっきーいうな!」
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