ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー大江戸学園:空き家ー
悠「なんだよまる、ちょっとくすぐったいぞ」
真留「実は……私がしてやられたのは、この大神伊都さんのせいなんです」
悠「……あーー?!」
愕然として振り返ると、彼女はさっきの女神の姿とは一転、悪魔めいた笑みを浮かべていた。
伊都「うっふふふふ……真留さん、あなたなかなか筋はいいですが、太刀筋が正直すぎますわ。もっと勝負に対して貪欲にならなければ……わたくしには勝てませんわよ?」
悠「っか、どういうことだよ。なんでアンタが、不良集団の仲間に?」
必死で問いかけると、大神は右手の人差指て親指で、マルを作って見せた。
伊都「雇われましたの。用心棒うとして、この白組に」
悠「はあぁぁ!?」
伊都「さすがに儲かっているだけのことはありますわね。この不景気なご時世に、あんなにも報酬がっぽり……」
悠「は、はあぁぁ……」
完全に黒眼が\マークの形になっている大神を見つめながら、おれは深々とため息をついた。
そうだった……こいつは、そんなヤツだったな……。
伊都「あら、なんですの、その軽蔑したような眼差しは……」
悠「軽蔑しているわけじゃありません。脱力してるだけです。一瞬でも、アンタに助けてもらえると期待した、おろかなおれ自身に……」
伊都「あら、失礼ですわ。せっかく知り合いのよしみで、耳寄りな情報を持ってきてあげたのに」
真留「……えっ?」
悠「なんだよ、それは……」
大神はもったいつけるように微笑むと、やがて唇を開いた。
伊都「明日のお昼に、白組と紅組の、全面戦争がありますの。警護も手薄になるでしょうから、逃げるなら、そのときですわ」
悠「おおっ、なるほど……」
一瞬喜びかけた……が、しかし。
伊都「ふふっ」
悠「……って、明日まで一晩、おれたちこのままかよ!!そんなことを教えてくれるぐらいなら、今助けてくれよ!」
伊都「金で雇われたとはいえ、一応義理ってものがありますから……何なら、ゆっくんが改めて雇い直してくれます?100万円以上で……」
悠「ひゃ、ひゃく?」
伊都「おーーーっほっほっほ!」
高笑いをあげながら、去っていく大神の後姿を、おれは精いっぱいの恨みを込めて見つめた。
悠「……ん、んん……」
いつの間にか、柱にもたれて眠っていたらしい。今、何時ぐらいだ……?まだ朝になっていないみたいだけど……。
真留「……んっ、ん、く……」
どうして目が覚めたのかと思っていたら、柱に縛り付けられた真留が、もぞもぞしていたからだった。
その振動が伝わって、おれは揺すり起こされたらしい。
悠「どうした、真留……どっか痛いのか?」
真留「あっ、小鳥遊さん……いえ、何でもありません……」
悠「何でも無いことはないだろう、顔が真っ赤だぞ。もしかして、熱が……?」
真留「ほっ、ほんとうに……何でも、ないんですって……ばっ!」
……怒られてしまった。でも本当に、肌に触れている部分がじっとり汗ばんで、熱を持っているんだけどな……。
真留「はうっ!?だ、だめっ、だめえぇ~~~~……!!」
悠「あー?」
突然、真留の身体が大きくびくん、と震えたかと思うと、ついで低くうなり始めた。
真留「あぅ……う、うううぅぅ……」
そして小さな水音とともに、床に生暖かい液体が、広がっていく。も……もしかして、これは……おもらし?
悠「ま、真留……これって……」
真留「す、すみま……せん……どうしても、我慢……できなくて……」
目に涙をいっぱい浮かべて、謝ってくる真留に、おれはそれ以上何も言う事が出来なくなってしまった。
悠「えっとあの……見なかった事にするから。気にするな、な?」
真留「すみません……すみません……」
なおも小さな声で謝り続ける真留を、おれはちょっといじらしいと思ってしまったのだった。
悠「なんだよまる、ちょっとくすぐったいぞ」
真留「実は……私がしてやられたのは、この大神伊都さんのせいなんです」
悠「……あーー?!」
愕然として振り返ると、彼女はさっきの女神の姿とは一転、悪魔めいた笑みを浮かべていた。
伊都「うっふふふふ……真留さん、あなたなかなか筋はいいですが、太刀筋が正直すぎますわ。もっと勝負に対して貪欲にならなければ……わたくしには勝てませんわよ?」
悠「っか、どういうことだよ。なんでアンタが、不良集団の仲間に?」
必死で問いかけると、大神は右手の人差指て親指で、マルを作って見せた。
伊都「雇われましたの。用心棒うとして、この白組に」
悠「はあぁぁ!?」
伊都「さすがに儲かっているだけのことはありますわね。この不景気なご時世に、あんなにも報酬がっぽり……」
悠「は、はあぁぁ……」
完全に黒眼が\マークの形になっている大神を見つめながら、おれは深々とため息をついた。
そうだった……こいつは、そんなヤツだったな……。
伊都「あら、なんですの、その軽蔑したような眼差しは……」
悠「軽蔑しているわけじゃありません。脱力してるだけです。一瞬でも、アンタに助けてもらえると期待した、おろかなおれ自身に……」
伊都「あら、失礼ですわ。せっかく知り合いのよしみで、耳寄りな情報を持ってきてあげたのに」
真留「……えっ?」
悠「なんだよ、それは……」
大神はもったいつけるように微笑むと、やがて唇を開いた。
伊都「明日のお昼に、白組と紅組の、全面戦争がありますの。警護も手薄になるでしょうから、逃げるなら、そのときですわ」
悠「おおっ、なるほど……」
一瞬喜びかけた……が、しかし。
伊都「ふふっ」
悠「……って、明日まで一晩、おれたちこのままかよ!!そんなことを教えてくれるぐらいなら、今助けてくれよ!」
伊都「金で雇われたとはいえ、一応義理ってものがありますから……何なら、ゆっくんが改めて雇い直してくれます?100万円以上で……」
悠「ひゃ、ひゃく?」
伊都「おーーーっほっほっほ!」
高笑いをあげながら、去っていく大神の後姿を、おれは精いっぱいの恨みを込めて見つめた。
悠「……ん、んん……」
いつの間にか、柱にもたれて眠っていたらしい。今、何時ぐらいだ……?まだ朝になっていないみたいだけど……。
真留「……んっ、ん、く……」
どうして目が覚めたのかと思っていたら、柱に縛り付けられた真留が、もぞもぞしていたからだった。
その振動が伝わって、おれは揺すり起こされたらしい。
悠「どうした、真留……どっか痛いのか?」
真留「あっ、小鳥遊さん……いえ、何でもありません……」
悠「何でも無いことはないだろう、顔が真っ赤だぞ。もしかして、熱が……?」
真留「ほっ、ほんとうに……何でも、ないんですって……ばっ!」
……怒られてしまった。でも本当に、肌に触れている部分がじっとり汗ばんで、熱を持っているんだけどな……。
真留「はうっ!?だ、だめっ、だめえぇ~~~~……!!」
悠「あー?」
突然、真留の身体が大きくびくん、と震えたかと思うと、ついで低くうなり始めた。
真留「あぅ……う、うううぅぅ……」
そして小さな水音とともに、床に生暖かい液体が、広がっていく。も……もしかして、これは……おもらし?
悠「ま、真留……これって……」
真留「す、すみま……せん……どうしても、我慢……できなくて……」
目に涙をいっぱい浮かべて、謝ってくる真留に、おれはそれ以上何も言う事が出来なくなってしまった。
悠「えっとあの……見なかった事にするから。気にするな、な?」
真留「すみません……すみません……」
なおも小さな声で謝り続ける真留を、おれはちょっといじらしいと思ってしまったのだった。