ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「……」
由真「まったくもー……ん?」
悠「あ……」
由真と目が合ってしまった。
由真「なんか文句でもあんの?」
悠「なにもいってないのに、なんで突っかかって来るんだよ?」
唯「まぁまぁ。あれは由真姉なりの照れ隠しだから」
由真「唯!アンタ、そんなところでなにしてんのよ?」
唯「あはっ♪なんか面白そうだったから見に来ちゃった」
由真「身に来ちゃったって、アンタねぇ……」
悪びれた様子もなく、楽しげに笑っている唯ちゃんを、由真があきれたような眼差しで見つめている。どこか奔放な唯ちゃんには、由真もけっこう手を焼いているのかもしれない。
悠「なんにせよ、すっかり客が戻ってきたみたいでよかったな」
由真「ま、当然の結果よ。小細工なしなら、ウチがあんな店に負けるわけ無いじゃない。」
悠「凄い自信だな」
由真「悪い?」
悠「いや」
むしろ羨ましいくらいだ。そこまで自分の店を誇れるなんてな。おれも少しは見習うべきなんだろうが、ウチは生憎と、売りになるような物なんてなにもないし……。
そんなふうに思ってため息なんて吐いてると、ねずみやの窓から結花さんが顔を出すのが見えた。
結花「ふたりとも、いつまで遊んでるつもり?」
唯「やばっ」
由真「いくわよ、唯」
悠「……」
ふたりは結花さんの声に慌ててかけ出した。だが、店に入りかけたところで由真が足を止め、こちらを振り返る。
由真「アンタさ、どんなに頑張ったって、ウチのとなりで儲かるわけがないんだが、そろそろ諦めたらどうなの?」
悠「はいはい。気が向いたらな」
まぁ、そんなことをしたら拳二以前に久秀に何をされるか分かったもんじゃないが…。
由真「……もうっ」
お決まりの台詞を軽く受け流すと、由真は不満そうに唇をとがらせる。だが、それもいつものことだと思ったのだろう。それ以上はなにもいわず、ため息を吐きながら、今度こそ店の中に入っていった。
やれやれ。最近は、どこまで本気でいってるのか妖しくなってきてるな。まあ、挨拶の一環とでも思っておけばいいか。
ー越後屋の屋敷ー
越後屋「ふわぁ~……」
店主「聞いてらっしゃいますか、オーナー?」
越後屋「……ん?ああ、いちごやまことやろ」
店主「このままでよろしいのですか?」
越後屋「よろしいもなにも、どないしろいいますの?」
店主「それは……もう一度、前のような形に戻す方法を考えて……」
越後屋「お奉行に目ぇつけられてるのに、そないなことしても得なんてあらしまへんわ」
店主「ですがて……」
越後屋「話しがそれだけなら、もうよろしおすな?」
店主「お待ちください!それならせめてねずみやに何か仕返しを……」
越後屋「ねずみやに?」
店主「はい。話しによれば、奉行所に申し立てたのは、ねずみやだということですし」
越後屋「…………構わしまへんわ」
店主「そんな……どうしてです?」
越後屋「商売敵を蹴落とそうとするのは当然のことやないか。それに、そうまでせんとウチを止められんくらい追い詰められてた言う事やろ?所詮は、ねずみやもその程度。次は子細工なんぞでどうにもならんようにしてやるわ。」
店主「あ……オーナーだったら、問答無用でやり返すと思ってたのに……くそ。ねずみやめ」
悠「……」
由真「まったくもー……ん?」
悠「あ……」
由真と目が合ってしまった。
由真「なんか文句でもあんの?」
悠「なにもいってないのに、なんで突っかかって来るんだよ?」
唯「まぁまぁ。あれは由真姉なりの照れ隠しだから」
由真「唯!アンタ、そんなところでなにしてんのよ?」
唯「あはっ♪なんか面白そうだったから見に来ちゃった」
由真「身に来ちゃったって、アンタねぇ……」
悪びれた様子もなく、楽しげに笑っている唯ちゃんを、由真があきれたような眼差しで見つめている。どこか奔放な唯ちゃんには、由真もけっこう手を焼いているのかもしれない。
悠「なんにせよ、すっかり客が戻ってきたみたいでよかったな」
由真「ま、当然の結果よ。小細工なしなら、ウチがあんな店に負けるわけ無いじゃない。」
悠「凄い自信だな」
由真「悪い?」
悠「いや」
むしろ羨ましいくらいだ。そこまで自分の店を誇れるなんてな。おれも少しは見習うべきなんだろうが、ウチは生憎と、売りになるような物なんてなにもないし……。
そんなふうに思ってため息なんて吐いてると、ねずみやの窓から結花さんが顔を出すのが見えた。
結花「ふたりとも、いつまで遊んでるつもり?」
唯「やばっ」
由真「いくわよ、唯」
悠「……」
ふたりは結花さんの声に慌ててかけ出した。だが、店に入りかけたところで由真が足を止め、こちらを振り返る。
由真「アンタさ、どんなに頑張ったって、ウチのとなりで儲かるわけがないんだが、そろそろ諦めたらどうなの?」
悠「はいはい。気が向いたらな」
まぁ、そんなことをしたら拳二以前に久秀に何をされるか分かったもんじゃないが…。
由真「……もうっ」
お決まりの台詞を軽く受け流すと、由真は不満そうに唇をとがらせる。だが、それもいつものことだと思ったのだろう。それ以上はなにもいわず、ため息を吐きながら、今度こそ店の中に入っていった。
やれやれ。最近は、どこまで本気でいってるのか妖しくなってきてるな。まあ、挨拶の一環とでも思っておけばいいか。
ー越後屋の屋敷ー
越後屋「ふわぁ~……」
店主「聞いてらっしゃいますか、オーナー?」
越後屋「……ん?ああ、いちごやまことやろ」
店主「このままでよろしいのですか?」
越後屋「よろしいもなにも、どないしろいいますの?」
店主「それは……もう一度、前のような形に戻す方法を考えて……」
越後屋「お奉行に目ぇつけられてるのに、そないなことしても得なんてあらしまへんわ」
店主「ですがて……」
越後屋「話しがそれだけなら、もうよろしおすな?」
店主「お待ちください!それならせめてねずみやに何か仕返しを……」
越後屋「ねずみやに?」
店主「はい。話しによれば、奉行所に申し立てたのは、ねずみやだということですし」
越後屋「…………構わしまへんわ」
店主「そんな……どうしてです?」
越後屋「商売敵を蹴落とそうとするのは当然のことやないか。それに、そうまでせんとウチを止められんくらい追い詰められてた言う事やろ?所詮は、ねずみやもその程度。次は子細工なんぞでどうにもならんようにしてやるわ。」
店主「あ……オーナーだったら、問答無用でやり返すと思ってたのに……くそ。ねずみやめ」