ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー大江戸学園:いちごやー
唯「悠さん?」
悠「はっ?!」
おれの代わりにメニューを受け取り、唯ちゃんがにやにやしながらこちらを見ている。横から見ている唯ちゃんが気づくくらいだから、当然牡丹ちゃんもおれに気づいているようだった。
だが彼女は気にした様子もなく、愛想のよい笑みを浮かべて小首をかしげている。
牡丹「なんなりとお申し付けくださいな」
悠「……はあ」
どうにも気恥ずかして、牡丹さんから目を逸らし、唯ちゃんと一緒にメニューを覗きこむ。
そうして、ざっとメニューに目を通してみると、意外といってはなんだが、良心的な値段が並んでいた。ただ、飲み物も食べ物も種類は豊富なのだが、日本茶は扱っていないらしい。
唯「じゃあボク、このオリジナルハーブティーってヤツと、木苺のショートケーキをセットで」
悠「おれは……アイスコーヒーと、日替わりケーキを」
牡丹「かしこまりました」
にっこり微笑んだ牡丹ちゃんが、胸元から端末のようなものを取り出す。って今、谷間から!?再びその場所に気を取られ、無意識に凝視してしまう。
そんなおれとは違い、唯ちゃんは端末自体に興味を惹かれたらしく、反対側から身を乗り出してきた。
唯「それで注文を送ったの?」
牡丹「はい」
唯「ちょっと見せてもらってもいい?」
牡丹「え?……はあ。構いませんが……」
さすがに、そんなことを頼まれるとは思っていなかったんだろう。牡丹ちゃんは初めて笑顔以外の表情を浮かべ、困惑しつつも唯ちゃんに端末を手渡した。
唯「なるほどねぇ。こういう作りなわけだ」
牡丹「あの……変なところを押したりしないでくださいね?私、注文の取り消し方とかまだよくわからないので……」
唯「だいじょ~ぶだいじょ~ぶ。ボク、こ~いうの得意だから」
心配そうな牡丹さんの声を軽く流し、唯ちゃんは端末をいじり続ける。
そうこうしているうちに、やはり薄着の女の子が、注文したものを運んできた。短いスカートの裾をふわふわ揺らしながら、手際良く食器を並べていく。
そして準備を終えると、女の子は可愛らしい笑顔をおれに向けて、パチっとウインクをしてから戻っていった。
悠「……」
唯「それじゃ、いただきま~す」
唯ちゃんはいじっていた端末を牡丹さんに返すと、湯気の立つカップに手を伸ばした。まずは香りを楽しむように目を閉じて、それからカップに口をつける。
悠「……」
唯「……へぇ~。これはなかなか……」
感心したように呟きながら、今度はフォークを手にしてケーキを口に運ぶ。
悠「……」
唯「……うんっ。美味しっ♪」
牡丹「お気に召していただけたようで何よりです」
唯ちゃんの感想に、牡丹ちゃんが嬉しそうに口元を綻ばせた。普段から結花さんの作るケーキを食べている唯ちゃんが美味しいというのだから、かなりの出来なんだろう。
悠「どれどれ……」
と、おれもフォークの先をケーキに向けたのだが、不意に牡丹ちゃんの視線を感じて手を止めた。
牡丹「旦那さま、私とじゃんけんをしてみませんか?」
悠「じゃんけん?」
牡丹「はい。旦那さまが勝ったら、私の手で旦那様にケーキを食べさせて差し上げます。その代り、私が勝ったときは、ケーキをひと口分けてくださいね。」
悠「……あ?」
申し出の内容を瞬時には理解できず、間の抜けた声を出してしまった。
唯「悠さん?」
悠「はっ?!」
おれの代わりにメニューを受け取り、唯ちゃんがにやにやしながらこちらを見ている。横から見ている唯ちゃんが気づくくらいだから、当然牡丹ちゃんもおれに気づいているようだった。
だが彼女は気にした様子もなく、愛想のよい笑みを浮かべて小首をかしげている。
牡丹「なんなりとお申し付けくださいな」
悠「……はあ」
どうにも気恥ずかして、牡丹さんから目を逸らし、唯ちゃんと一緒にメニューを覗きこむ。
そうして、ざっとメニューに目を通してみると、意外といってはなんだが、良心的な値段が並んでいた。ただ、飲み物も食べ物も種類は豊富なのだが、日本茶は扱っていないらしい。
唯「じゃあボク、このオリジナルハーブティーってヤツと、木苺のショートケーキをセットで」
悠「おれは……アイスコーヒーと、日替わりケーキを」
牡丹「かしこまりました」
にっこり微笑んだ牡丹ちゃんが、胸元から端末のようなものを取り出す。って今、谷間から!?再びその場所に気を取られ、無意識に凝視してしまう。
そんなおれとは違い、唯ちゃんは端末自体に興味を惹かれたらしく、反対側から身を乗り出してきた。
唯「それで注文を送ったの?」
牡丹「はい」
唯「ちょっと見せてもらってもいい?」
牡丹「え?……はあ。構いませんが……」
さすがに、そんなことを頼まれるとは思っていなかったんだろう。牡丹ちゃんは初めて笑顔以外の表情を浮かべ、困惑しつつも唯ちゃんに端末を手渡した。
唯「なるほどねぇ。こういう作りなわけだ」
牡丹「あの……変なところを押したりしないでくださいね?私、注文の取り消し方とかまだよくわからないので……」
唯「だいじょ~ぶだいじょ~ぶ。ボク、こ~いうの得意だから」
心配そうな牡丹さんの声を軽く流し、唯ちゃんは端末をいじり続ける。
そうこうしているうちに、やはり薄着の女の子が、注文したものを運んできた。短いスカートの裾をふわふわ揺らしながら、手際良く食器を並べていく。
そして準備を終えると、女の子は可愛らしい笑顔をおれに向けて、パチっとウインクをしてから戻っていった。
悠「……」
唯「それじゃ、いただきま~す」
唯ちゃんはいじっていた端末を牡丹さんに返すと、湯気の立つカップに手を伸ばした。まずは香りを楽しむように目を閉じて、それからカップに口をつける。
悠「……」
唯「……へぇ~。これはなかなか……」
感心したように呟きながら、今度はフォークを手にしてケーキを口に運ぶ。
悠「……」
唯「……うんっ。美味しっ♪」
牡丹「お気に召していただけたようで何よりです」
唯ちゃんの感想に、牡丹ちゃんが嬉しそうに口元を綻ばせた。普段から結花さんの作るケーキを食べている唯ちゃんが美味しいというのだから、かなりの出来なんだろう。
悠「どれどれ……」
と、おれもフォークの先をケーキに向けたのだが、不意に牡丹ちゃんの視線を感じて手を止めた。
牡丹「旦那さま、私とじゃんけんをしてみませんか?」
悠「じゃんけん?」
牡丹「はい。旦那さまが勝ったら、私の手で旦那様にケーキを食べさせて差し上げます。その代り、私が勝ったときは、ケーキをひと口分けてくださいね。」
悠「……あ?」
申し出の内容を瞬時には理解できず、間の抜けた声を出してしまった。