ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
結局、別の客が来ることもなく日が暮れてしまった。いつものこととはいえ、やはり客が来ないと張り合いがない。
おやつをねだる吉音の相手をするのも疲れたし、そろそろ店を閉めるか。
久秀「悠、新嬢。ちょっと悪いけど先帰るわね」
悠「ん、ああ。どうかしたのか?」
久秀「工場の方に顔出さなきゃいけないのよ。私が訪問が減ってももちゃんと働いてるかの抜き打ちチェック。ついでに火薬の品質とかも自分の目で見ておかないと」
さすがは大江戸学園で火薬関連の事業を全て牛耳っているだけのことはある。
悠「分かった。どうせ後は片づけだけだ、気にしないでくれ。」
久秀「それじゃあね。」
悠「ああ、じゃあな」
吉音「ばいば~い」
久秀を見送って片づけにかかろうかと思ったそのとき
結花「お疲れ様」
悠「あ、結花さ…」
吉音「お姉ちゃ~ん」
ねずみやの裏手から、ひょっこり現れた結花さんに気づくき、吉音がその胸に飛びつくようにしがみつく。
結花「どうしたの、新さん?」
吉音「おなかすいた~」
結花「あら。それなら小鳥遊くんになにかもらったら?」
吉音「悠はケチだからなにもくれないんだもん」
悠「おれが悪いみたいに言うなって。腹が減ったなら寮で食えもう店は閉めし帰っていいぞ。」
吉音「ね?ケチでしょ?」
結花「ふふっ」
結花さんは肯定も否定もせず、ただ楽しげに笑うだけだった。
悠「ところで、どこかに出かけるんですか?」
結花「どうして?」
悠「いや、だって、こんな時間に店から出てくるなんて、なにか用事でもあるのかと思って」
結花「まあ、用事といえば用事だけど……」
含みのあるいい方をしつつ、結花さんが何故かおれの顔を見つめてくる。
悠「あの……結花さん?」
結花「なぁに?」
悠「おれの顔に、なにかついてますか?」
結花「そうねぇ……可愛らしい目と鼻と口がついてるわ」
悠「……はい?」
きょとんとするおれを見つめ、結花さんが破顔する。
結花「いいわね、その顔。本当に可愛いわ」
悠「かわいいって……いったいなんなんですか?」
結花「仕事がひと段落したから、小鳥遊君の顔を見に来ただけよ」
悠「はあ?」
結花「だって、由真みたいにクラスがいっしょなわけじゃないし、こうでもしないと一日会わずに終わっちゃうでしょ?」
悠「まあ……それは確かに……」
結花「あーあ。小鳥遊君もうちのお店に遊びに来てくれればいいのに……って、無理よね。小鳥遊君もこうしてお店やってるんだもの」
悠「その…すみません」
結花「謝らないで。私の方が無理を言ってるんだから。あ、そうだ。お店をやってる時間は無理でも、終わってからなら大丈夫よね?晩御飯、いっしょにどう?」
悠「え?」
結花「ウチもそろそろ終わりの時間だし、もしよかったら。ね?」
吉音「お姉ちゃん、あたしもっ!」
結花「ええ。みんなで食べながら、たまにはゆっくりお話しでもしましょう?」
吉音「わーいっ♪」
満面の笑みを浮かべて吉音が飛びあがる。
結局、別の客が来ることもなく日が暮れてしまった。いつものこととはいえ、やはり客が来ないと張り合いがない。
おやつをねだる吉音の相手をするのも疲れたし、そろそろ店を閉めるか。
久秀「悠、新嬢。ちょっと悪いけど先帰るわね」
悠「ん、ああ。どうかしたのか?」
久秀「工場の方に顔出さなきゃいけないのよ。私が訪問が減ってももちゃんと働いてるかの抜き打ちチェック。ついでに火薬の品質とかも自分の目で見ておかないと」
さすがは大江戸学園で火薬関連の事業を全て牛耳っているだけのことはある。
悠「分かった。どうせ後は片づけだけだ、気にしないでくれ。」
久秀「それじゃあね。」
悠「ああ、じゃあな」
吉音「ばいば~い」
久秀を見送って片づけにかかろうかと思ったそのとき
結花「お疲れ様」
悠「あ、結花さ…」
吉音「お姉ちゃ~ん」
ねずみやの裏手から、ひょっこり現れた結花さんに気づくき、吉音がその胸に飛びつくようにしがみつく。
結花「どうしたの、新さん?」
吉音「おなかすいた~」
結花「あら。それなら小鳥遊くんになにかもらったら?」
吉音「悠はケチだからなにもくれないんだもん」
悠「おれが悪いみたいに言うなって。腹が減ったなら寮で食えもう店は閉めし帰っていいぞ。」
吉音「ね?ケチでしょ?」
結花「ふふっ」
結花さんは肯定も否定もせず、ただ楽しげに笑うだけだった。
悠「ところで、どこかに出かけるんですか?」
結花「どうして?」
悠「いや、だって、こんな時間に店から出てくるなんて、なにか用事でもあるのかと思って」
結花「まあ、用事といえば用事だけど……」
含みのあるいい方をしつつ、結花さんが何故かおれの顔を見つめてくる。
悠「あの……結花さん?」
結花「なぁに?」
悠「おれの顔に、なにかついてますか?」
結花「そうねぇ……可愛らしい目と鼻と口がついてるわ」
悠「……はい?」
きょとんとするおれを見つめ、結花さんが破顔する。
結花「いいわね、その顔。本当に可愛いわ」
悠「かわいいって……いったいなんなんですか?」
結花「仕事がひと段落したから、小鳥遊君の顔を見に来ただけよ」
悠「はあ?」
結花「だって、由真みたいにクラスがいっしょなわけじゃないし、こうでもしないと一日会わずに終わっちゃうでしょ?」
悠「まあ……それは確かに……」
結花「あーあ。小鳥遊君もうちのお店に遊びに来てくれればいいのに……って、無理よね。小鳥遊君もこうしてお店やってるんだもの」
悠「その…すみません」
結花「謝らないで。私の方が無理を言ってるんだから。あ、そうだ。お店をやってる時間は無理でも、終わってからなら大丈夫よね?晩御飯、いっしょにどう?」
悠「え?」
結花「ウチもそろそろ終わりの時間だし、もしよかったら。ね?」
吉音「お姉ちゃん、あたしもっ!」
結花「ええ。みんなで食べながら、たまにはゆっくりお話しでもしましょう?」
吉音「わーいっ♪」
満面の笑みを浮かべて吉音が飛びあがる。