ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー大江戸学園:廊下ー
つばめ「あ、雪那先生を発見しましたわ~!」
突然声をかけられ、雪那が立ち止まる。校内で自分を先生と呼ぶものは、学習塾の生徒だろう。そう目星をつけて振りかえると、果たしてその予想は当たっていた。
平和「そこな刹那先生!しばしお待ちくだされでござる!!」
信乃「待ってくださ……くれっ!」
刹那「どうしました。勉強で分からないことがあるなら、学習塾の方でゆっくり聞きますよ?」
平和「いいえ、そうではござらんのです」
信乃「塾の授業は、とっても分かりやすくて助かっています……んだぜ!」
つばめ「分からないところは有りますけどね~」
雪那「甚内さんはきちんと筋道を立てて考えられますから、時間をかけて向き合えば絶対に分かるようになりますよ」
つばめ「うふふ、褒められてしまいました」
信乃「もう、つばめったら……今はそんな話しをしに来たのではありません」
つばめ「あら、そうでした」
雪那「ふふっ……それで、どうしたのかな?」
平和「あのですね、先生……」
信乃「塾で、ずっと勉強を教えてくれて……」
つばめ「あと、遊んだりもしてくれて……」
「「「ありがとうございます(でござる)!」」」
笑顔の花咲く三人組が、感謝の言葉と同時に差し出したのは……額縁に納められた絵であった。
雪那「……これは……?」
平和「いつも先生のお世話になっているので、なにかお礼がしたいと考えたでござる。」
つばめ「言葉だけではなく、なにか出来ればと思いまして~」
信乃「絵をあげようって、三人で考えたんです」
平和・つばめ「「ねーっ!」」
雪那「あなた達……」
平和「絵はね私が描いたの!」
信乃「色を塗ったのは私……なんだぜ!」
つばめ「わたくは~……応援ですわ♪」
雪那「ふふ、そうでしたか。では三人の力作なんですね。」
「「「はいっ(です)!」」」
越後屋「何を騒いどるのかと思えば、まあまあ、可愛らしいことを……おままごとみたいな真似、ウチにはよう理解できへんなぁ。こういうのは関わらぬのが一番。ささ、早う店に戻りまひょ」
雪那「大切にさせてもらいます。」
廊下ですれ違うことも疎ましく思ったか、遠回りを承知で踵を返す。……その直前、山吹の視線が偶然その絵に目を止めた。
越後屋「……ん?ん?む?盛りあがってるところ、申し訳ありまへん。ちょいと失礼」
雪那「おや、越後谷さん。珍しいですね、声をかけてくるなんて」
つばめ「こんにちは~」
越後屋「いえ、ちょっと気になったことがありまして……いきなりぶしつけですが、そちらの絵はどなたはんが?」
雪那「これは、この子たちが私のためにと描いてくれたものです。その気持ちが嬉しいですよ」
平和「下手の横好きで恐縮でござるが……」
信乃「そんなことありません。姫様の絵、とてもキレイです」
つばめ「わたくしも大好きですわ~」
越後屋「……いやいや、そんなお話し、とんでもありません」
雪那「どうしました?」
越後屋「この絵は……ただのお礼には、とても過ぎた代物。下手の横好きどころか、千金の価値があるさかいに」
雪那「ほう、そうなのですか」
信乃「姫様、すごいじゃないですか!」
つばめ「お上手ですものねぇ~」
平和「そ、そっかな?……でも私は、先生が喜んでくれたことの方が嬉しいでござるよ」
雪那「はい。私も、この絵に価値があることよりも、私に描いてくれたことがとてもうれしく思います」
平和「えへへ……あははは……ッ!」
つばめ「あ、雪那先生を発見しましたわ~!」
突然声をかけられ、雪那が立ち止まる。校内で自分を先生と呼ぶものは、学習塾の生徒だろう。そう目星をつけて振りかえると、果たしてその予想は当たっていた。
平和「そこな刹那先生!しばしお待ちくだされでござる!!」
信乃「待ってくださ……くれっ!」
刹那「どうしました。勉強で分からないことがあるなら、学習塾の方でゆっくり聞きますよ?」
平和「いいえ、そうではござらんのです」
信乃「塾の授業は、とっても分かりやすくて助かっています……んだぜ!」
つばめ「分からないところは有りますけどね~」
雪那「甚内さんはきちんと筋道を立てて考えられますから、時間をかけて向き合えば絶対に分かるようになりますよ」
つばめ「うふふ、褒められてしまいました」
信乃「もう、つばめったら……今はそんな話しをしに来たのではありません」
つばめ「あら、そうでした」
雪那「ふふっ……それで、どうしたのかな?」
平和「あのですね、先生……」
信乃「塾で、ずっと勉強を教えてくれて……」
つばめ「あと、遊んだりもしてくれて……」
「「「ありがとうございます(でござる)!」」」
笑顔の花咲く三人組が、感謝の言葉と同時に差し出したのは……額縁に納められた絵であった。
雪那「……これは……?」
平和「いつも先生のお世話になっているので、なにかお礼がしたいと考えたでござる。」
つばめ「言葉だけではなく、なにか出来ればと思いまして~」
信乃「絵をあげようって、三人で考えたんです」
平和・つばめ「「ねーっ!」」
雪那「あなた達……」
平和「絵はね私が描いたの!」
信乃「色を塗ったのは私……なんだぜ!」
つばめ「わたくは~……応援ですわ♪」
雪那「ふふ、そうでしたか。では三人の力作なんですね。」
「「「はいっ(です)!」」」
越後屋「何を騒いどるのかと思えば、まあまあ、可愛らしいことを……おままごとみたいな真似、ウチにはよう理解できへんなぁ。こういうのは関わらぬのが一番。ささ、早う店に戻りまひょ」
雪那「大切にさせてもらいます。」
廊下ですれ違うことも疎ましく思ったか、遠回りを承知で踵を返す。……その直前、山吹の視線が偶然その絵に目を止めた。
越後屋「……ん?ん?む?盛りあがってるところ、申し訳ありまへん。ちょいと失礼」
雪那「おや、越後谷さん。珍しいですね、声をかけてくるなんて」
つばめ「こんにちは~」
越後屋「いえ、ちょっと気になったことがありまして……いきなりぶしつけですが、そちらの絵はどなたはんが?」
雪那「これは、この子たちが私のためにと描いてくれたものです。その気持ちが嬉しいですよ」
平和「下手の横好きで恐縮でござるが……」
信乃「そんなことありません。姫様の絵、とてもキレイです」
つばめ「わたくしも大好きですわ~」
越後屋「……いやいや、そんなお話し、とんでもありません」
雪那「どうしました?」
越後屋「この絵は……ただのお礼には、とても過ぎた代物。下手の横好きどころか、千金の価値があるさかいに」
雪那「ほう、そうなのですか」
信乃「姫様、すごいじゃないですか!」
つばめ「お上手ですものねぇ~」
平和「そ、そっかな?……でも私は、先生が喜んでくれたことの方が嬉しいでござるよ」
雪那「はい。私も、この絵に価値があることよりも、私に描いてくれたことがとてもうれしく思います」
平和「えへへ……あははは……ッ!」