ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー闘剣場ー
悠「想像以上に凄いな……」
吉音「うん。足踏みのフェイントでまずひとりだけ誘い出したあたりとか、闘いなれてるって感じ」
悠「それに加えて二人目を倒した技、アレも凄かった」
上段からの打ち込みを左下段から摺り上げた刀の鞘で弾き、ほとんど同時に右下下段からの摺り上げて胴を薙ぐ。太刀筋が×の字を描く高速の二段斬り上げ。おれには到底、真似できない剣技だ。
シオン「く、く……思ったよりは楽しめそうだ」
シオンは獲物を前にした獣みたいな顔をしている。シオンがそんな顔をするということは、あの青龍軒という男が、正真正銘の強者ということだ。
吉音「あれ?ねえ、悠」
ふいに吉音が、おれの裾をくいくいと引っ張ってくる。
悠「あー、どした?」
吉音「あそこにいる子、さっきまでここにいた子じゃない?」
吉音が視線を注いでいるのは、青龍軒が勝ち名乗りをあげている試合場だ。そこにいたのは……
悠「えっ、須美さん!?」
懐剣を握りしめた須美さんだった。
須美「兄の仇、覚悟ぉ!」
青龍軒「むうっ!?」
ガキン!
須美「あ……っ」
司会「おぉっと、なんだぁ!乱入者だ!謎の女生徒が青龍軒に襲いかかったが返り討ちにされたぁ!」
須美「う、ぅ……ッ……」
青龍軒「む……貴様、昨夜の女か。なぜ俺を狙うのか知らんが、しつこいことだ」
須美「うぅ……あ、兄の、仇……っ……!」
青龍軒「兄?」
シオン「そこまでにしてもらおう」
司会「なぁんと、ここでさらに乱入者!しかも、あの眠利シオンだぁ!これはどういうことだぁ!?」
青龍軒「そうか、貴様が眠利シオンだったのか」
シオン「他に同姓同名は知らんな」
青龍軒「ふん……それで、その眠利シオンが何の用だ?」
シオン「その女を返してもらいに来ただけだ……ああ、ついでにおまえを倒してしまうのもいいな」
青龍軒「……そういう魂胆か。だが、知らなかったぞ」
シオン「うん?」
青龍軒「眠利シオンというのが、試合直後の相手に女をけしかけてからでないと勝負を挑めないひきょう者だったとはなぁ!」
司会「おっと、話し声が聞こえてきたが……どうやら、眠利シオンは青龍軒に勝負を挑みに来たようだぞ。だが、敢えて試合直後に、しかも二人がかりで挑もうというのは少々あざとい!」
シオン「……」
青龍軒「さあどうする、眠利シオン。少々騒がしくなったが、始めるとするか?」
シオン「……やめた」
悠「やめたじゃないだろ!」
司会「おっと、またもや乱入者。眠利シオンの助っ人か!?」
吉音「事情はよく分かんないけど、あの子を置いていくわけにはいかないんだよね?」
シオン「いや、べつに?」
悠「べつに、じゃないだろ!須美さんが捕まっているんだぞ。助けなきゃ!」
シオン「捕まったのは。あの女の自業自得だ。わたしには関係ない。」
悠「関係ないって、そんな……ああっ、おい!シオン!」
呼びとめようとしたけれど、シオンは一度も振り返ることなく歩いていってしまった。
悠「想像以上に凄いな……」
吉音「うん。足踏みのフェイントでまずひとりだけ誘い出したあたりとか、闘いなれてるって感じ」
悠「それに加えて二人目を倒した技、アレも凄かった」
上段からの打ち込みを左下段から摺り上げた刀の鞘で弾き、ほとんど同時に右下下段からの摺り上げて胴を薙ぐ。太刀筋が×の字を描く高速の二段斬り上げ。おれには到底、真似できない剣技だ。
シオン「く、く……思ったよりは楽しめそうだ」
シオンは獲物を前にした獣みたいな顔をしている。シオンがそんな顔をするということは、あの青龍軒という男が、正真正銘の強者ということだ。
吉音「あれ?ねえ、悠」
ふいに吉音が、おれの裾をくいくいと引っ張ってくる。
悠「あー、どした?」
吉音「あそこにいる子、さっきまでここにいた子じゃない?」
吉音が視線を注いでいるのは、青龍軒が勝ち名乗りをあげている試合場だ。そこにいたのは……
悠「えっ、須美さん!?」
懐剣を握りしめた須美さんだった。
須美「兄の仇、覚悟ぉ!」
青龍軒「むうっ!?」
ガキン!
須美「あ……っ」
司会「おぉっと、なんだぁ!乱入者だ!謎の女生徒が青龍軒に襲いかかったが返り討ちにされたぁ!」
須美「う、ぅ……ッ……」
青龍軒「む……貴様、昨夜の女か。なぜ俺を狙うのか知らんが、しつこいことだ」
須美「うぅ……あ、兄の、仇……っ……!」
青龍軒「兄?」
シオン「そこまでにしてもらおう」
司会「なぁんと、ここでさらに乱入者!しかも、あの眠利シオンだぁ!これはどういうことだぁ!?」
青龍軒「そうか、貴様が眠利シオンだったのか」
シオン「他に同姓同名は知らんな」
青龍軒「ふん……それで、その眠利シオンが何の用だ?」
シオン「その女を返してもらいに来ただけだ……ああ、ついでにおまえを倒してしまうのもいいな」
青龍軒「……そういう魂胆か。だが、知らなかったぞ」
シオン「うん?」
青龍軒「眠利シオンというのが、試合直後の相手に女をけしかけてからでないと勝負を挑めないひきょう者だったとはなぁ!」
司会「おっと、話し声が聞こえてきたが……どうやら、眠利シオンは青龍軒に勝負を挑みに来たようだぞ。だが、敢えて試合直後に、しかも二人がかりで挑もうというのは少々あざとい!」
シオン「……」
青龍軒「さあどうする、眠利シオン。少々騒がしくなったが、始めるとするか?」
シオン「……やめた」
悠「やめたじゃないだろ!」
司会「おっと、またもや乱入者。眠利シオンの助っ人か!?」
吉音「事情はよく分かんないけど、あの子を置いていくわけにはいかないんだよね?」
シオン「いや、べつに?」
悠「べつに、じゃないだろ!須美さんが捕まっているんだぞ。助けなきゃ!」
シオン「捕まったのは。あの女の自業自得だ。わたしには関係ない。」
悠「関係ないって、そんな……ああっ、おい!シオン!」
呼びとめようとしたけれど、シオンは一度も振り返ることなく歩いていってしまった。