ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【7】
ー闘剣場ー
悠「闘剣って、こんなところでやっていたのか……」
須美さんが案内してくれた場所は、とある武家屋敷の中庭だった。非合法な賭け試合会場というから、地下闘技場めいたものを想像していたけれど、まさか武家屋敷とは……。
シオン「客も剣士もこれだけ集めているんだ。後ろ盾があるに決まっているだろ。」
須美「仕合の様子はネット配信もされていますから、規模はかなり大きいです。」
そこまで大規模となると、いまここで逢岡さんに連絡を取ったとしても、手の出しようがないか?いざとなったら逢岡さんに踏み込んでもらうつもりでいたのだけど、これはもっと慎重になるべきか……。
悠「なあ、シオン。やっぱり帰らないか?ほら、シオンは有名人だし、賭け試合に出たのがばれたらいろいろと……」
シオン「お、次の試合が始まるぞ。なかなか面白そうなカードじゃないか」
悠「そんな試合なんかどうでも良いからってええぇ!?」
見るとはなしに見えたのは、なぜかリングに上がって観客席に手を振っている吉音の姿だった。
司会「さあ本日の第二試合はぁ、今日が闘剣デビューの新人登場だぁ!」
吉音「えへへ、買いものの途中にスカウトされちゃいましたー」
司会「ぶっちゃけ見た目だけでスカウトしてきた天然少女が何分持つのか!?さあ、ゴングはもうすぐだぁ!!」
吉音「みんなー、応援よろしくーっ」
悠「新……何をやっとるんだアイツは……」
須美「御前試合が終わっても闘剣は盛りあがりますから、例年飛び入り参加が良くあると、兄が言っておりました」
悠「そーなんすか……」
だけど、それにしたってこれは予想外だ。お使いにしてはやけに帰りが遅いと思ったら、まさかこんなところで寄り道していたなんて……。吉音まで試合に出たんじゃ、ますます逢岡さんに通報するわけにはいかなくなってしまった。
シオン「く、く……随分と楽しませてくれる用心棒だ」
悠「楽し過ぎて、胃がキリキリして来たよ」
おれがお腹に手を当てたところで、周囲から大きな歓声があがった。
司会「さあ、ゴングだ!待ったなし時間無制限一本勝負の始まりだぁ!」
カーン!
シオン「仕合、始まったな。もう止められないぞ。」
悠「もう諦めてるよ……」
吉音「さあ、こいっ!」
男子生徒F「へへ、なます斬りにしてやらぁ!!」
ズバッ!
吉音「……」
男子生徒F「へ、へ……ぐはぁっ!!」
吉音「……ふぅ」
カンカンカーン!
司会「な、なんとぉ!!これは大番狂わせ!天然少女の秒殺勝利だぁ!!オッズは一体いくらだぁ!?」
吉音「ありがとー。応援、ありがとーっ」
司会「試合後も余裕の顔で手を振って居るぞ!これは大型新人の登場かぁ!?」
須美「わぁ……すごいですね、あの人」
シオン「まったくだ。やるじゃないか、おまえの用心棒は」
悠「お、お恥ずかしいかぎりで……」
吉音のヤツ、後できつく叱ってやるんだからな!
結局、吉音はこのあと更に二試合をこなして、見事に三連勝を飾ったのだった。
悠「闘剣って、こんなところでやっていたのか……」
須美さんが案内してくれた場所は、とある武家屋敷の中庭だった。非合法な賭け試合会場というから、地下闘技場めいたものを想像していたけれど、まさか武家屋敷とは……。
シオン「客も剣士もこれだけ集めているんだ。後ろ盾があるに決まっているだろ。」
須美「仕合の様子はネット配信もされていますから、規模はかなり大きいです。」
そこまで大規模となると、いまここで逢岡さんに連絡を取ったとしても、手の出しようがないか?いざとなったら逢岡さんに踏み込んでもらうつもりでいたのだけど、これはもっと慎重になるべきか……。
悠「なあ、シオン。やっぱり帰らないか?ほら、シオンは有名人だし、賭け試合に出たのがばれたらいろいろと……」
シオン「お、次の試合が始まるぞ。なかなか面白そうなカードじゃないか」
悠「そんな試合なんかどうでも良いからってええぇ!?」
見るとはなしに見えたのは、なぜかリングに上がって観客席に手を振っている吉音の姿だった。
司会「さあ本日の第二試合はぁ、今日が闘剣デビューの新人登場だぁ!」
吉音「えへへ、買いものの途中にスカウトされちゃいましたー」
司会「ぶっちゃけ見た目だけでスカウトしてきた天然少女が何分持つのか!?さあ、ゴングはもうすぐだぁ!!」
吉音「みんなー、応援よろしくーっ」
悠「新……何をやっとるんだアイツは……」
須美「御前試合が終わっても闘剣は盛りあがりますから、例年飛び入り参加が良くあると、兄が言っておりました」
悠「そーなんすか……」
だけど、それにしたってこれは予想外だ。お使いにしてはやけに帰りが遅いと思ったら、まさかこんなところで寄り道していたなんて……。吉音まで試合に出たんじゃ、ますます逢岡さんに通報するわけにはいかなくなってしまった。
シオン「く、く……随分と楽しませてくれる用心棒だ」
悠「楽し過ぎて、胃がキリキリして来たよ」
おれがお腹に手を当てたところで、周囲から大きな歓声があがった。
司会「さあ、ゴングだ!待ったなし時間無制限一本勝負の始まりだぁ!」
カーン!
シオン「仕合、始まったな。もう止められないぞ。」
悠「もう諦めてるよ……」
吉音「さあ、こいっ!」
男子生徒F「へへ、なます斬りにしてやらぁ!!」
ズバッ!
吉音「……」
男子生徒F「へ、へ……ぐはぁっ!!」
吉音「……ふぅ」
カンカンカーン!
司会「な、なんとぉ!!これは大番狂わせ!天然少女の秒殺勝利だぁ!!オッズは一体いくらだぁ!?」
吉音「ありがとー。応援、ありがとーっ」
司会「試合後も余裕の顔で手を振って居るぞ!これは大型新人の登場かぁ!?」
須美「わぁ……すごいですね、あの人」
シオン「まったくだ。やるじゃないか、おまえの用心棒は」
悠「お、お恥ずかしいかぎりで……」
吉音のヤツ、後できつく叱ってやるんだからな!
結局、吉音はこのあと更に二試合をこなして、見事に三連勝を飾ったのだった。