ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー大江戸城膝元:特設ステージー
目のまえスレスレで爆発が起こった。今でもまだちりちりと火花が散って煙が上がっていて、地面はすすけて焦げていた。
呆然とするおれを他所に輝の声が響いた。
『なっななーんと、爆発したぁ!これはいったいどういうことなのか!あんなのを喰らってしまったらひとたまりもないぞぉぉぉ!!』
本当にひとたまりもふたたまりも、みずたまりもないのに止める気はもっとないらしい。
おれが突き飛ばした寅は既にたちがって戦闘態勢だ。
「寅、無事か!」
「あぁ、それより何だ今のは……。」
「わからん。けど……あの女は爆撃系の攻撃で来るらしいぞ」
松永久秀、敵対する彼女はクスクスと稲葉にも似た笑い方をしている。そして、不意にまた手に持つ扇子を一振りした。おれはそれを、何もないはずの空間を凝視した。今が昼まで助かったのかもしれない。太陽の光を受けてきらきらと本のごく僅(わず)かだが粒子のようなものが空を舞っている。
おれはその場から横に飛ぶ。ワンテンポ遅れてボンッと火柱が上がった。
「っ……あの発火色、この匂い……火薬か!」
「ご明察。久秀の……」
何かを言いかけた松永だったがおれに集中し過ぎていたのか、寅に完全に間合いを詰められているぞ。獣は容赦なく獲物を狩るように右フックをしかけている。
「おらぁっ!」
「まったく……まるで獣ねっ!」
ガキンっ!
「なにっ……!」
扇子を持っている逆の手にはいつの間に抜いたのか、短刀を持っていて。寅の打撃を受け止めていた。だが、それでも力は圧倒的に寅の方が有るらしくぐぐっと押しこまれだす。
「獣には火が有効よね!」
風をぶつけるように扇子を振る。
「くっ……」
寅は火薬の粉が直撃したのが分かったらしい。攻撃の手を緩めて久秀から距離を取る。
「馬鹿ね。死になさい」
ピッ……火花がボボボボッと連鎖爆発していき寅の元へと凄い勢いで迫っていく。寅も身体に着いた火薬を振り払うように爆発はもうすぐ側までやって来ていた。
「寅!上着を脱げ!」
「っ!」
おれの声が届いたらしく寅は上着を空高くに放り投げた、連鎖爆発はそれを追っていき空中でボンッとひときは大きな音を立てて火柱をあげた。メラメラと燃えながら上着だったものが落ちてくる。
「はぁはぁ……チッ。やりにくい」
「確かに……射程距離が読めない」
寅は相当な距離を走ったにも関わらず、火の手はずっと追って来ていた。火薬風を直撃したら水でも被るつもりじゃないと全部は振り払えない。次に久秀、本体。彼女は見た目通り力はないらしい。それでも口先と火薬術だけでなそこそこ腕もたつ。寅の拳を受け止めるくらいだし。
おれと寅が距離を詰めかねていると久秀がいった。
「こないなら、久秀がいくわよ。」
そういうと、自分の頭上で大きく手を振るように扇子を振った。なにか……ヤバいのが来る、そう直感した。
「爆蛇の舞い」
突然、横振りだった扇子が縦に振り下ろされた。そして、爆発が起こりまるで蛇のように蛇行しながらおれのほうに向かってくる。一本や二本ではない。無数の爆蛇が向かって来ているのだ。
「嘘っ!だっ!ろっ!」
自分がいた場所、いた場所に火柱が上がる。逃げては戻り、逃げては戻り、頬や髪の一部に火花をかすりつつ何とかヤツの爆撃攻撃を避け続けていたが……ドンッと何かにぶつかった。
「てめっ……!」
「寅っ……!」
おれが逃げてるってことは寅も同じだ、走りまわってるうちについにぶつかってしまったらしい。
久秀はにっと笑っていった。
「はい、おしまい」
ゴゥッ……と熱を感じた。正面を見ると今までのものより大きな爆発がおれと寅を飲みこんだ。
目のまえスレスレで爆発が起こった。今でもまだちりちりと火花が散って煙が上がっていて、地面はすすけて焦げていた。
呆然とするおれを他所に輝の声が響いた。
『なっななーんと、爆発したぁ!これはいったいどういうことなのか!あんなのを喰らってしまったらひとたまりもないぞぉぉぉ!!』
本当にひとたまりもふたたまりも、みずたまりもないのに止める気はもっとないらしい。
おれが突き飛ばした寅は既にたちがって戦闘態勢だ。
「寅、無事か!」
「あぁ、それより何だ今のは……。」
「わからん。けど……あの女は爆撃系の攻撃で来るらしいぞ」
松永久秀、敵対する彼女はクスクスと稲葉にも似た笑い方をしている。そして、不意にまた手に持つ扇子を一振りした。おれはそれを、何もないはずの空間を凝視した。今が昼まで助かったのかもしれない。太陽の光を受けてきらきらと本のごく僅(わず)かだが粒子のようなものが空を舞っている。
おれはその場から横に飛ぶ。ワンテンポ遅れてボンッと火柱が上がった。
「っ……あの発火色、この匂い……火薬か!」
「ご明察。久秀の……」
何かを言いかけた松永だったがおれに集中し過ぎていたのか、寅に完全に間合いを詰められているぞ。獣は容赦なく獲物を狩るように右フックをしかけている。
「おらぁっ!」
「まったく……まるで獣ねっ!」
ガキンっ!
「なにっ……!」
扇子を持っている逆の手にはいつの間に抜いたのか、短刀を持っていて。寅の打撃を受け止めていた。だが、それでも力は圧倒的に寅の方が有るらしくぐぐっと押しこまれだす。
「獣には火が有効よね!」
風をぶつけるように扇子を振る。
「くっ……」
寅は火薬の粉が直撃したのが分かったらしい。攻撃の手を緩めて久秀から距離を取る。
「馬鹿ね。死になさい」
ピッ……火花がボボボボッと連鎖爆発していき寅の元へと凄い勢いで迫っていく。寅も身体に着いた火薬を振り払うように爆発はもうすぐ側までやって来ていた。
「寅!上着を脱げ!」
「っ!」
おれの声が届いたらしく寅は上着を空高くに放り投げた、連鎖爆発はそれを追っていき空中でボンッとひときは大きな音を立てて火柱をあげた。メラメラと燃えながら上着だったものが落ちてくる。
「はぁはぁ……チッ。やりにくい」
「確かに……射程距離が読めない」
寅は相当な距離を走ったにも関わらず、火の手はずっと追って来ていた。火薬風を直撃したら水でも被るつもりじゃないと全部は振り払えない。次に久秀、本体。彼女は見た目通り力はないらしい。それでも口先と火薬術だけでなそこそこ腕もたつ。寅の拳を受け止めるくらいだし。
おれと寅が距離を詰めかねていると久秀がいった。
「こないなら、久秀がいくわよ。」
そういうと、自分の頭上で大きく手を振るように扇子を振った。なにか……ヤバいのが来る、そう直感した。
「爆蛇の舞い」
突然、横振りだった扇子が縦に振り下ろされた。そして、爆発が起こりまるで蛇のように蛇行しながらおれのほうに向かってくる。一本や二本ではない。無数の爆蛇が向かって来ているのだ。
「嘘っ!だっ!ろっ!」
自分がいた場所、いた場所に火柱が上がる。逃げては戻り、逃げては戻り、頬や髪の一部に火花をかすりつつ何とかヤツの爆撃攻撃を避け続けていたが……ドンッと何かにぶつかった。
「てめっ……!」
「寅っ……!」
おれが逃げてるってことは寅も同じだ、走りまわってるうちについにぶつかってしまったらしい。
久秀はにっと笑っていった。
「はい、おしまい」
ゴゥッ……と熱を感じた。正面を見ると今までのものより大きな爆発がおれと寅を飲みこんだ。