ｰ大江戸学園:広場ｰ

手下C「こ、こ、このぉ!」

手下D「うおおおっ!」

今度は左右から挟み撃ち……!

銀次「遅い遅い。その棒きれはただ振り回しゃいいってモンじゃないんだ」

が、銀次は驚くほど速い身のこなしでふたりの背後に回ると、その衣服の中に手を滑り込ませた。

手下C「はぅわ!!」

手下D「うぐっ、お、おぉぉぅ……」

輝『ま、またしてもあっという間にふたりを片づけてしまいました!ただその悶絶の仕方が、なぜだかなまめかしい!衣服の下で一体ナニが行われたのでありましょうかっ!』

し、知りたくねぇ……。

銀次「はっはぁ!我輩はここだぞ?そんなへっぴり腰でどうしようってんだ。なぁ椿姫」

ヤシチ「クマクマ～ッ☆」

手下E「け、剣魂っ!?いつの間にぃ!」

手下F「あぎゃぁぁあああっ!コイツもかよー!」

さらに続けてふたりが、ヤシチの胸で甘い眠りにつかされてしまった。このコンビだけ、まるで別の世界に生きているようだ……。

銀次「残るはお前さんひとりだけだぜ。ねっとりといく方が好きか?それとも激しく燃え上がる方がお好みかな?」

手下A「ど……どっちもお断りだ化け物め!」

銀次「つれないヤツだな。我輩の方はいつでも大歓迎だというのに……ふぅんっ!!」

手下A「あ……あ……ああ、あぁあああ～～ッ!!」

輝『ああ……なんと罪作りなことか。これでまたトラウマを抱えた生徒がひとり増えてしまいました。てめてこれから見る世界に喜びを見いだせるよう、祈るばかりです』

輝も輝で無茶苦茶言ってるな……。だがこれで酉居の取り巻きは全員片づけられた。あまりの事態に立ちすくんでいる酉居のもとへ、銀次の巨体がのっしのっしと迫っていく。

銀次「ああ……これでは全く足らんなぁ。もっとこう奥の!下の方から!滾らせてくれる奴はいないのかねぇ。なぁ、マムシの酉居君よ」

酉居「お……おおお、来るなっ!その見苦しい身体を近づけるんじゃないっ!」

ズバッ!
銀次「んぉ?」

悠「え?」

酉居「なにっ!?」

棒立ちのまま、苦し紛れに繰り出された酉居の剣。それが見事に銀次のわき腹にヒットし、登録証から高らかに、銀次の失格を告げた。

銀次「おおっと、ボケッとしていたぜ。我輩はこれで退場しなくてはならなくなったな」

酉居「き……貴様、一体どういうつもりだ」

銀次「どうもこうも、我輩は切られてしまったのでここでおしまいというだけだ。では諸君、最後まで熱く迸るパッションを、心行くまでぶつけ合ってくれよな。また会おう」

その言葉を最後に、銀次はスタスタと歩いていってしまった。どういうことだ……あれだけの体捌きを見せていた銀次が、全く力の入っていない一太刀で敗れた……?当の酉居も信じられないという面持ちで、銀次の背中を見送っている。

輝『こ……こりは波乱です!圧倒的強さで手下をなぎ倒したじごろう銀次!しかし油断があったのか、首領の酉居葉蔵の手によって退けられてしまいました!これはわからなくなってきました!一体誰が優勝の二文字を手にすることになるのでしょう～～～かっ!!』

そ、そうか。事情はよく分からないが酉居は丸裸にされ、銀次は敗退した。ここに残る数十人で、最後の戦いが行われるわけか。

男子生徒D「うおおおお!覚悟ーっ!!」

遠巻きにして推移を眺めていた人垣の中から、ひとりが酉居に向かって突進していく。

それで目が覚めたかのように、この場は一気に大混戦となった。

酉居「舐めるなぁあっ!ひとりになったとはいえ、俺を甘くみるなよっ!」

即座に酉居も応戦する。残りの人数のうち三分の一くらいは酉居へと殺到し、三分の二は近くのライバルと斬り合いを始めた。

寅「さぁて……こっからが本当の正念場だな。最後まで生き残らないと殺すぞ」

悠「なんでおれは生き残っても生き残らなくても痛い未来しか見えないんだろう」

寅「テメーの運命を呪うんだな!」

悠「そんな運命は知らん!」

おれと寅は背中合わせに斬りかかってくるライバルたちを蹴散らしていく。

酉居「ぬぉぉあああ!貴様らごときに俺をやれると思うなぁあああ!!」

飛び交う怒号の中、一際大きく酉居の絶叫が聞こえた。