ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】

ー上空ー

輝『毎度お騒がせしております。こちら実況の比良賀です。ついにやってまいりました乱取りの最終日。泣いても笑っても今日決着がつきます!さらに最終日システムとして、登録証の索敵システムが解放されます。これを使えばどちらの方向に生き残りが居るかがすぐにわかります。つまり隠れてやり過ごすことがとても困難になるのです!栄冠は誰の手に!これ以上の言葉はもはや必要ありません。ゴングの時間です!!』

ぶぉぉぉぉーー!



ー大江戸学園:大通りー

どう聞いても法螺貝だけどな。さて、最終日だ。おれはこれまでの小鳥遊堂スタートから、大通りでのスタートに切り替えた。残り人数は五十を切っているらしい。輝の説明にもあったように索敵システムを使えば簡単に位置は把握される。それなら大通りで堂々としていた方が、万全の体制で居られる分マシだ。

同じ考えらしい敵も何人か見えるし、なにより。

酉居「今までお前たちが勝ち残って来られたのは、俺から逃げ回ってきたからだ。しかし今日はそういうわけにはいかん。全員切り倒してやろう!」

他人を挑発しまくる酉居がここにいる。アイツを倒さなければ優勝が見えないのは、誰もが分かっていることだ。

輝『開始早々、酉居葉蔵からの不敵な宣言です!彼の率いる部隊は、さすがに当初よりは数を減らしたものの、まだまだ健在。しかし……仮に他の敵を全て倒してしまった場合はどうするのでしょう?全員自害、などということになれば、不正行為と認定せざる得ないのですが!』

酉居「やかましい比良賀!その時は我々のみで乱取りをするまでだ!グダグダ抜かすな!」

輝『なるほどなるほど、それは失礼いたしました。っとこのようにおっしゃっていますが、さぁさぁ誰かその前に立ちはだかる猛者はいないのでしょうか!?』

よぉし、駄目でもともとだと何度も自分で言い聞かせてきた。どうせ散るなら派手に行こうじゃないか。

悠「おれが……ぐぇっ」

寅「テメーは勝手に動くな」

いつの間にいたのか寅に首根っこを引っ掴まれて一歩後ろに引きずられる。

銀次「俺がいるぜぇ!?ぃよう、待たせたな、真打ち登場だ」

いや始まったばかりだけど。

酉居「貴様、水都の犬の……」

銀次「じごろう銀次ってんだ。いい加減覚えてくれよなマムシボーイ」

酉居「やっ、やめろその気色悪い物言いを!」

珍しく酉居が嫌悪感……というより恐怖?に近いものを露わにしている。あの人にも苦手なものってあるんだな。

輝『おおっと?二日目にはあまり目立たなかったじごろう銀次、ここで満を持しての登場だァーっ!』

悠「銀次、あんた」

銀次「我輩があのような枯れ木に押し流されるわけがない。ハニーはそこでのんびり観戦してな」

銀次はたったひとりでズンズンと、酉居たちの前へと歩みだしていく。

輝『その巨体を酉居さま御一行の前に投げ出し、敢然と唯一人立ち向かってゆくゥゥーッ!!』

酉居「ヤツを近づけるな!全員でかかれ!」

手下A「はい!お前らやるぞ!」

酉居の号令で、手下たちが進み出る。総勢六名。ここまで戦い抜いてきたということは、彼らもそれなりの腕を持っているんだろう。

銀次「我輩を満足させてくれるボーイはいるのかな?いやこの場合は我輩が諸君を満足させてやればいいのかな」

進み出る銀次も足を止めない。誰もそこへ加勢せず、周囲で血糖も発生せず、なにかこの戦いを見守る雰囲気になってきた。

手下A「相手はひとりだ、一気に決めろ!」

手下B「おぉっ!!」

銀次「ふははは!楽しく踊ろうじゃないか!」

手下B「ほざけっ!」

酉居の手下が、正面から刀を振り下ろす。が、それは軽々と薔薇の花弁に受け止められていた。

銀次「やれやれ、そんな踏み込みでは誰ひとり昇天させられんぜ」

手下B「うわっ!は、放せこのっ!」

さらにその手下が逃げる前にガッシと腕を組み、力強く引き寄せる。

銀次「ふっ」

手下B「あ、あ、当たって……ぎぁああ!!」

輝『おお!ナニがドコに当たったのでしょうか!突然悲鳴をあげて倒れてしまいました!一瞬の早業、恐るべしじごろう銀次!酉居一派は、果たして彼を止められるのでしょうかっ!?』
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