ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】

ー大江戸学園:通りー

朱金「コソコソ手下の陰に隠れやがって、どっちが八百長だよ」

酉居「参加者同士で徒党を組むことは禁止事項の中にない。誰にはばかることもない正当な戦術だ。」

朱金「何自慢してやがんだ。ひとりじゃ優勝できねぇって白状してるようなモンじゃねぇか」

酉居「俺はお前のような脳筋ではない。そもそも上に立つものに求められるのは、腕力ではなく統率力と先見の明だ。上手く他人を配置し、労働力を引き出し、大きな結果を得る。これこそが課せられた使命だろう」

朱金「なぁにが上に立つ者は、だ。自分でいってりゃ世話ねぇな。精々月のない晩の背中にゃ気をつけやがれ。」

酉居「愚弄の上に強迫か。こんなチンピラとは話すだけ無駄だな。それと小鳥遊、貴様だ」

悠「あー?おれ……?」

酉居「貴様は明日、必ず我々が叩き潰してやる。今から覚悟しておけ。」

悠「……おれさ、こう見えても人気者なんでね。アンタらには倒されないかもよ」

酉居「フン……行くぞ」

言うだけ言うと、酉居は踵を返し、取り巻きを率いてサッサといってしまった。

真留「まったく、いつ見ても感じの悪い人ですね」

朱金「へへっ、よかったじゃねぇか、酉居に警戒されてるぜ」

悠「みたいだな……もし勝ち残っていけばいずれは遣り合わなきゃならないんだし。っか、おれは寅からも狙われてるんだけどな……」

朱金「寅……あぁ、右京山寅のことか」

悠「あれ、知ってたっけ?」

朱金「まぁな。賭場でよく顔合わせてっし、何度かやりあったこともあるぜ」

悠「あぁ、納得。」

朱金「まぁなんだ、越後屋には抜けられちまったが……明日は万全で戦わせてやる。戦場でのことはお前自身で解決するしかねぇ。頑張って来いよ。」

悠「ああ。せっかくここまで来たんだからな」

真留「小鳥遊さん、頑張ってくださいね!私、応援してますから!」

朱金「そういや、真留はなんどかモニターに見とれてたもんな」

真留「み、見とれてなんていません!変なこと言わないでくださいよ!遠山様!」

悠「ははっ、なんにしても真留の応援も受け取ったよ。ありがと」

真留「はい♪」





ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「ふぅーー……」

今日はもう疲れたし、飯は食わずに、さっさと寝ちまうか。そんなこと思いながら家まで帰ってきたときだった。ねずみやの方から、不機嫌そうな顔をした由真が近づいてくる。

由真「ねえ」

悠「あー?なんだ?」

由真「ちょっといい?」

悠「いいって?」

由真「時間あるかって聞いてんのよ」

悠「まあ、少しくらいなら」

疲れているが、これから店を開くわけでもないしな。

由真「じゃあ来て」

悠「?」



ーねずみやー

誘われるまま、ねずみやまでやってきた。既に店を閉めたあとらしく、客の姿はない。

由真「ちょっとそこで待ってて」

特に席を進めることもなく、由真はそっけなく言い捨てて店の奥にいってしまう。

悠「結花さんと結ちゃんは?」

由真「え?っと……その……ちょっと出かけてるっていうか……」

悠「なんで由真は一緒に出かけなかったんだ?」

由真「うっさいな。そんなの私の勝手でしょ」

悠「まあ、そうだけど……」

どうしておれは、呼び出されてまで文句を言われているんだろう。っていうか、そもそも用事って?

なんてことを思っていると、奥から由真が戻ってきた。
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