ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】

ー大江戸学園:大広場ー

吉音「ねぇねぇどんなの?どんなの?」

平和「それはでござるね、まずマミヤが……」

つばめ「とっと、姫様、今回はそこまでですわ。ここには沢山のひとがいらっしゃいますし」

平和「わっ、危ないまたしゃべっちゃうとこだった!ずるいでござるよ新さんっ!」

吉音「ええ~、ちょっと聞いただけじゃない」

信乃「どんな技かは、本番でみていただき……くれよな!」

悠「でもおれだってそう簡単に負けるわけにゃいかないし……手加減なしでぶん殴りに行くからな」

平和「もちろん、正々堂々の戦いでござる!」

銀次「オゥ……熱く熱く、炎のように燃えているねぇボーイ&ガール」

平和「ぎゃぁあああっ!出たぁああああ!」

つばめ「いやぁ~~ですわ~~」

信乃「えっ、あっ、あれっ?」

悠「銀次……」

銀次が現れた瞬間、平和が悲鳴を上げて逃げていった。つばめもその背を追っていく。

ひとり残った信乃はといえば。

信乃「あの、あの~~こんにちは。えっとぉ……」

逃げていった仲間と、にこやかな表情の銀次との間で、哀れなほどに板ばさみになって困りはてている。

銀次「いいんだぜ。お友達は大切だもんな」

信乃「あぅ、すみません。失礼いたします」

銀次にいわれて丁重にお辞儀をすると、信乃もまた二人を追いかけて走り去っていった。

銀次「やれやれ、お嬢さん方にはちぃとばかり刺激が強すぎたかな?」

悠「わかってるんならもう少し改めろ。いや、悔い改めろ」

銀次「そいつぁ難しい相談だな。この内側から溢れ出るパッションが、外見までを満遍なく飾り立ててしまうのさ」

悠「おれには宇宙語は理解できないけど、まぁ彼女らに好かれようとするのは諦めた方がいいんじゃないかな」

信乃だけは別に嫌っていないようだったけど。

吉音「じごろはどうしてここに来たの?ミッキーは出ないみたいだったけど」

銀次「もちろん、吾輩が出場するためさ」

悠「げっ……あんたも出るのか」

銀次「まぁこの?斬るか斬られるか、ゾォクゾクする熱情の嵐の匂いを嗅ぐ程度だがな。間近で観戦するだけでもかき立てられるモンなんだぜ?いろんなものがな」

知りたくねぇ……。

吉音「そっちはそっで、ちょっとうらやましいな」

銀次「ひとには望むと望まざると、生まれながらにいくらかの役割ってモンがある。それをどう打ち破っていくのが、人生のだいごみなんじゃないのかねぇ」

吉音「おおっ!じごろカッコいいね!うんうん、そーだよねっ!」

……こうしてたまに意味ありげなことをいうから困る。このひとは光姫さんのお墨付きでもあるし、吉音の本当の身分を知ってるんだよな……。

銀次「さァてそろそろ点呼が始まるぜ。我輩はもぉ~~う少し、迸るボーイがいないか見て回ってくるとしよう。それじゃ、健闘を祈るぜ☆」

悠「うぐっ……」

最後に思いっきり大きなウインクをぶちかまし、銀次さんは人の海の中に漕ぎ出していった。

吉音「これはもう、悠も頑張るしかないね!」

悠「探偵団の三人はともかく、寅、風雷コンビ、それに銀次が敵にまわるのはハッキリ言って難易度がルナティックだよ」

腕前以前におれも苦手なんだよな、アイツ。まぁいってても仕方ないとはわかってるけど。

呼び出し係『それでは時間になりましたので、乱取り出場者の最終確認を行います。名前を呼ばれたら、手を高く上げ、大きな声での返事を、そして入口のところにいる係員から、登録証を受け取ってください。それでは順番に読みあげます』

おおお、来たよ。っかおれの名字「た」だからおそくなるな。
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