ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
御前試合の乱取り開始前日……なのに相変わらずおれたちは小鳥遊堂を開いていた。今さら慌てても仕方がないとか、慌てたところで何をしていいかわからないとか……半分諦めの境地なんだけどな。
悠「学園が賑わっても、ここのお客は全然変わらないな」
吉音「その分疲れなくていいんじゃない?いつもだったらこの時間に目安箱が出来るしさ」
悠「あくまで本業は茶屋だろ。基本的におれ達はお給金をもらっているわけじゃないんだから。まぁ町奉行お墨付きってことで、いろいろ便宜を図ってもらっちゃいるけど」
吉音「あたしは今くらいおやつがもらえれば、それで十分なんだけどなぁ」
それがキツイんだっての。御前試合を目のまえに控え、血を沸き立たせている生徒達で、大通りの方は盛況だ。
ただそこから筋をはずれ、見かけも地味な茶屋となると、ほとんど客入りに影響が無かったりする。まぁおれもここを離れていることが増えたせいかもしれないけど……。うむむ、早くも取り残されている感?
光姫「なにを辛気くさい顔をしておるのじゃ。他の者のように、もっと勇ましく引き締めてみぬか」
吉音「あ、ミッキーとゆかりんだ。まいどいらっしゃいませぇ~」
由佳里「こんにちは~。ホントにまいどですねぇあははは」
悠「いや助かってるよ。小鳥遊堂の経営はふたりが支えてくれてるようなものだし。で、こんにちは光姫さん。おれそんなに変な顔してましたか」
光姫「うむ。緊張に強張っているようじゃな。まぁ無理もないと思うが」
悠「そりゃなかなか気楽にってわけにゃあいきませんよ。もともとはおれの知らないところで、勝手にエントリーされてたんだから。師匠にな」
光姫「まるでママが勝手に応募して~というアイドルオーディションのようじゃな。フラグというやつかの?」
悠「そういうのって実際受からないと笑い話にできませんよね。さすがにもう、辞退する気もねーっすけど」
まだ期間は短いとはいえ、おれも大江戸学園の一員になったんだ。だったら腹をくくって、腕試しをしてみるのもまぁ悪くないよな。っか、ヘタに引いたら寅と疾風迅雷コンビに個人戦を挑まれかねない。それだけは何としても避けたい。
光姫「まぁそう気負う必要もあるまい。平常心を保つことが肝要じゃ。人間は実力以上の力など出せるようには出来ておらん。つまり身についた普段の力が、最も大きくものをいうのじゃ」
悠「各師匠がたにも同じようなこといわれてますよ。やっぱりそういうことなんだよなぁ」
吉音「そうそう!難しいこと考えてると眠くなるよ。思いっきりバーン!っていくのが一番いいんだって」
悠「あー、なんだ新もテンションが上がってきてるな」
吉音「へへへ、まぁね。どうせ考えるなら、いいことばっかりにしようってことなんだよ」
悠「新たに言われると説得力があるな」
光姫「頭を使うことは大切なことじゃ。しかしそれに振り回されておってはいかん。ときには思うまま身を委ねてみるのも良いことじゃよ。ま、このあたりはハチにもいえることじゃがなぁ」
由佳里「ふぇぇっ!わたしですかぁ!?」
突然話を振られた由佳里が、あたふたと取り乱す。これも様式美というか、見慣れた光景だな。
光姫「とまぁそういうわけじゃ。そろそろわしらはお暇しようか」
由佳里「あれ?まだなにも頼んでませんよ?」
光姫「良いのじゃ。これでわしも忙しい身じゃからのぅ」
悠「はぁ……そうですか」
光姫「では、またの」
由佳里「あ、あの、お邪魔しました~」
吉音「は~い。またね~」
ありゃ、本当に帰っていった。……もしかして光姫さん、わざわざおれのことを気にして見に来てくれたんだろうか?なんていうか、意外に興味をもってくれる人は多いんだな。これはいよいよ恥ずかしいところは見せられなくなってきた……。
御前試合の乱取り開始前日……なのに相変わらずおれたちは小鳥遊堂を開いていた。今さら慌てても仕方がないとか、慌てたところで何をしていいかわからないとか……半分諦めの境地なんだけどな。
悠「学園が賑わっても、ここのお客は全然変わらないな」
吉音「その分疲れなくていいんじゃない?いつもだったらこの時間に目安箱が出来るしさ」
悠「あくまで本業は茶屋だろ。基本的におれ達はお給金をもらっているわけじゃないんだから。まぁ町奉行お墨付きってことで、いろいろ便宜を図ってもらっちゃいるけど」
吉音「あたしは今くらいおやつがもらえれば、それで十分なんだけどなぁ」
それがキツイんだっての。御前試合を目のまえに控え、血を沸き立たせている生徒達で、大通りの方は盛況だ。
ただそこから筋をはずれ、見かけも地味な茶屋となると、ほとんど客入りに影響が無かったりする。まぁおれもここを離れていることが増えたせいかもしれないけど……。うむむ、早くも取り残されている感?
光姫「なにを辛気くさい顔をしておるのじゃ。他の者のように、もっと勇ましく引き締めてみぬか」
吉音「あ、ミッキーとゆかりんだ。まいどいらっしゃいませぇ~」
由佳里「こんにちは~。ホントにまいどですねぇあははは」
悠「いや助かってるよ。小鳥遊堂の経営はふたりが支えてくれてるようなものだし。で、こんにちは光姫さん。おれそんなに変な顔してましたか」
光姫「うむ。緊張に強張っているようじゃな。まぁ無理もないと思うが」
悠「そりゃなかなか気楽にってわけにゃあいきませんよ。もともとはおれの知らないところで、勝手にエントリーされてたんだから。師匠にな」
光姫「まるでママが勝手に応募して~というアイドルオーディションのようじゃな。フラグというやつかの?」
悠「そういうのって実際受からないと笑い話にできませんよね。さすがにもう、辞退する気もねーっすけど」
まだ期間は短いとはいえ、おれも大江戸学園の一員になったんだ。だったら腹をくくって、腕試しをしてみるのもまぁ悪くないよな。っか、ヘタに引いたら寅と疾風迅雷コンビに個人戦を挑まれかねない。それだけは何としても避けたい。
光姫「まぁそう気負う必要もあるまい。平常心を保つことが肝要じゃ。人間は実力以上の力など出せるようには出来ておらん。つまり身についた普段の力が、最も大きくものをいうのじゃ」
悠「各師匠がたにも同じようなこといわれてますよ。やっぱりそういうことなんだよなぁ」
吉音「そうそう!難しいこと考えてると眠くなるよ。思いっきりバーン!っていくのが一番いいんだって」
悠「あー、なんだ新もテンションが上がってきてるな」
吉音「へへへ、まぁね。どうせ考えるなら、いいことばっかりにしようってことなんだよ」
悠「新たに言われると説得力があるな」
光姫「頭を使うことは大切なことじゃ。しかしそれに振り回されておってはいかん。ときには思うまま身を委ねてみるのも良いことじゃよ。ま、このあたりはハチにもいえることじゃがなぁ」
由佳里「ふぇぇっ!わたしですかぁ!?」
突然話を振られた由佳里が、あたふたと取り乱す。これも様式美というか、見慣れた光景だな。
光姫「とまぁそういうわけじゃ。そろそろわしらはお暇しようか」
由佳里「あれ?まだなにも頼んでませんよ?」
光姫「良いのじゃ。これでわしも忙しい身じゃからのぅ」
悠「はぁ……そうですか」
光姫「では、またの」
由佳里「あ、あの、お邪魔しました~」
吉音「は~い。またね~」
ありゃ、本当に帰っていった。……もしかして光姫さん、わざわざおれのことを気にして見に来てくれたんだろうか?なんていうか、意外に興味をもってくれる人は多いんだな。これはいよいよ恥ずかしいところは見せられなくなってきた……。