ｰ新宿:茶屋小鳥遊堂ｰ

はな「いらっしゃいませー。あ、悠さんなら奥にいますよ」

拳二「よぅ」

悠「おぅ」

拳二「最近ここいら放火が多いらしいな」

悠「まぁな。うちは幸い被害が出てないけど」

拳二「そうか。よっこいしょ」

悠「あ、拳二。聞きたいんだけど」

拳二「なんだ？」

悠「この店の裏ってうちの私有地か？」

拳二「そうだけどどうした？」

悠「いや、畑作っていいか」

拳二「畑？」

悠「あぁ、家庭菜園二号としてここにも畑を作りたいのだ」

拳二「それってお前の家の庭が手狭になったからじゃねぇのか？」

悠「それもあるが、ちょっと別件も考えがあるんだ。」

拳二「ふぅん…まぁいいぞ。ただ妙なもん植えるなよケシとか」

悠「植えるか！」

拳二「かっかっか。じゃあな」

悠「お前も顔出すだけなのにご苦労だな」

拳二「日課だ日課。」

はな「ご苦労さまです」

拳二「おう。嬢ちゃんもしっかりがんばんな。かっかっか。」

はな「豪快な方ですよね」

悠「アイツ基本はおっさんだが、たまに良いこと言うんだぞ」

はな「悠さんと同じですね」

悠「おれの良いことは本当に極希だからな」

はな「もう少しちゃんと自覚したらいいのに…」

悠「なんかいった？」

はな「別に」

新「悠、またまたお客さんだよ」

悠「今日はけっこう多いな。」

はな「いらっしゃいませ。」

新「はなちゃんと私のお陰だよね」

悠「ま、確かに二人の効果は高いな。」

はな「悠さん、お茶二つです」

悠「はいはい、ただいま。」

新「わたしもお茶とお団子大盛りで♪」

悠「なんでやねん。はなちゃん、お茶運んで」

はな「はーい」

悠「ほら、新も働いてくれ。用心棒じゃなく呼び込みな」

新「ふぁーい」

はな「あ、悠さん、またお客さんです」

悠「はいは…」

楓子「……」

悠「デコ、どした。」

楓子「ア、シショウダ。コンナトコロデナニヲシテルンデスカヤヨ」

悠「なんだその棒読みちゃんみたいなしゃべり方は。っか、偶然じゃないだろ」

楓子「さ、さすが師匠。一目で見抜くとはやよ」

悠「見抜くもなにもド不自然だったぞ。っで、何してる」

楓子「は、先日師匠のご様子がおかしかったので何か起こっているのではないかと心配になり自己の判断で師匠を影ながら警護していた所存ですやよ。」

悠「先日のことは忘れろ。……っか、影ながらって出てきてんじゃん」

楓子「それは……先ほど用心棒という単語を耳にしてやよ」

新「ん、呼んだ？」

楓子「貴女は…」

新「私は徳田新。悠の用心棒だよ。」

楓子「師匠の…用…心棒？」

悠「(まずい…)」