ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】

ー茶屋:小鳥遊堂ー

平和「それはそれとして、結局、置行掘の怪談が本当なのかどうか、分からなかった……ということでござるね」

つばめ「そういうことですね~」

平和「ということは!置行掘が怪事件じゃないと決まったわけじゃないということでござる!」

つまり「つまり、ええと……河原の葦、お囃子、足音、それに置行掘とで、合計四つもの怪事件を見つけたわけですね」

平和「たった半日で四つも!これはもう、学園の裏に潜む悪を発見したに等しいでござるよっ!!」

信乃「おおぉ!?」

平和がいきなり盛り上げると、しょげていた信乃までもつられて元気を取り戻す。それはいいんだが……悪ってなんだよ、悪って。などと溜息を吐いているおれを他所に、三人の話はどんどん盛り上がっていく。

つばめ「これはいよいよ、河原を見張りに行かないとですね~」

信乃「あっ!葦の葉っぱを毟っちゃう妖怪の正体を暴きにいくんでしたよね」

つばめ「はい。悠さんと新さんも一緒に来てくれるそうです」

悠「おいおい、ちょっと待て。おれはまだ、ついてきていいなんてひと言もいってないぞ」

平和「まだ言ってないだけど、これからいってくれるのでござるよね」

悠「イヤだと言ったら?」

つばめ「あらあら、困りましたねぇ」

悠「……っはぁ……絶対、単独行動は禁止だからな」

つばめ「は~い」

平和「分かっているでござるよ」

信乃「わっ、私も分かってます、ぜっ」

悠「その素直さが返事だけじゃないことを期待してるよ」

「「「はーいっ」」」

三人そろって、本当にいい返事だこと。

吉音「あはっ、遠足に行くみたいで楽しいね、悠」

悠「おれは引率の先生になった気分だよ」





ー???ー

???「それで、緊急招集の理由はなんだ?」

???「単刀直入にいおう……我々の計画を嗅ぎまわっている者が居る」

???「なんだと?」

???「別に問題あるまい。怪談に惹かれるものが現れるのは、想定の範囲内ではないか」

???「だけど、想定よりも早すぎるわ」

???「注意が必要かも……」

???「怪談を知られることはむしろ歓迎だ。だが、その影に我らが居ることは、けしてしられてはならない」

???「で、具体的にどうすると?」

???「あれの軌道を提案する。」

???「あれ?……まさか、あれか?」

???「そうだ、あれだ」

???「しかし、あれはまだ調整段階のはずだ」

???「いまのところ、調整は良好よ。私は提案を支持するわ」

???「じゃ……じゃあ。わたしも賛成」

???「では、決を採ろう。異議のあるものは?」

???「……いないようだな」

???「では決定だ。準備に取り掛かろう」

???「すべては、我らの計画のために」

???「私たちの悲願の為に」

???「七不思議のためにーー!」
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