ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
吉音「つばめちゃん、遅いね」
悠「そうだなぁ……ちょっと様子、見てくるか」
河原からここまで帰ってくる道中、ついつい競争気分になって、つばめを追いぬいたのが十数分も前のこと。おれより先に着いていた吉音と一緒にお茶を一服しても、つばめは帰って来ない。
さすがに心配になってきて、おれが立ち上がろうとしたときだった。
つばめ「ただいまでか~」
吉音「あっ、帰って来たー!」
悠「いくらなんでも遅すぎだぞ……あれ?」
平和「どうもでござるよ」
信乃「お、お邪魔しま……するぜっ」
ようやく戻って来たつばめの両脇には、平和と信乃の姿もあった。
つばめ「途中で二人に電話して待ち合わせたりしてたら、遅くなってしまいました~。ごめんなさぁい」
悠「それはいいんだけど……というか、よくよく考えたら、つばめまでうちに戻ってくる必要はなかったんだよな」
つばめ「いえいえ、そんなことありませんよ~」
平和「夕方になったら、小鳥遊堂で報告会をしようって決めていたでござるからして」
悠「……注文してくれるんなら、別に良いけどさ」
信乃「お腹ぺこぺこだし、もちろんちゃんと注文するぜ!というわけで、夕飯じゃんじゃん持ってこぉい……です」
平和「あ、拙者は初鰹と新蕎麦がいいでござるー」
つばめ「じゃあ、わたくしは関東風のおでんを~」
悠「うちは飯屋じゃなくて茶屋だ!はぁ……団子でも持ってくるから、それで我慢しろ」
なんにせよ、お客というなら追い返す道理はない。食べ物を用意してやるかと思って奥に向かおうとすると、吉音に袖をくいっと引き留められた。
吉音「悠、あのあの……」
悠「そんな顔しなくても、新の分も用意するって」
吉音「わぁい!」
つばめ「……そうすると、姫様も怪事件をみつけたわけですか」
おれと吉音の分も含めた五人分の団子と汁粉が食べつくされたころには、報告会もだいぶ進んでいた。
平和「でね、あっからこっちからお囃子が聞こえてくるし、大勢の足音が追いかけてくるし……怖くなかったけど」
つばめ「へぇ、本当に怖くなかったんです~?」
平和「ほ、本当だよっ!それより、天国はどうだったのさ?」
信乃「えっ、私?」
つばめ「置行掘というところで魚を釣って来たのでしたよね」
信乃「いや、それが……釣りをするにはしたんでけど、結局、一匹も釣れなくって……きっと釣りざおが悪かったんだぜ」
平和「本当は釣り糸を垂れながら、昼寝でもしていたんじゃないでござるぅ?」
信乃「えっ、どこで見てたんですかっ!?」
平和「本当に寝てたんだ……」
信乃「あ……」
悠「というか念のために聞くけど、餌はつけたんでよな?」
おれは三人の会話にずっと黙って耳を傾けていたけれど、ふと気になって聞いてみた。
信乃「……えさ?」
そして返ってきた、予想通りの答え。
悠「信乃……釣り糸を垂らすだけじゃ魚は釣れないんだぞ」
信乃「そんな、またまたぁ」
吉音「天国ちゃんは本当にお嬢さまなんだねぇ」
信乃「またまたぁ……も、もしかして、本当……です?」
吉音「うん」
信乃「ああぁ~っ!変だと思っていたんですよ、どうして魚は針を食べちゃうんでしょうかって……あうぅ!」
信乃は本気で恥ずかしがって涙目になっている。もうちょっとマイルドに指摘すればよかったか。
吉音「つばめちゃん、遅いね」
悠「そうだなぁ……ちょっと様子、見てくるか」
河原からここまで帰ってくる道中、ついつい競争気分になって、つばめを追いぬいたのが十数分も前のこと。おれより先に着いていた吉音と一緒にお茶を一服しても、つばめは帰って来ない。
さすがに心配になってきて、おれが立ち上がろうとしたときだった。
つばめ「ただいまでか~」
吉音「あっ、帰って来たー!」
悠「いくらなんでも遅すぎだぞ……あれ?」
平和「どうもでござるよ」
信乃「お、お邪魔しま……するぜっ」
ようやく戻って来たつばめの両脇には、平和と信乃の姿もあった。
つばめ「途中で二人に電話して待ち合わせたりしてたら、遅くなってしまいました~。ごめんなさぁい」
悠「それはいいんだけど……というか、よくよく考えたら、つばめまでうちに戻ってくる必要はなかったんだよな」
つばめ「いえいえ、そんなことありませんよ~」
平和「夕方になったら、小鳥遊堂で報告会をしようって決めていたでござるからして」
悠「……注文してくれるんなら、別に良いけどさ」
信乃「お腹ぺこぺこだし、もちろんちゃんと注文するぜ!というわけで、夕飯じゃんじゃん持ってこぉい……です」
平和「あ、拙者は初鰹と新蕎麦がいいでござるー」
つばめ「じゃあ、わたくしは関東風のおでんを~」
悠「うちは飯屋じゃなくて茶屋だ!はぁ……団子でも持ってくるから、それで我慢しろ」
なんにせよ、お客というなら追い返す道理はない。食べ物を用意してやるかと思って奥に向かおうとすると、吉音に袖をくいっと引き留められた。
吉音「悠、あのあの……」
悠「そんな顔しなくても、新の分も用意するって」
吉音「わぁい!」
つばめ「……そうすると、姫様も怪事件をみつけたわけですか」
おれと吉音の分も含めた五人分の団子と汁粉が食べつくされたころには、報告会もだいぶ進んでいた。
平和「でね、あっからこっちからお囃子が聞こえてくるし、大勢の足音が追いかけてくるし……怖くなかったけど」
つばめ「へぇ、本当に怖くなかったんです~?」
平和「ほ、本当だよっ!それより、天国はどうだったのさ?」
信乃「えっ、私?」
つばめ「置行掘というところで魚を釣って来たのでしたよね」
信乃「いや、それが……釣りをするにはしたんでけど、結局、一匹も釣れなくって……きっと釣りざおが悪かったんだぜ」
平和「本当は釣り糸を垂れながら、昼寝でもしていたんじゃないでござるぅ?」
信乃「えっ、どこで見てたんですかっ!?」
平和「本当に寝てたんだ……」
信乃「あ……」
悠「というか念のために聞くけど、餌はつけたんでよな?」
おれは三人の会話にずっと黙って耳を傾けていたけれど、ふと気になって聞いてみた。
信乃「……えさ?」
そして返ってきた、予想通りの答え。
悠「信乃……釣り糸を垂らすだけじゃ魚は釣れないんだぞ」
信乃「そんな、またまたぁ」
吉音「天国ちゃんは本当にお嬢さまなんだねぇ」
信乃「またまたぁ……も、もしかして、本当……です?」
吉音「うん」
信乃「ああぁ~っ!変だと思っていたんですよ、どうして魚は針を食べちゃうんでしょうかって……あうぅ!」
信乃は本気で恥ずかしがって涙目になっている。もうちょっとマイルドに指摘すればよかったか。