ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「んっ……今日はいい天気だなぁ」
吉音「すー……すー……」
伸びをしながら話しかけても、帰ってくるのは静かな寝息だ。ついさっきまでは起きていたのに、ちょっとよそ見をした間に眠ってしまったらしい。
悠「……本当、自由でいいよな」
吉音「すうぅー……っはふー……ふふふー」
吉音の奴、寝ながら笑っているよ……一体、どんな夢を見てるんだか。
つばめ「ごめんくださいな~」
悠「はい、いらっしゃいませ……って、なんだ。つばめか」
つばめ「あらまぁ、なんだとはご挨拶ですねぇ。わたくし、いちおうお客さまですよ~?」
悠「それは失礼しました、お客さま。で、ご注文は?」
つばめ「目安箱の中身、見せてくださいな」
悠「ほら、お客じゃなかった」
つばめ「あらまぁ、本当」
つばめはにこにこ笑いながら、さも当たり前のようにして客席に腰を降ろす。
悠「客席に座るのなら、注文して欲しいんだけどな」
つばめ「いえいえ、わたくしのことはお構いなく~。目安箱の中身を見せていただいたら、すぐお暇しますから~」
どうやら、腰をあげるつもりはないらしい。これが本当に嫌な客だったなら、吉音を叩き起こしてでも放りだすところだが、つばめが相手ではなぁ……。乙級の女子生徒を追いだした……なんて噂が立ったら客商売はおしまいだ。
悠「もしかして、全部承知のうえで居座ろうとしてないか?」
つばめ「あらぁ、なんのことですかぁ?」
つばめは相変わらずの、にこにこ顔。
悠「……はぁ。負けたよ、降参」
つばめ「目安箱、開けてくださるんですね」
悠「うん。でも、投書の内容は他言無用だからな」
つばめ「分かっていますわ」
悠「それじゃあ……」
おれは目安箱のカギを開けると、中に投函されていた投書の束をかきだして、テーブルに広げた。
つばめ「まぁまぅ……今回は結構ありますのねぇ」
悠「目安箱もだんだん認知されて来たってことかな」
見方を変えれば、目安箱に訴えたいような内容が日に日に増えている、ということなのかもだが。
つばめ「さてさて、どれどれ……」
つばめは早速、投書の山に手を伸ばして内容の吟味を始めている。おれにひと言断ってから始めて欲しかったんだが……。
悠「……」
つばめ「んー……」
こんな大真面目な顔されたんじゃ、怒りようがない。
悠「ずいぶんと真剣だな、つばめ」
つばめ「それはもう真剣です。なんたって、探偵団ですから」
悠「ふぅん……そんなに真剣なら、町方の役職に就いたらどうだ?逢岡さんに話せば、考えてくれると思うぞ」
つばめ「それも魅力的なお話しですけど、わたくしはあくまで大江戸探偵団の一員ですから」
悠「そうか?別に探偵と町方、二足のわらじで喪いいと思うけど……まっ、本人の気持ちが第一だしな」
つばめ「わたくしは探偵だけで精いっぱいです……っと」
おれと話している間中もずっと動いていたつばめの手が、ぴたりと止まる。どうやら、お眼鏡にかなった投書が見つかったようだ。
悠「その投書、なんて書いてあるんだ?」
つばめ「えぇと……最近、河原で真夜中に騒いでいる人たちがいます。怖いのでなんとかしてください……だそうです」
悠「河原で?不良生徒がたむろしてたのかな……あっ、もしかして男女が夜の河原で……だったりしてな」
どっちにせよ、これは事件というか苦情だな。つばめたちが好みそうな内容ではないと思うのだけど、どうしてこれを手に取ったのかが疑問だ。
悠「んっ……今日はいい天気だなぁ」
吉音「すー……すー……」
伸びをしながら話しかけても、帰ってくるのは静かな寝息だ。ついさっきまでは起きていたのに、ちょっとよそ見をした間に眠ってしまったらしい。
悠「……本当、自由でいいよな」
吉音「すうぅー……っはふー……ふふふー」
吉音の奴、寝ながら笑っているよ……一体、どんな夢を見てるんだか。
つばめ「ごめんくださいな~」
悠「はい、いらっしゃいませ……って、なんだ。つばめか」
つばめ「あらまぁ、なんだとはご挨拶ですねぇ。わたくし、いちおうお客さまですよ~?」
悠「それは失礼しました、お客さま。で、ご注文は?」
つばめ「目安箱の中身、見せてくださいな」
悠「ほら、お客じゃなかった」
つばめ「あらまぁ、本当」
つばめはにこにこ笑いながら、さも当たり前のようにして客席に腰を降ろす。
悠「客席に座るのなら、注文して欲しいんだけどな」
つばめ「いえいえ、わたくしのことはお構いなく~。目安箱の中身を見せていただいたら、すぐお暇しますから~」
どうやら、腰をあげるつもりはないらしい。これが本当に嫌な客だったなら、吉音を叩き起こしてでも放りだすところだが、つばめが相手ではなぁ……。乙級の女子生徒を追いだした……なんて噂が立ったら客商売はおしまいだ。
悠「もしかして、全部承知のうえで居座ろうとしてないか?」
つばめ「あらぁ、なんのことですかぁ?」
つばめは相変わらずの、にこにこ顔。
悠「……はぁ。負けたよ、降参」
つばめ「目安箱、開けてくださるんですね」
悠「うん。でも、投書の内容は他言無用だからな」
つばめ「分かっていますわ」
悠「それじゃあ……」
おれは目安箱のカギを開けると、中に投函されていた投書の束をかきだして、テーブルに広げた。
つばめ「まぁまぅ……今回は結構ありますのねぇ」
悠「目安箱もだんだん認知されて来たってことかな」
見方を変えれば、目安箱に訴えたいような内容が日に日に増えている、ということなのかもだが。
つばめ「さてさて、どれどれ……」
つばめは早速、投書の山に手を伸ばして内容の吟味を始めている。おれにひと言断ってから始めて欲しかったんだが……。
悠「……」
つばめ「んー……」
こんな大真面目な顔されたんじゃ、怒りようがない。
悠「ずいぶんと真剣だな、つばめ」
つばめ「それはもう真剣です。なんたって、探偵団ですから」
悠「ふぅん……そんなに真剣なら、町方の役職に就いたらどうだ?逢岡さんに話せば、考えてくれると思うぞ」
つばめ「それも魅力的なお話しですけど、わたくしはあくまで大江戸探偵団の一員ですから」
悠「そうか?別に探偵と町方、二足のわらじで喪いいと思うけど……まっ、本人の気持ちが第一だしな」
つばめ「わたくしは探偵だけで精いっぱいです……っと」
おれと話している間中もずっと動いていたつばめの手が、ぴたりと止まる。どうやら、お眼鏡にかなった投書が見つかったようだ。
悠「その投書、なんて書いてあるんだ?」
つばめ「えぇと……最近、河原で真夜中に騒いでいる人たちがいます。怖いのでなんとかしてください……だそうです」
悠「河原で?不良生徒がたむろしてたのかな……あっ、もしかして男女が夜の河原で……だったりしてな」
どっちにせよ、これは事件というか苦情だな。つばめたちが好みそうな内容ではないと思うのだけど、どうしてこれを手に取ったのかが疑問だ。