ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】

ー大江戸学園:教室ー

平和「ではこれから、えーと、たぶん第百三十六回くらいの探偵団会議を始めるでござるー」

信乃「おーっ」

つばめ「はいはーい。提案でーす」

信乃「わ、いきなりですね」

平和「はい、つばめくん。なんですか?」

つばめ「わたくしたちはこの前、化け猫騒ぎを見事に解決したわけじゃないですか」

信乃「あー、あれですか……あれは結局、瓦版に取り上げてもらえなかったんですよねえ」

平和「うん……めずらしくまっとうに解決したのにね……」

つばめ「あのときは残念でしたけど、ああいった布都魏事件を調べるという方針はありだと思うわけです」

信乃「ええと……とまり、不思議なことを調べましょう、ということですか?」

平和「なぁるほど!学園七十不思議だねっ!」

信乃「えっ、七十は多すぎると思うんですが……」

つばめ「もういっそ七百ですとかっ」

信乃「多すぎるっていうか、そんなに沢山不思議があったら、探すまでもないですよねー」

平和「じゃあ間を取って七不思議ってことで、今日はみんなで手分けして探すでござるよー!」

つばめ「はいねそうしましょう~」

信乃「え、え?七十と七百の間をとって、七つ……え?」

平和「ほらほら。天国も早く出発するよ―っ」

信乃「あっ、はい」

つばめ「ではでは、大江戸学園探偵団、」

平和「状況開始ぃ~」

「「おーっ」」



ー輝の瓦版屋ー

平和「というわけで、やってきたわけでごさざる」

輝「はぁ、そうでござるか」

平和「調査に行き詰ったら情報やからネタを仕入れるのが常識でござるからして」

輝「おいらは、情報屋じゃなくて、瓦版屋なんだけどねー。まっ、いいけどさー」

平和「それでそれで、何かしらないでござるか?」

輝「えーっと、七不思議的なものを探してるんだっけ?」

平和「あ、別に七不思議的なものじゃなくても、この前の化け猫の噂みたいなのでいいの……でござるよ」

輝「化け猫ねぇ……あっ」

平和「何かあるの!?」

輝「無いことはないけど……どうしよっかなー。おいらが足を棒にして探してきた特ダネだからなぁ」

平和「そこをなんとか教えてほしいでござるよ。調査結果はあとでちゃんと報告するでござるからー」

輝「でも、姫様ちゃんに教えちゃったら、瓦版に載せられなくなっちゃわない?」

平和「調査上の秘密はちゃんと守るでござるっ!」

輝「うーん、でもなぁ。せっかくのネタをなぁ……」

平和「せ、拙者たちは何も、私利私欲のために教えてほしいといってるわけではないでござるよっ」

輝「ほほぅ?するってーと、なんのためだい?」

平和「隠された真実をキューメーするためでござる!」

輝「真実の究明?でもそれって、自分が知りたいーって私利私欲なんじゃないのかい?」

平和「え、えっとぉ……そ、そんなことは……ない?」

輝「いや、おいらに聞かれても困るって」

平和「うっ、うぅーっ!とにかく教えてほしいでござるよござるよーっ!!」

輝「はぁ……しょうがないなぁ。調べたことは後で絶対に報告するって約束できる?」

平和「もちろん!」

輝「その即答がかえって胡散臭いけど、まっ、いいでしょ。教えてあげよう」

平和「やったぁ!で、で、どんなネタでござるかっ!?」

輝「あのねぇ……姫様ちゃんは武家屋敷がならんでる辺りの通り、分かるかい?」

平和「うん、だいたい」

輝「じゃあ話しは早いや。最近、あの辺りに妙な噂があるんだ」

平和「おおっ、どんな噂でござる!?」

輝「なんでも……あのへんの通りを歩いてると、どこからともなくお囃子が聞こえてくるんだって」

平和「おはやし?」

輝「そうそう。ぴーひゃららーってやつ」

平和「……どっかのお家で演奏してるだけなんじゃ?」

輝「ところがどっこい、お囃子は一か所だけじゃなく、四方八方から聞こえてくるんだってさ」

平和「みんなでお囃子の練習してるとか!」

輝「みんなでって、通りに面したお屋敷全部でかい?」

平和「むぐっ……むむぅ、ちがうかなぁ……」

輝「違うか違わないか、そいつをこれから、姫様ちゃんにしらべてもらうんじゃないかい。」

平和「……おぉっ」

輝「じゃあ話がまとまったところで、よろしく頼むよぅ」

平和「相分かったでござる。拙者にお任せでござるっ」
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