ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】

ー輝の瓦版屋ー

輝「え~。もうちょっと何かさぁ」

「ぁぁぁぁぁあああああああ!」

輝「おや?なんの声だろうね」

「どどどどといてぇええ~~~!!」

つばめ「なんですか?なっ、なにがきてるんですか~?」

「うわぁあああーーー!!」

土煙をあげながら、何かがもの凄い勢いですっ飛んできた。そしてそれはおれ達の目のまえで、つばめIn鉄壁君にまともに衝突した。

輝「うひー。何が起こったんだい?」

悠「何かがすごい速さで突進してきて……」

信乃「あ!姫様!」

平和「う~~んいたた。やっと止まったぁ……」

悠「……」

とんできたのは平和だったのか。足のロケットブーツは、燃料が切れたのか今の衝撃で壊れたのか、機能を停止していた。

平和「このブーツ、凄いけど、凄過ぎてうまく動けないでござる!一体何人とぶつかりそうになったことか……」

吉音「あっちから行ったのにどうしてこっちから戻って来たの?はっ!もしかしてチキュウ一周してきた!?」

平和「そんなわけないでござる。精々が島一周でござるよ。お屋敷の中を突き抜けたり、お濠の中を走ったり、それはもう大変だったでござる。」

悠「それでよく戻って来れたぁ……結構使いこなしてる部類に入るんじゃないか?」

平和「たとえそうでも、もうこりごりだよ……」

実際自分の足で走ったわけでなくても、平和は疲れ切った様子だ。

つばめ「あのぉ……そろそろこちらも気にかけていただけませんでしょうか~」

悠「っとそうだった。しっかり攻撃を受け止めたわけだけど、どんな感じだった?」

つばめ「中は音が響くので、うるさくて耳が痛くなってしまいました~」

鎧の中からは陽気な声が聞こえてくる。それもそのはず。鉄壁くんは最初に立っていた位置から微動だにせず、表面が僅かにヘコんだ程度でしかなかった。そとから扉をあけてやり、つばめを引っ張り出してやる。

悠「よいしょ」

つばめ「はわぁ……シャバの空気はいいですねぇ~……」

こちらもややお疲れ気味だが、特にケガなんかはないらしい。

輝「うんうん。鉄壁くんの性能は素晴らしいね!」

悠「いやあの激突で全く動いてないとか、重さがヤバすぎるだろ。人間じゃ扱えねぇよ」

輝「えー。せっかくみんなこんなにすごいアイテムなのにー。あそうか!みんなばらばらだから駄目だったんだ!この鎧を着て、この靴をはいて、この刀を持ったらほら、最強無敵じゃないか!」

吉音「おおお!それかっこいい!絶対強いよ!」

悠「やめろやめろ!それだけは絶対にやめろ!頼むから!」

輝も吉音も勢いでしかものを考えていない!これは本格的に対策が必要なんじゃないだろうか。

平和「やっぱりズルはダメだね……」

信乃「きっとこれは、神様か誰かが教えてくれたんですよ……」

つばめ「わたくしは~ちょっとは楽しめたので、まぁ良しとしますわ~」

輝「じゃあ次もまた頼むよ!」

つばめ「それは遠慮させていただきますけど。うふふ」

つばめの底しれない笑いも、それはそれで怖いのだった。
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