ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

吉音「さぁて今日の目安箱はっ!?」

フタを開いて中を漁る吉音。いつもながら本当に楽しそうにする。本当は悩み事でヨロ品でチャいけないんだけどな。取り出した書状をガサガサと開き、高らかに読み上げる。

悠「……」

吉音「えー、比良賀輝が、妙な発明ばかりしていて怖いです。取り締まってください。だって。」

悠「またその手の相談か……」

輝の取材がウザいだの、発明品が危険だのと言った訴えが途切れたことがない。確かに大爆発を起こしたら~とか、裏の大魔神が倒れたら~とか、心配の種は尽きないしな。

吉音「行ってみようよ、悠」

悠「どうせてつもと同じだぞ?あいつは何をいっても聞きやしないし」

吉音「でもどんな発明してるか気になるじゃない」

悠「そりゃ……まぁ」

吉音「危ないって叱りに行くふりして身に行けばいいんだよ。」

悠「普通は逆じゃね?でもまあいいか。目安箱も来てるし、一応見に行くとするかな」

吉音「やったー!」

だから思ってることをそのまま表に出すなってば。





ー輝の瓦版屋ー

というわけで輝の瓦版屋まで来てみたわけだが。

吉音「あれ?姫様ちゃんたちがいる~」

平和「あ、これは新さんに悠さん。ごきげんようでござる」

輝のほかに平和ら探偵団の面々が、家の外に出でなにやら集まっていた。

輝「おや、もしかしておいらに会いに来てくれたのかい?でも悪いね、今はちょっと取り込み中なんだよ」

悠「珍しいな。三人組とそんなに仲良かったけ?」

信乃「なにかすぐに強くなる方法はないかと、訪ねてみたんです……だ」

つばめ「楽してズルして簡単になら、やっぱり比良賀さんかと思いまして~」

輝「ははは。さすがよくわかってるじゃないか」

悠「自慢することかよ」

実際にそういう理由なら真っ先に輝の顔が浮かぶくらいには定着しきってるけどな。

吉音「でもどうしてそう強くなる必要があるの?」

平和「どうにも最近物騒なことが増えているのでござる。探偵団活動も安全だとは限らないので、腕を磨いておいて損はないのでござるよ」

信乃「実際御前試合では悠さんに負けてしまいましたし……実力不足は否めませんから」

悠「なめほど。確かに自衛派重要だな」

吉音「心配なら目安箱と一緒にやればいいんだよ。みんなあたしが守ってあげるからさ!」

おれがいったそばから……!

つばめ「お気持ちはありがたいのですが~、わたくしたちはデキる女を目指しているので~」

吉音「できる?」

平和「上級生の皆さんに頼らず、自分たちでしっかり事件を解決できるように、でござる」

お考えはとても立派なんだけど、楽してズルして強くなるのはいいのか……。

吉音「そっか~。うんうん。みんな頑張ってね!」

悠「っかそういや輝、どうやって三人を強くするつもりなんだ?さっはから後ろでちらちらしてる物体が非常に気になるんだが」

輝「そこは輝さんだよ、抜かりはないさ」

と、輝は地面に並べてあった大中小のうち、まず小さい箱を開けた。
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