ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー大江戸学園:大通りー
とにかく、被害者である飲食店の話しを聞いてみよう、ということてせおれ達は聞きこみを始めた。最初の一件目はうなぎ屋だ。
うなぎ屋「犯人の特徴、ですか?」
悠「なにか覚えていることがあったら教えてもらえるとありがたい」
うなぎ屋はうーんとうなる。
うなぎ屋「特徴ねぇ……。背はそれほど高くなく、といって低くなく……。顔は普通な感じ……」
吉音「それは特徴じゃないんじゃ……」
うなぎ屋「はあ……」
悠「…………」
食い逃げ犯はごく当たり前に注文して、ごく当たり前に食事を終えた後、気がつくといなくなっていたという。
吉音「もしかすると……幽霊?」
吉音が顔をひきつらせる。
悠「幽霊ならもうちょっと見た目でなにか特徴があるんじゃないか?」
光姫「しかし、この証言ではまるで犯人のことが分からぬな」
由佳里「うーん」
悠「次へ行ってみましょう」
由佳里「うーん」
悠「あー?どうした由佳里」
由佳里「あ、いええっ。なんでもないです。次に行きましょう」
今度はそば屋だ。
そば屋「それが……もうひとつよく覚えて居らんのです」
悠「食い逃げ反なんで且?覚えてないんですか?」
そば屋「なにかいちゃもんをつけてきたりすれば、そういう客は覚えてますがね……」
犯人は普通にそばを頼んで、そして食べ終えたあと、気がついたらいなくなっていたという。
悠「……」
そば屋「背は高からず低からず。ひ弱そうでもなかったと思うし、乱暴そうな感じはもっとなし、あ、女子生徒じゃあありませんでした。それは間違いありません」
悠「そうですか……ありがとう」
由佳里「男子…………」
光姫「どうしたハチ。なにか思いついたことでもあるのか?」
由佳里「あ、別に。それより光姫さま。このそば屋、前に来ましたよね。」
光姫「ん?ああ……そういえば」
そば屋がぼんと手を打った。
そば屋「おお、覚えてますよ。おふたりともずいぶんうまそうにそばを手繰っていたのでよく覚えてます。」
吉音「ミッキーとゆかりんは、犯人と違って目立つみたいだねえ」
光姫「むむ……」
由佳里「さっきのお店も、光姫さまといいっしょに入ったことがあるんですよう」
吉音「ゆかりんは、食べ物関係の記憶は完璧だねぇ」
由佳里「えへへ。褒められちゃいました、光姫さま」
光姫「あ……うむ、そうじゃな」
普通なら、これは嫌味なんではないかと疑うところだが、なにせいったのは吉音である。ごく素直に褒めたつもりだろうし、受け取る由佳里の方もこれまた嫌味だと疑う気持ちがかけらもない。
悠「……」
光姫「次の店へ行ってみるか」
こうしておれ達は訴えを寄越した数件の店を回ってみたのだが……。
吉音「みんなはっきり覚えてないなんて!やっぱり幽霊なんじゃ……」
光姫「幽霊でないにしても、こうなると、特徴のないのが特徴ということになってくるなあ」
悠「そこまで特徴のない生徒っているんですかねえ。これじゃあ同一犯かどうかも分かりません」
光姫「ううーーむ」
由佳里「でも、ずるいですよねえ犯人」
悠「ずるいって?」
由佳里「だって、いま廻ったお店、みんなあたしと光姫さまで廻った、おいしいお店ばっかりなんですもん」
光姫「う、うむ。全部はさすがに覚えておらなんだが、確かに覚えのある店もあった」
由佳里「全部ですよう。あたしの食べ物の記憶に間違いはありません!」
光姫「その通りじゃな。およそ食べ物に関してはハチの記憶力は世界一、それは間違いない」
悠「ということは、犯人はミトランを見て、食い逃げする店を選んでいた?」
光姫「だとすればいよいよ許せん所業じゃな。ミトランをそのように悪用するなど」
由佳里「あ、それはないと思います」
あっさりと由佳里。
とにかく、被害者である飲食店の話しを聞いてみよう、ということてせおれ達は聞きこみを始めた。最初の一件目はうなぎ屋だ。
うなぎ屋「犯人の特徴、ですか?」
悠「なにか覚えていることがあったら教えてもらえるとありがたい」
うなぎ屋はうーんとうなる。
うなぎ屋「特徴ねぇ……。背はそれほど高くなく、といって低くなく……。顔は普通な感じ……」
吉音「それは特徴じゃないんじゃ……」
うなぎ屋「はあ……」
悠「…………」
食い逃げ犯はごく当たり前に注文して、ごく当たり前に食事を終えた後、気がつくといなくなっていたという。
吉音「もしかすると……幽霊?」
吉音が顔をひきつらせる。
悠「幽霊ならもうちょっと見た目でなにか特徴があるんじゃないか?」
光姫「しかし、この証言ではまるで犯人のことが分からぬな」
由佳里「うーん」
悠「次へ行ってみましょう」
由佳里「うーん」
悠「あー?どうした由佳里」
由佳里「あ、いええっ。なんでもないです。次に行きましょう」
今度はそば屋だ。
そば屋「それが……もうひとつよく覚えて居らんのです」
悠「食い逃げ反なんで且?覚えてないんですか?」
そば屋「なにかいちゃもんをつけてきたりすれば、そういう客は覚えてますがね……」
犯人は普通にそばを頼んで、そして食べ終えたあと、気がついたらいなくなっていたという。
悠「……」
そば屋「背は高からず低からず。ひ弱そうでもなかったと思うし、乱暴そうな感じはもっとなし、あ、女子生徒じゃあありませんでした。それは間違いありません」
悠「そうですか……ありがとう」
由佳里「男子…………」
光姫「どうしたハチ。なにか思いついたことでもあるのか?」
由佳里「あ、別に。それより光姫さま。このそば屋、前に来ましたよね。」
光姫「ん?ああ……そういえば」
そば屋がぼんと手を打った。
そば屋「おお、覚えてますよ。おふたりともずいぶんうまそうにそばを手繰っていたのでよく覚えてます。」
吉音「ミッキーとゆかりんは、犯人と違って目立つみたいだねえ」
光姫「むむ……」
由佳里「さっきのお店も、光姫さまといいっしょに入ったことがあるんですよう」
吉音「ゆかりんは、食べ物関係の記憶は完璧だねぇ」
由佳里「えへへ。褒められちゃいました、光姫さま」
光姫「あ……うむ、そうじゃな」
普通なら、これは嫌味なんではないかと疑うところだが、なにせいったのは吉音である。ごく素直に褒めたつもりだろうし、受け取る由佳里の方もこれまた嫌味だと疑う気持ちがかけらもない。
悠「……」
光姫「次の店へ行ってみるか」
こうしておれ達は訴えを寄越した数件の店を回ってみたのだが……。
吉音「みんなはっきり覚えてないなんて!やっぱり幽霊なんじゃ……」
光姫「幽霊でないにしても、こうなると、特徴のないのが特徴ということになってくるなあ」
悠「そこまで特徴のない生徒っているんですかねえ。これじゃあ同一犯かどうかも分かりません」
光姫「ううーーむ」
由佳里「でも、ずるいですよねえ犯人」
悠「ずるいって?」
由佳里「だって、いま廻ったお店、みんなあたしと光姫さまで廻った、おいしいお店ばっかりなんですもん」
光姫「う、うむ。全部はさすがに覚えておらなんだが、確かに覚えのある店もあった」
由佳里「全部ですよう。あたしの食べ物の記憶に間違いはありません!」
光姫「その通りじゃな。およそ食べ物に関してはハチの記憶力は世界一、それは間違いない」
悠「ということは、犯人はミトランを見て、食い逃げする店を選んでいた?」
光姫「だとすればいよいよ許せん所業じゃな。ミトランをそのように悪用するなど」
由佳里「あ、それはないと思います」
あっさりと由佳里。