ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー長屋ー
酉居「おまえたち……どうして、まだここに住んでいるんだ?とっくに立ち退いているべきだろうが」
桃子「はぁ!?んなの全部、おまえのせいに決まっているじゃねえかっ!!」
酉居「俺のせい?何の話しだ?」
……はて?酉居の表情はとっても不機嫌そうで、本当に何を言われているのか分からないみたいに見える。
想「酉居さん、じつは……こちらの不手際で、退去勧告が届いていなかったらしいのです」
酉居「……ふん、なるほど。コイツらは、それが俺の差し金だったと言っているわけか」
桃子「なんだよ、違うってのかよ!?」
酉居「ああ、違うな。第一そんなことをして、おれにどんな得があるんだ?」
桃子「得って、そりゃ……あたいらを困らせたいとか……あっ!だから、こんなところにきやがったんだな!あたいらが困ってるのをわざわざ見物しに来るなんて、おまえは本っ当に陰険野郎だな!」
酉居「……まあいい、勝手に言っていろ。だが、俺の仕事の邪魔はするな」
そう言いながら、酉居は鬼島さんたちの方へと近づいていく。
桃子「おっ、なんだ?やる気か!?」
酉居「相変わらず粗暴な女め。いいから退け、視察の邪魔だ」
桃子「は?視察だぁ?」
酉居「これは公務だ。邪魔立てするなら、そこの町方奉行はおまえたちを捕まえないといけなくなるな」
桃子「あっ……」
酉居さんの言葉に、全員の視線が逢岡さんへと集まる。
想「……みなさん、ここはどうかお控えください」
桃子「あー……くそっ、分かったよ!視察でも何でも勝手にしていきやがれ!」
鬼島さんが退くと、それに従うようにして他の住人も脇に退き、酉居に道を譲った。
酉居「ふん、最初からそうしていればいいんだ」
酉居は勝ち誇った顔をしている。本当、いちいち嫌味な人だなぁ……ん?あれ?酉居は長屋の前まで近づいていったものの、そこで立ち止まってしまった。
桃子「なんだよ、酉居。中に入らないのか?」
酉居「は?この中に入るだと?馬鹿も休み休みにしろ。こんな黴臭い廃屋になど、誰が入るものか」
桃子「おい、視察するんじゃねえのかよ!?」
酉居「これだけ近づいただけでも表彰ものだ。それに、おまえたち住人の顔を見れば、中がどれだけ劣悪な環境なのかは十分に想像がつく」
桃子「酉居、てめぇ……!」
想「酉居さん、それは口が過ぎると思いますよ」
さすがに見かねた逢岡さんが止めに入ったけれども、もう手遅れだった。
長屋の男子生徒「この野郎!老中だか何だかしらねぇけど、言わせておけば好き勝手言いやがって!」
長屋の女子生徒「そうよ、そうよ!そりゃ、うちの長屋はボロだけど、それにしたって言いすぎよ!」
酉居「まったく困ったものだな。ごねれば何でも思い通りになると思っている連中は」
桃子「おう!どういう意味だ!?」
酉居「何だかんだと難癖つけて居座って、金を出させようという魂胆なのだろう?貧乏人の考えそうなことだ」
桃子「てっめぇ……もう怒ったぞ!おい、逢岡!」
想「は、はい?」
桃子「悪いが、さっきの話しは無しだ。あたいらは絶対、ここを立ちどかねえ!今決めた!」
長屋の男子生徒「そうだ、そうだ!ここまで虚仮にされて黙ってると思ってんじゃねえぞ!」
長屋の女子生徒「そっちが謝るまで、建て替えなんて断固お断りよ!」
想「そんな……」
酉居「ふんっ、やはりそういう魂胆か。だが、我々がそんな脅しに屈すると思うなよ。多少遅れたが、通告義務はこれで果たした。それでも残っているというのなら、強制執行するまでだ。」
桃子「はっ!やれるもんなら、やってみな!」
酉居「ああ、やるさ。楽しみにしていろ」
酉居は言いたいだけいって、立ち去っていった。
酉居「おまえたち……どうして、まだここに住んでいるんだ?とっくに立ち退いているべきだろうが」
桃子「はぁ!?んなの全部、おまえのせいに決まっているじゃねえかっ!!」
酉居「俺のせい?何の話しだ?」
……はて?酉居の表情はとっても不機嫌そうで、本当に何を言われているのか分からないみたいに見える。
想「酉居さん、じつは……こちらの不手際で、退去勧告が届いていなかったらしいのです」
酉居「……ふん、なるほど。コイツらは、それが俺の差し金だったと言っているわけか」
桃子「なんだよ、違うってのかよ!?」
酉居「ああ、違うな。第一そんなことをして、おれにどんな得があるんだ?」
桃子「得って、そりゃ……あたいらを困らせたいとか……あっ!だから、こんなところにきやがったんだな!あたいらが困ってるのをわざわざ見物しに来るなんて、おまえは本っ当に陰険野郎だな!」
酉居「……まあいい、勝手に言っていろ。だが、俺の仕事の邪魔はするな」
そう言いながら、酉居は鬼島さんたちの方へと近づいていく。
桃子「おっ、なんだ?やる気か!?」
酉居「相変わらず粗暴な女め。いいから退け、視察の邪魔だ」
桃子「は?視察だぁ?」
酉居「これは公務だ。邪魔立てするなら、そこの町方奉行はおまえたちを捕まえないといけなくなるな」
桃子「あっ……」
酉居さんの言葉に、全員の視線が逢岡さんへと集まる。
想「……みなさん、ここはどうかお控えください」
桃子「あー……くそっ、分かったよ!視察でも何でも勝手にしていきやがれ!」
鬼島さんが退くと、それに従うようにして他の住人も脇に退き、酉居に道を譲った。
酉居「ふん、最初からそうしていればいいんだ」
酉居は勝ち誇った顔をしている。本当、いちいち嫌味な人だなぁ……ん?あれ?酉居は長屋の前まで近づいていったものの、そこで立ち止まってしまった。
桃子「なんだよ、酉居。中に入らないのか?」
酉居「は?この中に入るだと?馬鹿も休み休みにしろ。こんな黴臭い廃屋になど、誰が入るものか」
桃子「おい、視察するんじゃねえのかよ!?」
酉居「これだけ近づいただけでも表彰ものだ。それに、おまえたち住人の顔を見れば、中がどれだけ劣悪な環境なのかは十分に想像がつく」
桃子「酉居、てめぇ……!」
想「酉居さん、それは口が過ぎると思いますよ」
さすがに見かねた逢岡さんが止めに入ったけれども、もう手遅れだった。
長屋の男子生徒「この野郎!老中だか何だかしらねぇけど、言わせておけば好き勝手言いやがって!」
長屋の女子生徒「そうよ、そうよ!そりゃ、うちの長屋はボロだけど、それにしたって言いすぎよ!」
酉居「まったく困ったものだな。ごねれば何でも思い通りになると思っている連中は」
桃子「おう!どういう意味だ!?」
酉居「何だかんだと難癖つけて居座って、金を出させようという魂胆なのだろう?貧乏人の考えそうなことだ」
桃子「てっめぇ……もう怒ったぞ!おい、逢岡!」
想「は、はい?」
桃子「悪いが、さっきの話しは無しだ。あたいらは絶対、ここを立ちどかねえ!今決めた!」
長屋の男子生徒「そうだ、そうだ!ここまで虚仮にされて黙ってると思ってんじゃねえぞ!」
長屋の女子生徒「そっちが謝るまで、建て替えなんて断固お断りよ!」
想「そんな……」
酉居「ふんっ、やはりそういう魂胆か。だが、我々がそんな脅しに屈すると思うなよ。多少遅れたが、通告義務はこれで果たした。それでも残っているというのなら、強制執行するまでだ。」
桃子「はっ!やれるもんなら、やってみな!」
酉居「ああ、やるさ。楽しみにしていろ」
酉居は言いたいだけいって、立ち去っていった。