ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー大江戸学園:大通りー
今日も今日とて行きかう人でごった返す学園の大路のひとつ。よく通る物売りの呼び声なくとも、人々の交わす声だけで十分に賑やかだ。言うまでもなく、通りを歩く人々には二種類の生徒が居る。学園に帯刀を許された生徒とと、そうではない大勢の一般生徒たちだ。腰に大小ぶら下げた連中は、威張りくさって肩で風切って歩いて行く。じゃまくさいことこの上ない。だが、、こう人手があるとそれを避けて歩くのも難しい。
このときも先を急いでいた一般生徒、河内は上手に「偉そうなやつ」の横をすり抜けようと思ったのだが。
河内「おっと、こいつはいけねえ。ごめんなすって」
制服の裾に、すれ違いざま鞘の橋が引っかかってしまった。そういってひょいと鞘を払う。さてよかったとそのまま行こうとすると河内を台頭した生徒が呼びとめた。
大隅「おい、貴様何のつもりだ」
河内「へえ。俺のことですか?」
大隅「とぼけた奴だ。貴様のほかに誰が居る。ふざけておるとためにならんぞ」
険のある男の口調に、こりゃあやっかいなことに巻き込まれたぞ、と河内は内心舌打ちをした。が、口に出しては、
河内「これはお見それしまして申し訳ありません。すいませんが、ちょっと急いでおりますので……」
そういってさっさとその場を逃れようとした。だが。
大内「待てと言っておるのが分からんのか」
仲間とおぼしき男たちが、河内の前に回り込む。いずれも腰に刀を手挟んでいる。
河内「…………」
大隅「我らを誰だと思っている。学園から預かった大事な刀に不埒を働いて、そのまま帰れると思っているのか!」
男は刀の塚に手をかけた。
河内「ちょ、ちょっと待っておくんなさい……っ、俺は別に……」
ーかなうの養生所ー
悠「痛てててっ……」
かなう「これはまた派手なアザをこしらえたもんだ」
おれの二の腕の青あざを覗きこんだかなうさんがにやにやと笑う。
悠「……」
かなう「察するところ、木刀か。派手に打ちこまれたな」
悠「はい。避け損いましたよ……」
かなう「相手は誰だ」
悠「新ですよ、新。あいつめ、夢中になるとすぐこれだ。おれが弱いの知ってるくせに」
かなう「そうかい?私はそうも思ってないんだがな。意外と……」
悠「なんすか、その意味ありげな笑いは」
かなう「いやいやいや、そのうち分かろうってものさ」
かなうさんはそんなことをいってはぐらかした。そこへ。
男子生徒A「先生!刀舟斎先生!いらっしゃいますかっ」
数人の男子生徒が養生所に飛び込んできた。
かなう「おうどうした?……こりゃあ」
立ち上がったかなうさんは、生徒たちが運び込んできた男を見て眉をひそめた。
悠「こいつは……」
かなう「ずいぶんとひどい有様じゃないか。なんだ、喧嘩でもあったのか?」
男子生徒A「喧嘩なんて!そんなもんじゃないんですよ!」
ぼろ雑巾のような有様になっている男子生徒を運び込んでいたら彼らは口々に言いたてた。
河内「…………」
しかし当の怪我人は、黙ったきり。喋ることもできないほど痛めつけられているらしい。
かなう「ああいい、話しはあとだ。まずは怪我人を診てやる。おい、悠手伝ってくれ」
悠「がってんです!」
今日も今日とて行きかう人でごった返す学園の大路のひとつ。よく通る物売りの呼び声なくとも、人々の交わす声だけで十分に賑やかだ。言うまでもなく、通りを歩く人々には二種類の生徒が居る。学園に帯刀を許された生徒とと、そうではない大勢の一般生徒たちだ。腰に大小ぶら下げた連中は、威張りくさって肩で風切って歩いて行く。じゃまくさいことこの上ない。だが、、こう人手があるとそれを避けて歩くのも難しい。
このときも先を急いでいた一般生徒、河内は上手に「偉そうなやつ」の横をすり抜けようと思ったのだが。
河内「おっと、こいつはいけねえ。ごめんなすって」
制服の裾に、すれ違いざま鞘の橋が引っかかってしまった。そういってひょいと鞘を払う。さてよかったとそのまま行こうとすると河内を台頭した生徒が呼びとめた。
大隅「おい、貴様何のつもりだ」
河内「へえ。俺のことですか?」
大隅「とぼけた奴だ。貴様のほかに誰が居る。ふざけておるとためにならんぞ」
険のある男の口調に、こりゃあやっかいなことに巻き込まれたぞ、と河内は内心舌打ちをした。が、口に出しては、
河内「これはお見それしまして申し訳ありません。すいませんが、ちょっと急いでおりますので……」
そういってさっさとその場を逃れようとした。だが。
大内「待てと言っておるのが分からんのか」
仲間とおぼしき男たちが、河内の前に回り込む。いずれも腰に刀を手挟んでいる。
河内「…………」
大隅「我らを誰だと思っている。学園から預かった大事な刀に不埒を働いて、そのまま帰れると思っているのか!」
男は刀の塚に手をかけた。
河内「ちょ、ちょっと待っておくんなさい……っ、俺は別に……」
ーかなうの養生所ー
悠「痛てててっ……」
かなう「これはまた派手なアザをこしらえたもんだ」
おれの二の腕の青あざを覗きこんだかなうさんがにやにやと笑う。
悠「……」
かなう「察するところ、木刀か。派手に打ちこまれたな」
悠「はい。避け損いましたよ……」
かなう「相手は誰だ」
悠「新ですよ、新。あいつめ、夢中になるとすぐこれだ。おれが弱いの知ってるくせに」
かなう「そうかい?私はそうも思ってないんだがな。意外と……」
悠「なんすか、その意味ありげな笑いは」
かなう「いやいやいや、そのうち分かろうってものさ」
かなうさんはそんなことをいってはぐらかした。そこへ。
男子生徒A「先生!刀舟斎先生!いらっしゃいますかっ」
数人の男子生徒が養生所に飛び込んできた。
かなう「おうどうした?……こりゃあ」
立ち上がったかなうさんは、生徒たちが運び込んできた男を見て眉をひそめた。
悠「こいつは……」
かなう「ずいぶんとひどい有様じゃないか。なんだ、喧嘩でもあったのか?」
男子生徒A「喧嘩なんて!そんなもんじゃないんですよ!」
ぼろ雑巾のような有様になっている男子生徒を運び込んでいたら彼らは口々に言いたてた。
河内「…………」
しかし当の怪我人は、黙ったきり。喋ることもできないほど痛めつけられているらしい。
かなう「ああいい、話しはあとだ。まずは怪我人を診てやる。おい、悠手伝ってくれ」
悠「がってんです!」