ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
吉音「てる何か知ってた?」
悠「いや、どうなんだろ。でも、なんか逃げられた感じはする……」
輝の性格を考えれば、もし激励の理由を知っているなら誤魔化すってことはないと思うんだけど……。結局、知りたいことは何一つ分からなかった。
翌日。登校前に目安箱を確認したら大量の投書があった。
【最近ネットが重たすぎます。どうにかしてください】
悠「うーん、似たような投書がこんなにいっぱい。いったい何通あるんだ。この数はちょっと気になるぞ」
一応逢岡さんに相談しとくか。
ー南奉行所ー
大量の投書を抱えて訪れた南奉行所。おれの持ってきた投書の山を見た逢岡さんは、腕を組み深く唸る。
想「ネットが重い、ですか……。これはまた、漠然とした相談ごとですね」
確かに『泥棒を捕まえてくれ』とか分かりやすい悩み事ではなくて、どこか曖昧な相談事だ。
悠「すみません、こんなことでわざわざ」
想「いえ、ネット関係の問題は慎重になるに越したことはありえませんから」
悠「どういうことですか?」
想「ご存知の通りこの学園島は孤島。外部との連絡にはネットの接続が必須なのは知ってますよね?いくら島内で自治が確立していると言っても、外部と繋がっていないと生活が成り立つものではありませんし」
それはそうだ。物資の輸入に始まり、外部頼りのことはいくらでも考えられる。
想「小鳥遊君は両側を行き来しているのでピンと来ないかもしれませんけど」
悠「いや、分かりますよ。けど、そうなるとその繋がりが切れてしまったら……」
想「ええ、大騒動に発展する可能性があります」
自体は思ったより深刻みたいだ。
想「これがただの事故なのか、それとも何らかの事件なのかは分かりませんが」
悠「速やかに調査した方がいいってことですね」
想「その通りです。ネットの環境保全は図書奉行が担当しています。私は放課後にでも話を聞きに行こうと思っていますが、小鳥遊君は……」
悠「もちろんご一緒します」
想「そうですか。ではまた放課後に」
もともと目安箱への投書なのだ。一緒にいくのが筋ってものだろう。
そうして放課後。さっそくおれは吉音を連れて図書奉行の教室を訪れた。
悠「お疲れ様です逢岡さん」
吉音「やっほー想ちゃん!」
想「小鳥遊君。ああ、徳田さんも一緒でしたか」
吉音「うん。事件と聞いちゃ、この徳田の新さんが黙っちゃいないってね。悪在るところにあたし在り!だよ!」
想「なんとも徳田さんらしい理由ですね」
あたしにまかせろ、と胸を張る吉音を見て、感心するようにうなずく逢岡さん。けどダメだ、騙されちゃいけない。
悠「調子のいい事いって……。暇だから面白そうって着いて来ただけだろ」
吉音「それもあるけどね」
想「……なんとも徳田さんらしい理由ですね」
苦笑いを浮かべる逢岡さん。同じセリフのはずなのに、よくここまで正反対のニュアンスになるものだ。
悠「そんなことより……逢岡さん、図書奉行は……」
想「ええ。それが、どうも不在のようでして」
悠「不在、ですか?」
想「連絡はしておいたはずなのですが……」
逢岡さんが教室を訪れたときにはすでに図書奉行の姿はなかったらしい。
吉音「てる何か知ってた?」
悠「いや、どうなんだろ。でも、なんか逃げられた感じはする……」
輝の性格を考えれば、もし激励の理由を知っているなら誤魔化すってことはないと思うんだけど……。結局、知りたいことは何一つ分からなかった。
翌日。登校前に目安箱を確認したら大量の投書があった。
【最近ネットが重たすぎます。どうにかしてください】
悠「うーん、似たような投書がこんなにいっぱい。いったい何通あるんだ。この数はちょっと気になるぞ」
一応逢岡さんに相談しとくか。
ー南奉行所ー
大量の投書を抱えて訪れた南奉行所。おれの持ってきた投書の山を見た逢岡さんは、腕を組み深く唸る。
想「ネットが重い、ですか……。これはまた、漠然とした相談ごとですね」
確かに『泥棒を捕まえてくれ』とか分かりやすい悩み事ではなくて、どこか曖昧な相談事だ。
悠「すみません、こんなことでわざわざ」
想「いえ、ネット関係の問題は慎重になるに越したことはありえませんから」
悠「どういうことですか?」
想「ご存知の通りこの学園島は孤島。外部との連絡にはネットの接続が必須なのは知ってますよね?いくら島内で自治が確立していると言っても、外部と繋がっていないと生活が成り立つものではありませんし」
それはそうだ。物資の輸入に始まり、外部頼りのことはいくらでも考えられる。
想「小鳥遊君は両側を行き来しているのでピンと来ないかもしれませんけど」
悠「いや、分かりますよ。けど、そうなるとその繋がりが切れてしまったら……」
想「ええ、大騒動に発展する可能性があります」
自体は思ったより深刻みたいだ。
想「これがただの事故なのか、それとも何らかの事件なのかは分かりませんが」
悠「速やかに調査した方がいいってことですね」
想「その通りです。ネットの環境保全は図書奉行が担当しています。私は放課後にでも話を聞きに行こうと思っていますが、小鳥遊君は……」
悠「もちろんご一緒します」
想「そうですか。ではまた放課後に」
もともと目安箱への投書なのだ。一緒にいくのが筋ってものだろう。
そうして放課後。さっそくおれは吉音を連れて図書奉行の教室を訪れた。
悠「お疲れ様です逢岡さん」
吉音「やっほー想ちゃん!」
想「小鳥遊君。ああ、徳田さんも一緒でしたか」
吉音「うん。事件と聞いちゃ、この徳田の新さんが黙っちゃいないってね。悪在るところにあたし在り!だよ!」
想「なんとも徳田さんらしい理由ですね」
あたしにまかせろ、と胸を張る吉音を見て、感心するようにうなずく逢岡さん。けどダメだ、騙されちゃいけない。
悠「調子のいい事いって……。暇だから面白そうって着いて来ただけだろ」
吉音「それもあるけどね」
想「……なんとも徳田さんらしい理由ですね」
苦笑いを浮かべる逢岡さん。同じセリフのはずなのに、よくここまで正反対のニュアンスになるものだ。
悠「そんなことより……逢岡さん、図書奉行は……」
想「ええ。それが、どうも不在のようでして」
悠「不在、ですか?」
想「連絡はしておいたはずなのですが……」
逢岡さんが教室を訪れたときにはすでに図書奉行の姿はなかったらしい。