ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
平和「本当にわかってるでござるかー?」
悠「分かってるよ。だからさ、おれもその……お仕打ちさん?その人に依頼しに行くの、ついていかせてくれ」
お仕打ちさんが仕打ち人と同一のものなのかどうか、いっしょについて行って確かめるつもりだった。かりにいっしょだったとしても、逢岡さんに報告すれば大事には至らないだろう。
信乃「え……でも、お店はいいんですか?」
悠「あー……まーぁ、ちょっとくらいなら新に任せても大丈夫だろうし」
つばめ「それなら、いっしょに参りましょうか~」
平和「駄目でごーざーるーっ!!」
二人は乗り気だったのに、平和が全力で却下してきた。
悠「駄目って、どうしてだよ」
平和「お仕打ちさんのいる場所は、探偵団の最重要機密なのでござる」
悠「あれだけ大声で話しておいて、いまさらそんな」
平和「だってー、頼み方が分かっちゃったら、誰も探偵団に依頼してくれなくなっちゃうでござるーっ!」
悠「……なるほど、ごもっとも」
平和「そういうわけだから、悠さんはついてきちゃ駄目でござる」
信乃「そ、そうだな。部外者はすっこんでろ、だぜっ」
悠「へいへい、そうしますよ」
理由はともあれ、これ以上食い下がっても、同行するのは無理そうだ。おれは諦めて立ち上がると、厨房に戻ることにした。その背中で、平和が威勢よく声をあげる。
平和「それじゃ、夜中に日本橋のたもとで集合。誰かにあとを付けられたりしないように注意するでござるよーっ」
信乃・つばめ「「はーい」」
だから、尾行に注意するより、大声で内緒話しないように注意しろよな……。
ー大江戸学園:目抜き通りー
おれはいま、深夜の目抜き通りを歩いている。辺りには人影も足音もなく、しんと静まりかえっている。
悠「こんな、ぐっすり寝ているんだろうな……」
そう呟くと、夜更かししてまで、お仕打ちさんの正体を確かめようとしている自分がバカみたいに思えてくる。これで、お仕打ちさんと仕打ち人がまったく関係ないものだったら泣いてやるぞ。
考え事をしながら歩いてるうちに、平和たち三人が集まっているはずの日本橋が見えてきた。
三人はいまちょうど集合したところのようだ。さすがに声を潜めているけど、楽しげに話している雰囲気が伝わってくる。どうやら、おれが盗み見ていることには気づいていないようだ。
三人の姿が、ふいっと消えた。慌てかけたけれど、すぐに三人は橋の下に降りたのだと察せられた。だから、おれもすぐに橋のたもとまで駆けよっていき、眼下の様子を窺った。三人は、そこにひっそりと建っている小さな社にお参りしているところだった。
平和「お仕打ちさま、よろしくお願いします。」
信乃・つばめ「「よろしくお願いします」」
三人は柏手を打って拝礼すると、社に封筒を備える。たぶん、あの封筒の中には、仕打ち人への依頼料が収められているのだろう。これで依頼したことになったらしく、三人はこちらへ戻ってくる。おれは素早く物陰に隠れて、三人が歓談しながら帰っていくのを、見えなくなるまで見送った。
悠「よし……いったな」
声も足音も聞こえないのを確認して、おれは社のほうに近づいた。
往水「おわっ!?」
悠「わっ!?な、仲村!?」
暗闇のなか、橋の下に降りようとしたおれは、ちょうど土手からあがってきた仲村とぶつかりそうになった。
往水「小鳥遊さん……奇遇ですね、小鳥遊さんも夜の散歩ですか?」
仲村はにこりとわらいながら、手に持っていた白いものを、どてらの内側に隠した。
平和「本当にわかってるでござるかー?」
悠「分かってるよ。だからさ、おれもその……お仕打ちさん?その人に依頼しに行くの、ついていかせてくれ」
お仕打ちさんが仕打ち人と同一のものなのかどうか、いっしょについて行って確かめるつもりだった。かりにいっしょだったとしても、逢岡さんに報告すれば大事には至らないだろう。
信乃「え……でも、お店はいいんですか?」
悠「あー……まーぁ、ちょっとくらいなら新に任せても大丈夫だろうし」
つばめ「それなら、いっしょに参りましょうか~」
平和「駄目でごーざーるーっ!!」
二人は乗り気だったのに、平和が全力で却下してきた。
悠「駄目って、どうしてだよ」
平和「お仕打ちさんのいる場所は、探偵団の最重要機密なのでござる」
悠「あれだけ大声で話しておいて、いまさらそんな」
平和「だってー、頼み方が分かっちゃったら、誰も探偵団に依頼してくれなくなっちゃうでござるーっ!」
悠「……なるほど、ごもっとも」
平和「そういうわけだから、悠さんはついてきちゃ駄目でござる」
信乃「そ、そうだな。部外者はすっこんでろ、だぜっ」
悠「へいへい、そうしますよ」
理由はともあれ、これ以上食い下がっても、同行するのは無理そうだ。おれは諦めて立ち上がると、厨房に戻ることにした。その背中で、平和が威勢よく声をあげる。
平和「それじゃ、夜中に日本橋のたもとで集合。誰かにあとを付けられたりしないように注意するでござるよーっ」
信乃・つばめ「「はーい」」
だから、尾行に注意するより、大声で内緒話しないように注意しろよな……。
ー大江戸学園:目抜き通りー
おれはいま、深夜の目抜き通りを歩いている。辺りには人影も足音もなく、しんと静まりかえっている。
悠「こんな、ぐっすり寝ているんだろうな……」
そう呟くと、夜更かししてまで、お仕打ちさんの正体を確かめようとしている自分がバカみたいに思えてくる。これで、お仕打ちさんと仕打ち人がまったく関係ないものだったら泣いてやるぞ。
考え事をしながら歩いてるうちに、平和たち三人が集まっているはずの日本橋が見えてきた。
三人はいまちょうど集合したところのようだ。さすがに声を潜めているけど、楽しげに話している雰囲気が伝わってくる。どうやら、おれが盗み見ていることには気づいていないようだ。
三人の姿が、ふいっと消えた。慌てかけたけれど、すぐに三人は橋の下に降りたのだと察せられた。だから、おれもすぐに橋のたもとまで駆けよっていき、眼下の様子を窺った。三人は、そこにひっそりと建っている小さな社にお参りしているところだった。
平和「お仕打ちさま、よろしくお願いします。」
信乃・つばめ「「よろしくお願いします」」
三人は柏手を打って拝礼すると、社に封筒を備える。たぶん、あの封筒の中には、仕打ち人への依頼料が収められているのだろう。これで依頼したことになったらしく、三人はこちらへ戻ってくる。おれは素早く物陰に隠れて、三人が歓談しながら帰っていくのを、見えなくなるまで見送った。
悠「よし……いったな」
声も足音も聞こえないのを確認して、おれは社のほうに近づいた。
往水「おわっ!?」
悠「わっ!?な、仲村!?」
暗闇のなか、橋の下に降りようとしたおれは、ちょうど土手からあがってきた仲村とぶつかりそうになった。
往水「小鳥遊さん……奇遇ですね、小鳥遊さんも夜の散歩ですか?」
仲村はにこりとわらいながら、手に持っていた白いものを、どてらの内側に隠した。