ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー大江戸学園:街中ー
と、そんなわけでおれは由佳里に案内を頼んで、学園内をうろうろしているわけだ。目的は、いざ襲われた時に、上手にその場を切り抜けられる抜け道を覚えること、だ。
悠「しかし、記憶力がいいとは思ってたけど、本当に詳しいな、由佳里」
由佳里「えへへ。みんな一度は歩いたことがある道ですからあ」
いや、歩けば覚えられるってもんでもないだろ。そう突っ込みたくなるが、由佳里にとっては一度歩いた道はけっして忘れないものらしい。
悠「でもそんなにあちこち歩くのはどうしてだ?普通、人間の普段歩く道なんて決まってるだろうに」
由佳里「ああ、それは光姫様のお伴で学園中歩いてるからですね」
悠「学園中?前にいってたみたいに、悪い奴らをこらしめるため、とか?」
由佳里「いえいえ、それはついでっていうか……。もともとは光姫様が将軍様にお願いされていたお仕事だそうで」
悠「将軍様って……吉彦さんのことか」
由佳里「はい。学園をめぐって、詳細な地図を造るのと一緒に、学園誌の編纂をしなさいって」
悠「なるほど、それで学内漫遊ね……」
由佳里「すごく立派なお仕事ですよねえ」
うっとりした顔で由佳里がいった。
悠「……」
由佳里「わたしはなんの役にも立てませんけど、そんな立派なお仕事のお伴をおおせつかっているだけでも幸せ者ですぅ~」
悠「役に立ってるんじゃないかな」
由佳里「え?またまたあ。わたしなんかが、光姫様のお役にたてるなんて……」
真赤になってうろたえる由佳里。きっと本気でそう思っているんだろうなあ。
悠「その記憶力。だって、ほとんどは一度しか歩いたことのない道なんだろ?それを全部覚えてる……」
由佳里「そんなの。普通じゃないですかあ」
悠「いやいやいや、普通じゃない。普通じゃないって。光姫さんに聞いたわけじゃないけど、ぜったい役に立っているよ。それ以前に、あまおれの役に立ってるしな」
由佳里「そ、そっかあ……。わたし、お役に立ってるのかな……そっかあ……ふふ、ふふふ」
にまにまと笑いだす由佳里。ちょ、ちょっと変だぞ。
悠「おかげで、だいたいわかってきたよ。これで勝てないまでも、なんとか生き延びられそうだよ。お礼になにかおごるよ。この辺にいい店はないかな?」
由佳里「ありますあります!たくさんありますよー。悠さんは和洋中、どれがお好みですかぁ?」
悠「由佳里の好きなのでいいよ」
由佳里「ええええっ、わたしの好きなのですか?うう、迷っちゃうなああ」
悠「いや、そんな悶えなくても…………もう聞いてないし」
由佳里「はあん、どうしようどうしよう。和食も好きだし、洋食屋さんは近くに四件あるし……中華は……」
しまったな。情報量が多すぎて、判断に時間がかかるんだな……今度からは、由佳里に食べ物屋のことを聞くときは、もうちょっと考えて聞くことにしよう。とはいえ、別に急ぐでもなし。由佳里が食べたいものを決めるまで、しばらく待つのもいいだろう。
悠「あっ、でも、あんまり高いものは勘弁してくれよ?」
由佳里「うう~ん」
悠「聞こえてるといいんだが……あっ?」
風太郎「ん?」
雷太郎「ん?」
悠「よう」
風太郎「店も放置して」
雷太郎「女に現を抜かしてるとは」
風&雷太郎「「いい御身分だな」」
悠「誤解招くいい方やめれ。お前らこそ何してんだよ」
風太郎「どこが戦いやすいか」
雷太郎「調べてるところだ」
悠「……あー、お前らも出るんね乱取り」
風太郎「公的に人を殴れる」
雷太郎「しかも金になる」
風&雷太郎「「出ないわけがない」」
悠「さよか……」
と、そんなわけでおれは由佳里に案内を頼んで、学園内をうろうろしているわけだ。目的は、いざ襲われた時に、上手にその場を切り抜けられる抜け道を覚えること、だ。
悠「しかし、記憶力がいいとは思ってたけど、本当に詳しいな、由佳里」
由佳里「えへへ。みんな一度は歩いたことがある道ですからあ」
いや、歩けば覚えられるってもんでもないだろ。そう突っ込みたくなるが、由佳里にとっては一度歩いた道はけっして忘れないものらしい。
悠「でもそんなにあちこち歩くのはどうしてだ?普通、人間の普段歩く道なんて決まってるだろうに」
由佳里「ああ、それは光姫様のお伴で学園中歩いてるからですね」
悠「学園中?前にいってたみたいに、悪い奴らをこらしめるため、とか?」
由佳里「いえいえ、それはついでっていうか……。もともとは光姫様が将軍様にお願いされていたお仕事だそうで」
悠「将軍様って……吉彦さんのことか」
由佳里「はい。学園をめぐって、詳細な地図を造るのと一緒に、学園誌の編纂をしなさいって」
悠「なるほど、それで学内漫遊ね……」
由佳里「すごく立派なお仕事ですよねえ」
うっとりした顔で由佳里がいった。
悠「……」
由佳里「わたしはなんの役にも立てませんけど、そんな立派なお仕事のお伴をおおせつかっているだけでも幸せ者ですぅ~」
悠「役に立ってるんじゃないかな」
由佳里「え?またまたあ。わたしなんかが、光姫様のお役にたてるなんて……」
真赤になってうろたえる由佳里。きっと本気でそう思っているんだろうなあ。
悠「その記憶力。だって、ほとんどは一度しか歩いたことのない道なんだろ?それを全部覚えてる……」
由佳里「そんなの。普通じゃないですかあ」
悠「いやいやいや、普通じゃない。普通じゃないって。光姫さんに聞いたわけじゃないけど、ぜったい役に立っているよ。それ以前に、あまおれの役に立ってるしな」
由佳里「そ、そっかあ……。わたし、お役に立ってるのかな……そっかあ……ふふ、ふふふ」
にまにまと笑いだす由佳里。ちょ、ちょっと変だぞ。
悠「おかげで、だいたいわかってきたよ。これで勝てないまでも、なんとか生き延びられそうだよ。お礼になにかおごるよ。この辺にいい店はないかな?」
由佳里「ありますあります!たくさんありますよー。悠さんは和洋中、どれがお好みですかぁ?」
悠「由佳里の好きなのでいいよ」
由佳里「ええええっ、わたしの好きなのですか?うう、迷っちゃうなああ」
悠「いや、そんな悶えなくても…………もう聞いてないし」
由佳里「はあん、どうしようどうしよう。和食も好きだし、洋食屋さんは近くに四件あるし……中華は……」
しまったな。情報量が多すぎて、判断に時間がかかるんだな……今度からは、由佳里に食べ物屋のことを聞くときは、もうちょっと考えて聞くことにしよう。とはいえ、別に急ぐでもなし。由佳里が食べたいものを決めるまで、しばらく待つのもいいだろう。
悠「あっ、でも、あんまり高いものは勘弁してくれよ?」
由佳里「うう~ん」
悠「聞こえてるといいんだが……あっ?」
風太郎「ん?」
雷太郎「ん?」
悠「よう」
風太郎「店も放置して」
雷太郎「女に現を抜かしてるとは」
風&雷太郎「「いい御身分だな」」
悠「誤解招くいい方やめれ。お前らこそ何してんだよ」
風太郎「どこが戦いやすいか」
雷太郎「調べてるところだ」
悠「……あー、お前らも出るんね乱取り」
風太郎「公的に人を殴れる」
雷太郎「しかも金になる」
風&雷太郎「「出ないわけがない」」
悠「さよか……」