ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー大江戸学園:街中ー
由佳里「この<白宿通り>は<赤目街道>との交差点の先で行き止まりになってるんですよ」
悠「ほむほむ」
おれは先に立って歩く由佳里のあとをついていきながら、周囲の風景を頭に叩き込んでいた。
由佳里「行き止まりになる前に、<白宿はずれ商店街>と<赤白小路>に枝道が出ていますから……」
悠「すまん、もうちょっとゆっくり頼む。覚えきれん」
由佳里「そうですかあ?じゃあもう一回やりますねえ。<白宿通り>は<赤目街道>の交差点の先で……」
おれは由佳里に頼んで、学園のあちこちを案内してもらっていた。観光、というわけじゃない。そうだったらどんなによかったことか。
悠「はあ……」
由佳里「どうしました?疲れちゃいました?」
悠「あ、いや。何でも無いよ。続けよう」
由佳里「はあい」
由佳里はうなずいて道案内を再開した。場合によっては、この道案内がおれの生死にかかわりかねない。まあ、本当に死ぬことはない……はずだけど。そもそも話しはちょっと前に遡る。
~~
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
光姫「そういえば、恒例行事の乱取り、お主も参加するようじゃな」
いつものように由佳里と共にウチの店にお茶を飲みにきた光姫さんがいった。おれがぼやいてるのを聞きつけたらしい。
悠「ええ……どういうわけか……」
光姫「しばらく賑やかになるのう、学内も」
悠「広い学園が舞台、闇討ちし放題……これは武士道ととしてどうなんすか」
光姫「実戦での実力が試されて良いではないか。これぞ真の乱取りじゃな」
刀振り回して切りあう実戦なんて、あるとは思えな……くもないな。
吉音「あははっ。腕がなるねぇ、悠!」
悠「気楽だなお前は。おれはめいいっぱい不安だよ。いきなり襲われても、どっちへ逃げたらいいかわからないんだぞ」
吉音「最初から逃げる気満々なんてダメだめ!もっと気合でいかなきゃ!」
悠「はあー」
確かに吉音は腕が立つが、おれは正直言ってそれほどじゃあない。乱取りが始まった後のことを思うと、気が滅入ってくるよ。
光姫「ふむ。確かに、戦場を自ら選べれば戦いはぐっと楽になるじゃろうな。よければ力を貸してやろうか」
悠「ほんとですか?」
光姫「といっても、まだ学内の土地勘がほとんどないおぬしに、それを覚えてもらう、という程度だがな。どうだ?」
悠「それ役に立ちます!助かりますよ、お願いします!」
光姫「うむ。ではわし自身はそやつと話しがあるゆえ、由佳里でも銀次でも好きな方を連れていくといい。」
吉音「え、あたし?」
光姫「そうじゃ。ちと相談がな。で、どうする悠」
悠「どうするって決まってるでしょ!」
銀次「我輩か。当然の選択だな」
悠「違うっ!っか、どっから現れた!あんたは選ばんっ、絶対選ばん!」
銀次「ちぇ、なんでえ。つまらねえな。せっかく悠の字とふたりしっぽりと……」
悠「ひぃ、腰に手をまわすな!」
光姫「やめんか、気色悪い」
光姫さんが顔をしかめてしっしと銀次を追い払う。銀次は肩をすくめて、またふいと居なくなってしまった。
悠「正面から腰を抱いてくるとは……恐るべし……」
光姫「では、決まりだな。ハチ」
由佳里「は、はひっ。なんれふか?」
両手に大福を持った由佳里がはじめておれたちの存在に気づいたみたいな顔をした。
由佳里「この<白宿通り>は<赤目街道>との交差点の先で行き止まりになってるんですよ」
悠「ほむほむ」
おれは先に立って歩く由佳里のあとをついていきながら、周囲の風景を頭に叩き込んでいた。
由佳里「行き止まりになる前に、<白宿はずれ商店街>と<赤白小路>に枝道が出ていますから……」
悠「すまん、もうちょっとゆっくり頼む。覚えきれん」
由佳里「そうですかあ?じゃあもう一回やりますねえ。<白宿通り>は<赤目街道>の交差点の先で……」
おれは由佳里に頼んで、学園のあちこちを案内してもらっていた。観光、というわけじゃない。そうだったらどんなによかったことか。
悠「はあ……」
由佳里「どうしました?疲れちゃいました?」
悠「あ、いや。何でも無いよ。続けよう」
由佳里「はあい」
由佳里はうなずいて道案内を再開した。場合によっては、この道案内がおれの生死にかかわりかねない。まあ、本当に死ぬことはない……はずだけど。そもそも話しはちょっと前に遡る。
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ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
光姫「そういえば、恒例行事の乱取り、お主も参加するようじゃな」
いつものように由佳里と共にウチの店にお茶を飲みにきた光姫さんがいった。おれがぼやいてるのを聞きつけたらしい。
悠「ええ……どういうわけか……」
光姫「しばらく賑やかになるのう、学内も」
悠「広い学園が舞台、闇討ちし放題……これは武士道ととしてどうなんすか」
光姫「実戦での実力が試されて良いではないか。これぞ真の乱取りじゃな」
刀振り回して切りあう実戦なんて、あるとは思えな……くもないな。
吉音「あははっ。腕がなるねぇ、悠!」
悠「気楽だなお前は。おれはめいいっぱい不安だよ。いきなり襲われても、どっちへ逃げたらいいかわからないんだぞ」
吉音「最初から逃げる気満々なんてダメだめ!もっと気合でいかなきゃ!」
悠「はあー」
確かに吉音は腕が立つが、おれは正直言ってそれほどじゃあない。乱取りが始まった後のことを思うと、気が滅入ってくるよ。
光姫「ふむ。確かに、戦場を自ら選べれば戦いはぐっと楽になるじゃろうな。よければ力を貸してやろうか」
悠「ほんとですか?」
光姫「といっても、まだ学内の土地勘がほとんどないおぬしに、それを覚えてもらう、という程度だがな。どうだ?」
悠「それ役に立ちます!助かりますよ、お願いします!」
光姫「うむ。ではわし自身はそやつと話しがあるゆえ、由佳里でも銀次でも好きな方を連れていくといい。」
吉音「え、あたし?」
光姫「そうじゃ。ちと相談がな。で、どうする悠」
悠「どうするって決まってるでしょ!」
銀次「我輩か。当然の選択だな」
悠「違うっ!っか、どっから現れた!あんたは選ばんっ、絶対選ばん!」
銀次「ちぇ、なんでえ。つまらねえな。せっかく悠の字とふたりしっぽりと……」
悠「ひぃ、腰に手をまわすな!」
光姫「やめんか、気色悪い」
光姫さんが顔をしかめてしっしと銀次を追い払う。銀次は肩をすくめて、またふいと居なくなってしまった。
悠「正面から腰を抱いてくるとは……恐るべし……」
光姫「では、決まりだな。ハチ」
由佳里「は、はひっ。なんれふか?」
両手に大福を持った由佳里がはじめておれたちの存在に気づいたみたいな顔をした。