ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】

ーとある長屋街ー

輝「ん?あれ?」

突然、真っ暗になったファインダーから訝しげに眼を離す輝。

悠「…………よう」

輝「ゆ、悠ちゃん!?なんで?こんなところでなにしてんのさ?」

悠「それはこっちのセリフだ」

輝「え、えーと撮影中に?足が滑ってころんじゃった。てへ」

悠「うそつけ!最初から自分で這いつくばってただろ!」

輝「悠ちゃんの目の錯覚さー」

あくまでシラを切るつもりか……

悠「ぱんちら盗撮写真が出回ってるのはもう割れてるんだ」

輝「へ、へー……悪い奴もいたもんだね」

悠「お前が撮ったのは解ってんだよ!」

輝「ふ、ふふ……ふふふふふ……バレちゃあしょうがない!ああ、そうさ!あの写真を撮ったのはこの輝さんさ!」

吉音「あ、開き直った」

輝「でもしょうがないじゃないさ!新ちゃんのぱんつは売れるんだよ!売れるぱんつ写真を売って何が悪いのさ!」

悠「悪い!!っか五行前、自分でも悪い奴もいたもんだっていってただろ!」

輝「そもそも新ちゃんがあんなエロいぱんつはいちゃってるのが悪いのさ!」

吉音「え、ええー……」

さすがの吉音もそれは引くわ。

輝「あんなぱんつを、独占するなんて悠ちゃんの方こそ市場原理を踏みにじる悪行さ!ぱんつを!ぱんつを独占するな!パンツは撮られたがってる!みられて輝くぱんつだって、あるんだ!!」

想「言いたいことはそれだけですか?」

輝「あれ、お奉行まで?なんで?」

想「今の自供を録音させてもらいました。私は正直者は好きですよ」

逃れられぬ証拠。

輝「じゃあ……見逃して、くれるかな~?」

想「だめです。ひっとらえなさい!!」

輝「あ、あ~れ~~~~」

吉音「一件落着、なのかな?」

悠「ああ、そうだな」

縄をかけられ連行される輝。二時間サスペンスのエンディングテーマが似合う光景だ。

吉音「いやな、事件だったね」

悠「いやもう……ほんと」

疲れる事件だった……

そして――

輝「おーろーせー」

声は上空から聞こえる。

悠「……」

輝「おーろーしーてーくーだーさーいー」

高さ三メートルのあたりからぶら下がった輝からだ。木に吊された彼女の首には「撮影ご自由に」の札が下がっている。むろん、ぱんつは下から丸見えである。通行人達の携帯カメラの撮影音が聞こえたり聞こえなかったり。

通行人「なんだアレ」

通行人B「撮っとこうぜ」

輝「こらー!ただで撮るなー!そこ!そこの缶にお代入れてけー!」

悠「……」

叫べど暴れど縄は緩まず。

輝「こーのーーーー!」

暴れてぐるぐると回転する様を動画で撮っている者も。

悠「……」

輝「あー、でも……これももしかして……瓦版の記事になるかもー。本紙記者は見た!官憲の横暴!本紙記者はいかに報道の自由を潰されたか!」

報道じゃない、というのは置いといて……どこまでも鋼鉄の神経をした輝なのであった。
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