ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】

ーとある長屋街ー

悠「ったく……蹴ることないじゃないか」

手掛かりは0だった。まああそこは口より足の方が早い。あとは誰に聞く?シオンはわざわざ撮影なんかしないだろう。むしろぱんつ自体を持っていきかねない……。あとの心当たりは……あいつか。



~捜索中~



朱金「なんだあ?悠じゃねえか」

真留「こんにちは」

真留もいっしょみたいだ。

悠「ほんと、さがしたよ……」

ふらふらしてて何所にいるのかぜんぜん解らなかった。

朱金「その顔はなんかあるって顔だな?いいぜ、今はちょうど退屈してたところだ」

真留「さらっと嘘つかないでください!まだ書類仕事がのこってますよ!」

相変わらずみたいだ。

悠「悪いな、真留。こっちの用事はすぐ済むから……ちょっと、これを見てくれ」

そういって、おれは携帯をとりだして朱金に渡す。

朱金「ほう、どれだい。見せてみな」

受け取った朱金の目が、すっと険しくなる。

悠「……」

朱金「おい、真留」

真留「なんですか、もう……」

朱金「今朝お前がいってた件な、好きにしていいぞ」

真留「ほ、本当ですか!?やったあ!じゃ、じゃあ今すぐ行ってきますね!」

真留はすたっと立ち上がり、あっという間に駆け去ってしまった。

悠「どうかしたのか?」

朱金「なあに、今朝から備品切れてて買いたい買いたいってうるさかったからな。人払いついでにさ」

悠「!?」

人払い……真留にも隠さなきゃいけないことがこの事件に!?

朱金「で、悠よ」

悠「……なんだ?」

朱金「こいつぁ、いくらだ?」

悠「あー?」

朱金「いくらで売るかって聞いてるんだよ」

悠「あの……話しが見えないんでせうけど?」

朱金「はあ?見えねえのはこっちだよ。ははあん?ふっかけようってんだな?まあ、気持ちは分からなくもねえ」

悠「……」

ええと、もしかしてこの人……

朱金「オレはあんまりめんどくさい駆け引きは苦手だからな。言い値でいいぜ。こいつにはそれだけの価値がある!この隠し撮り写真、いくらで売ってくれるんだ?」

悠「売りもんじゃねぇぇ!!!」

朱金「え?違うのか?」

悠「おれは盗撮事件を調査してるんだよ!!」

朱金「なーんだ。そっか。へー。そりゃすごいねー」

明らかにやる気がなくなる朱金。

悠「なんでそんなやる気がないんだよ」

朱金「そんなの奉行所の仕事だろうが」

悠「あんたお奉行だろうがっ!!」

朱金「大声でいうなよそんなことを」

悠「あーもー、まったく……っか、なんだよ。」

朱金は自分の携帯を取り出しておれに押し付けてくる。

朱金「移せ。そのデータ」

悠「なんでだよ!」

朱金「いちおー調べてやる。だから証拠証拠」

悠「じゃあおれの目を見ていってくれよ」

朱金「えー?オレが信じられないわけー?絶対個人的趣味じゃないからさー」

悠「嘘だっ!!」

朱金「ったく、うるせーな!奉行命令だ!よこしやがれ!」

自分で大声でいっちゃってるよこの人!とはいえ、証拠品ではあるわけで。
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