ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

新しい客「けど、この店ってこんな美味い茶を出す店だったけか?」

悠「たぶん来られたのは以前の店主の時じゃないですか?」

新しい客「ん?同じ場所の違う店ってことか? 」

悠「そゆこと」

新しい客「そうか!どうりで見覚えない顔だと思ったぜ。で、名前はなんていうんだ?」

悠「小鳥遊悠だ。わけありでここに店をひらいたんだ。」

新しい客「なるほど、しかしいい店が出来た。これからもちょくちょく寄らして貰うぜ」

悠「そりゃ、嬉しいな。えと?」

金「あ、オレのことは金さんて呼んでくれ。遊び人の金さん」

悠「遊び人?」

金「ああ、みんなそう呼ぶぜ。ごちそうさん。いくらだ?」

悠「三百円になります」

金「あの味で三百円か、安いな…あり?」

悠「どうしました?」

金「金が、足りん…」

悠「はぁ…」

やっぱり、とか思ってしまってるおれがいる。

金「おかしいな、ないわけないんだが…」

悠「しゃあないな、今回は…」

金「あっ!」

悠「あー?」

金さんの視線はおれを飛び越えていた。
振り返るとそこには小柄な少女がきょろきょろしながらあるいていた。

金「真留(まる)!こっちだ!」

真留「あ!探しましたよっ!とおや……いや、えっと、金さん!」

金「真留、ちょうどいいところに来た。ちょっとばっかし金を貸してくんねぇか」

真留「え?」

金「いや、茶を頼んだんだが財布に金が入ってなくてさ」

真留「は?」

金「だって代金を払ってやらないと、店が困るだろ?なぁ、悠?」

悠「え、まぁ、払ってもらえるなら誰の金でも、こっちは関係ないけど」

真留「ええ~!?」

金「三百円だってよ」

真留「な、なんで私が?」

金「後で返すからよ」

真留「そんなこといって、昨日の300円も、おとついの500円もまだ返してもらってませんよ」

金「小さいことを覚えてる奴だなぁ。だから背も伸びないんだよ、お前は」

真留「身長は関係ありません!」

悠「えっと…」

真留「はい。三百円ですね」

悠「どうもありがとうございます」

真留「これからこの人には最初にお金を持っているか確かめてからお茶を出してくださいね」

金「なんだよそれ」

真留「文句はお金を返してもらってからききます」

金「ちぇ」

真留「そうだ、そんなことより!とおやま……金さんがサボっている間にまた新しい事件が起こってます!」

金「なに、どこだ!」

真留「もぉ!勝手に動かないで下さい!とりあえずいったん戻ってください」

金「わかった。わかった。そんじゃまたな、悠。ごちそうさん」

真留「失礼します。」


悠「またのお越しを」

はな「美人な人と可愛らしい子でしたね」

悠「だな。金さんは艶っぽいし、あの真留って子は子犬みたいで愛くるしいし」

はな「鼻の下のばさい」

悠「の、伸びてねぇし。」

新「ただいま~。あのね、あのね、パトロール中にね。」

悠「はいはい。お茶入れてやるから座って話なさい。」

はな「もう、新さんに甘すぎです!」
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