ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー女子寮長屋ー
今日も八百八町は日本晴れ。朝の長屋に響くゆったりとした蹄の音。
吉音「うーん、いい天気だなあ」
その視界に、見覚えのある小柄な姿が飛びこんでくる。
輝「あれれ、新ちゃんかい。なんともおはやいねえ」
吉音「ふはは、おはよう。なんだか天気がいいから早く出てきちゃったよ。そういうてるも、今朝はけっこうのんびりしてない?」
馬上からも気やすい挨拶で、すっと横に並ぶ。bこの瓦版屋の輝がゆっくりしているところはほとんど見たことなかった。
輝「なんにも事件がないからねぇ。つまんないこと書くくらいならおやすみさ」
吉音「えー、天気予報とか占いとか乗せようよ?」
輝「そーいうのは、他のつまんなーいメディアにまかせとけばいいのさ」
ふわり、と風が吹いた。ふと見上げた輝の頭上、空は晴れ渡り、パンツは輝いている。
吉音「どうかした?てる?」
輝の瞳に映る、日本晴れと、パンツ。あまりにナチュラルに視界に飛び込んできたため、一瞬認識が追いつかなかったのだ。
輝「んー、うん」
吉音「?」
しかし、そこからの手際はジャーナリストならではのものだった。電光石火の早業で取り出されたカメラは、ぱちりとシャッターを切り終えていた。
輝「いや、あんまりいい天気だったもんで」
吉音「あはは、そうだねー。今日もいい天気!だからー、今日も一日張れるでしょう、ってかいとこうよ。ね?」
嘘では無い。比良賀輝は、あまりにいい天気だったのでシャッターを切ったのだ。あまりに天気が良すぎてパンツを撮ってしまっただけ。
輝「知ってるかい?一流のジャーナリストの前には、事件の方から転がりこんでくるもんさー」
吉音「ふぅーん、そんなものなの?」
輝「まあ、気がつけば撮れちゃってる的なね」
吉音「ほほー」
そういえば、これまで吉音を撮った写真にもこんな感じでいくつかパンツが写っていたな、などと考える。
輝「……っ、こうしちゃいられねぇ!」
吉音「な、なになに?どうかしたの?」
輝「こんな儲けのチャンスに気付かなかったとは!輝さんもヤキがまわったもんだね!」
吉音「また何か発明でも思いついたの?」
輝「そんなことさ!悪いけど、今日はこれから一仕事さ!」
吉音「え、ええ……どこいくの、てるーーー?」
そんな吉音の声を背に、輝の脳細胞は新たなビジネスチャンスに沸き立っているのだった。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「……」
吉音「あいかわらずお客来ないね~」
悠「それはほっといてくれよ」
いつもの放課後。珍しく起きている吉音のいう通り、客はほとんどいない。……全く来ないわけじゃないぞ。一応。
吉音「目安箱も来ないし。あ~、たいくつ~」
悠「お前なぁ……」
そんな風にごろごろしていると、突然吉音ががばりと跳び起きる。
吉音「誰か来た!」
悠「わかるのか?」
耳を澄ますと……確かに外から誰かが走ってくる足音が聞こえてくる。
悠「誰だ?」
吉音「目安箱のお客さんかも!」
悠「いや、うちの茶屋の客だった」
吉音「それはないと思うけど」
悠「お前……」
言い返そうとしたところで、勢いよく扉が開く。
今日も八百八町は日本晴れ。朝の長屋に響くゆったりとした蹄の音。
吉音「うーん、いい天気だなあ」
その視界に、見覚えのある小柄な姿が飛びこんでくる。
輝「あれれ、新ちゃんかい。なんともおはやいねえ」
吉音「ふはは、おはよう。なんだか天気がいいから早く出てきちゃったよ。そういうてるも、今朝はけっこうのんびりしてない?」
馬上からも気やすい挨拶で、すっと横に並ぶ。bこの瓦版屋の輝がゆっくりしているところはほとんど見たことなかった。
輝「なんにも事件がないからねぇ。つまんないこと書くくらいならおやすみさ」
吉音「えー、天気予報とか占いとか乗せようよ?」
輝「そーいうのは、他のつまんなーいメディアにまかせとけばいいのさ」
ふわり、と風が吹いた。ふと見上げた輝の頭上、空は晴れ渡り、パンツは輝いている。
吉音「どうかした?てる?」
輝の瞳に映る、日本晴れと、パンツ。あまりにナチュラルに視界に飛び込んできたため、一瞬認識が追いつかなかったのだ。
輝「んー、うん」
吉音「?」
しかし、そこからの手際はジャーナリストならではのものだった。電光石火の早業で取り出されたカメラは、ぱちりとシャッターを切り終えていた。
輝「いや、あんまりいい天気だったもんで」
吉音「あはは、そうだねー。今日もいい天気!だからー、今日も一日張れるでしょう、ってかいとこうよ。ね?」
嘘では無い。比良賀輝は、あまりにいい天気だったのでシャッターを切ったのだ。あまりに天気が良すぎてパンツを撮ってしまっただけ。
輝「知ってるかい?一流のジャーナリストの前には、事件の方から転がりこんでくるもんさー」
吉音「ふぅーん、そんなものなの?」
輝「まあ、気がつけば撮れちゃってる的なね」
吉音「ほほー」
そういえば、これまで吉音を撮った写真にもこんな感じでいくつかパンツが写っていたな、などと考える。
輝「……っ、こうしちゃいられねぇ!」
吉音「な、なになに?どうかしたの?」
輝「こんな儲けのチャンスに気付かなかったとは!輝さんもヤキがまわったもんだね!」
吉音「また何か発明でも思いついたの?」
輝「そんなことさ!悪いけど、今日はこれから一仕事さ!」
吉音「え、ええ……どこいくの、てるーーー?」
そんな吉音の声を背に、輝の脳細胞は新たなビジネスチャンスに沸き立っているのだった。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「……」
吉音「あいかわらずお客来ないね~」
悠「それはほっといてくれよ」
いつもの放課後。珍しく起きている吉音のいう通り、客はほとんどいない。……全く来ないわけじゃないぞ。一応。
吉音「目安箱も来ないし。あ~、たいくつ~」
悠「お前なぁ……」
そんな風にごろごろしていると、突然吉音ががばりと跳び起きる。
吉音「誰か来た!」
悠「わかるのか?」
耳を澄ますと……確かに外から誰かが走ってくる足音が聞こえてくる。
悠「誰だ?」
吉音「目安箱のお客さんかも!」
悠「いや、うちの茶屋の客だった」
吉音「それはないと思うけど」
悠「お前……」
言い返そうとしたところで、勢いよく扉が開く。