ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【6】
ー表通りー
吉音「はぁ、だいぶ歩きまわったねえ」
由佳里「はい……おなかすいちゃいました」
悠「結局落とし物届け無し、か。すっかり遅くなってしまったな、今日はこの辺りにしておこうか」
可能性のありそうなところを一通り回ってはみたものの、結局手帳の落し物は届いていなかった。
吉音「続きは明日って事で」
由佳里「はあーい。じゃああたしはここで失礼します」
悠「今日はいろいろ教えてくれて助かったよ。ありがとう」
由佳里「い、いいえっ。お役に立てて、あたしこそ光栄ですっ。ありがとうございました!」
ぴょこんと頭を下げて帰っていく由佳里に手を振って、おれ達も小鳥遊堂に戻ることをした。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
翌日。
悠「おっ」
由佳里「おはようございますー」
悠「おはよ、早かったなあ。あれ……」
光姫「ハチから話し聞いてまかり越したぞ。難事件だそうだな」
吉音「あっ、ミッキー!ミッキーも手伝ってくれるの?犯人探し」
光姫「ミッキーいうなッ。……まあ興味を惹かれる事件ではあるからな。で、どうなのだ悠」
悠「どうといっても、まだこれからですねえ」
おれは昨日のことを光姫さんに話して聞かせた。
光姫「なるほど、まだ始まったばかり、ということだな。今日はどうする?」
悠「そうですねえ、基本に忠実に、手帳を手に入れたいもの、手に入れて得する者をあたってみようかと」
光姫「ふむ。堂鳩の競争相手や、学内の菓子好き……そんなところか?」
由佳里「でも、光姫様。堂鳩のお菓子のファンはたくさん、たっくさんいますよ?」
光姫「さもあろうなあ……」
悠「どうしようもなければ、総当たりでやってみるしかないですけどね。……これは意外と本当に難事件かな?」
吉音「はあ…………」
悠「なんだよ、溜息なんてついて。そりゃあ探索は大変そうだけど……」
吉音「もういっかい食べたい……」
悠「あー?」
吉音「昨日食べたお菓子。もう一回たべたいなぁ……」
由佳里「ほんとですねえええっ。『フワぽんぽん』、あれは本当においしかったですぅ」
光姫「そんなに美味であったか。その菓子は」
由佳里「はい、そりゃあもう。あの味は去年売りだした『フワさくコーン』とだいたい同じなんですが、食感が大きく変えてあって『パンキッド』や『ピューマン』もちょっと似てるんですけど、あの食感はゃっぱり独特なんですよ」
悠「ふ、ふぅん……」
お菓子の名前を次々言われても、さすがにぱっとは呑みこめない。茶屋の店主としては問題あるのかもしれないが、さすがに由佳里の菓子知識にかなう気がしない。
トビザル『き。き』
ぱりさくぱり。
悠「あー?」
トビザル『きっ』
吉音「……」
見ると、由佳里の剣魂、トビザルが自分のカバンからなにか取り出して食べている。なにか、お菓子だろうか。さすがは由佳里の剣魂。さっきから昨日のお菓子のことばかり話していた吉音もそれに気づいたらしい。
トビザル『きっ?』
トビザルは「欲しいの?」という仕草で、手にした薄い菓子を吉音に示して見せる。
吉音「え、くれるの?やった!はむっ。……ん」
ぱりぱりさくっ。トビザルが差し出した菓子にぱくつく吉音。その目が丸くなる。
吉音「はぁ、だいぶ歩きまわったねえ」
由佳里「はい……おなかすいちゃいました」
悠「結局落とし物届け無し、か。すっかり遅くなってしまったな、今日はこの辺りにしておこうか」
可能性のありそうなところを一通り回ってはみたものの、結局手帳の落し物は届いていなかった。
吉音「続きは明日って事で」
由佳里「はあーい。じゃああたしはここで失礼します」
悠「今日はいろいろ教えてくれて助かったよ。ありがとう」
由佳里「い、いいえっ。お役に立てて、あたしこそ光栄ですっ。ありがとうございました!」
ぴょこんと頭を下げて帰っていく由佳里に手を振って、おれ達も小鳥遊堂に戻ることをした。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
翌日。
悠「おっ」
由佳里「おはようございますー」
悠「おはよ、早かったなあ。あれ……」
光姫「ハチから話し聞いてまかり越したぞ。難事件だそうだな」
吉音「あっ、ミッキー!ミッキーも手伝ってくれるの?犯人探し」
光姫「ミッキーいうなッ。……まあ興味を惹かれる事件ではあるからな。で、どうなのだ悠」
悠「どうといっても、まだこれからですねえ」
おれは昨日のことを光姫さんに話して聞かせた。
光姫「なるほど、まだ始まったばかり、ということだな。今日はどうする?」
悠「そうですねえ、基本に忠実に、手帳を手に入れたいもの、手に入れて得する者をあたってみようかと」
光姫「ふむ。堂鳩の競争相手や、学内の菓子好き……そんなところか?」
由佳里「でも、光姫様。堂鳩のお菓子のファンはたくさん、たっくさんいますよ?」
光姫「さもあろうなあ……」
悠「どうしようもなければ、総当たりでやってみるしかないですけどね。……これは意外と本当に難事件かな?」
吉音「はあ…………」
悠「なんだよ、溜息なんてついて。そりゃあ探索は大変そうだけど……」
吉音「もういっかい食べたい……」
悠「あー?」
吉音「昨日食べたお菓子。もう一回たべたいなぁ……」
由佳里「ほんとですねえええっ。『フワぽんぽん』、あれは本当においしかったですぅ」
光姫「そんなに美味であったか。その菓子は」
由佳里「はい、そりゃあもう。あの味は去年売りだした『フワさくコーン』とだいたい同じなんですが、食感が大きく変えてあって『パンキッド』や『ピューマン』もちょっと似てるんですけど、あの食感はゃっぱり独特なんですよ」
悠「ふ、ふぅん……」
お菓子の名前を次々言われても、さすがにぱっとは呑みこめない。茶屋の店主としては問題あるのかもしれないが、さすがに由佳里の菓子知識にかなう気がしない。
トビザル『き。き』
ぱりさくぱり。
悠「あー?」
トビザル『きっ』
吉音「……」
見ると、由佳里の剣魂、トビザルが自分のカバンからなにか取り出して食べている。なにか、お菓子だろうか。さすがは由佳里の剣魂。さっきから昨日のお菓子のことばかり話していた吉音もそれに気づいたらしい。
トビザル『きっ?』
トビザルは「欲しいの?」という仕草で、手にした薄い菓子を吉音に示して見せる。
吉音「え、くれるの?やった!はむっ。……ん」
ぱりぱりさくっ。トビザルが差し出した菓子にぱくつく吉音。その目が丸くなる。