ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
ーかなうの養生所ー
かなう「どうしても喋れんというのか?」
不良生徒A「しゃ、喋ったら今度こそ殺されちまう……あ、あんたたちも黒部を返して、おとなしくしたほうがいいよ」
吉音「なにバカいってんの!町をいいようにしてる悪い奴なんでしょ!みんなでやっつければいいじゃない!」
不良生徒A「おめえは、親分の雇った用心棒のおっかなさを知らねえからそんなこというんだ!あいつは人じゃねえっ」
不良生徒B「しっ。黙ってろ!喋るな!」
悠「親分……」
かなう「用心棒ねえ……」
吉音「やっつけちゃおうよ!」
悠「そうもいかんだろ。こいつらが喋ってくれなきゃ、おれ達にはなんの証拠もないんだから」
吉音「ううー、だってぇ……」
かなう「なんにしてもまずは明日のことだ。こいつらの治療もしてやらにゃあいかんし、黒部もすぐには動かせん」
悠「ですね」
おれと吉音はケガ人たちの手当てを手伝って、その日は養生所をあとにした。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「新、手はもう大丈夫か?」
吉音「ん。まだちょっとひりひりするけどね、平気」
悠「そっか。よかった。んじゃ、ちょっとかなうさんのところに顔を出してみるか」
吉音「そうだねー。昨日の怪我人……なんていったっけ、ちょっと心配だし」
ーかなうの養生所ー
悠「あれ?ほかの連中は?」
養生所にやってきたおれたちを待っていたのは、かなうさんと、そして黒部のふたりだった。
かなう「夜が明ける前に出ていってしまった。よほどその親分てのがおっかないらしい。」
吉音「意気地無しねーー」
悠「誰もがお前みたいじゃないんだよ……。それにしても黒部は残ったんだな」
黒部「どうせ俺は戻れない……戻っても……」
悠「なるほど」
かなう「というわけだ。さっそく出かけるとしよう、今月の月番は……」
悠「北町ですね、朱金だ」
かなう「うん、遠山ならヤクザ者どもの扱いも心得ているだろう。適任だな」
黒部「あ……あんたたち、お奉行と知り合いなのか?」
悠「まぁ、知り合いっちゃぁ知り合い」
吉音「マブダチよー!」
……どこでそういう言葉を覚えてくるんだろうなあ、吉音は。あ、おれが原因か。しかしおれ達の様子に、黒部は多少安心したようだ。
黒部「あ、あんたたちなら……、こうして逃げてきたものの、奉行所何かあてになるものかと思っていたが……」
吉音「だいじょぶ!だいじょぶ!大船に乗ったつもりでまーかせて!」
黒部「……やっぱりだめかも……」
吉音「どーいう意味よーーっ!」
悠「まぁ、そう思うわな」
吉音「なにー!」
悠「さて、いいから、黒部」
黒部「ああ……」
おれたちは奉行所に出かけることにした。
ー人気のない通りー
だが、そう簡単には奉行所には行かせてもらえなさそうだ。養生所を出たおれ達を、大勢の男子生徒が待ち構えていた。むっとするほど剣吞な雰囲気があたりに立ちこめている。どうみても歓迎ムードじゃあない。
吉音「わあ、いっぱいいるね。ひいふうみい……ああ、動くと数えられないっ!」
ああ、こっちは呑気者だ。
かなう「何者だ……?と、問うまでもないか」
かなうさんもなんだか嬉しそうだぞ?うれしくないのはおれと……。
黒部「あわ……あわわ……」
すっかり怯えきっている黒部くらいだ。居並ぶ男たちのひとりが前に進み出た。
不良生徒E「そいつを渡してもらおうか」
かなう「嫌だと言ったら?」
かなうさんの返答に、男は笑った。
不良生徒E「後悔することになるぞ」
かなう「なぁるほど。では試してみるか」
不良生徒E「ばかめ。……やっちまえ!」
わっと襲いかかってくる男たち。
かなう「どうしても喋れんというのか?」
不良生徒A「しゃ、喋ったら今度こそ殺されちまう……あ、あんたたちも黒部を返して、おとなしくしたほうがいいよ」
吉音「なにバカいってんの!町をいいようにしてる悪い奴なんでしょ!みんなでやっつければいいじゃない!」
不良生徒A「おめえは、親分の雇った用心棒のおっかなさを知らねえからそんなこというんだ!あいつは人じゃねえっ」
不良生徒B「しっ。黙ってろ!喋るな!」
悠「親分……」
かなう「用心棒ねえ……」
吉音「やっつけちゃおうよ!」
悠「そうもいかんだろ。こいつらが喋ってくれなきゃ、おれ達にはなんの証拠もないんだから」
吉音「ううー、だってぇ……」
かなう「なんにしてもまずは明日のことだ。こいつらの治療もしてやらにゃあいかんし、黒部もすぐには動かせん」
悠「ですね」
おれと吉音はケガ人たちの手当てを手伝って、その日は養生所をあとにした。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「新、手はもう大丈夫か?」
吉音「ん。まだちょっとひりひりするけどね、平気」
悠「そっか。よかった。んじゃ、ちょっとかなうさんのところに顔を出してみるか」
吉音「そうだねー。昨日の怪我人……なんていったっけ、ちょっと心配だし」
ーかなうの養生所ー
悠「あれ?ほかの連中は?」
養生所にやってきたおれたちを待っていたのは、かなうさんと、そして黒部のふたりだった。
かなう「夜が明ける前に出ていってしまった。よほどその親分てのがおっかないらしい。」
吉音「意気地無しねーー」
悠「誰もがお前みたいじゃないんだよ……。それにしても黒部は残ったんだな」
黒部「どうせ俺は戻れない……戻っても……」
悠「なるほど」
かなう「というわけだ。さっそく出かけるとしよう、今月の月番は……」
悠「北町ですね、朱金だ」
かなう「うん、遠山ならヤクザ者どもの扱いも心得ているだろう。適任だな」
黒部「あ……あんたたち、お奉行と知り合いなのか?」
悠「まぁ、知り合いっちゃぁ知り合い」
吉音「マブダチよー!」
……どこでそういう言葉を覚えてくるんだろうなあ、吉音は。あ、おれが原因か。しかしおれ達の様子に、黒部は多少安心したようだ。
黒部「あ、あんたたちなら……、こうして逃げてきたものの、奉行所何かあてになるものかと思っていたが……」
吉音「だいじょぶ!だいじょぶ!大船に乗ったつもりでまーかせて!」
黒部「……やっぱりだめかも……」
吉音「どーいう意味よーーっ!」
悠「まぁ、そう思うわな」
吉音「なにー!」
悠「さて、いいから、黒部」
黒部「ああ……」
おれたちは奉行所に出かけることにした。
ー人気のない通りー
だが、そう簡単には奉行所には行かせてもらえなさそうだ。養生所を出たおれ達を、大勢の男子生徒が待ち構えていた。むっとするほど剣吞な雰囲気があたりに立ちこめている。どうみても歓迎ムードじゃあない。
吉音「わあ、いっぱいいるね。ひいふうみい……ああ、動くと数えられないっ!」
ああ、こっちは呑気者だ。
かなう「何者だ……?と、問うまでもないか」
かなうさんもなんだか嬉しそうだぞ?うれしくないのはおれと……。
黒部「あわ……あわわ……」
すっかり怯えきっている黒部くらいだ。居並ぶ男たちのひとりが前に進み出た。
不良生徒E「そいつを渡してもらおうか」
かなう「嫌だと言ったら?」
かなうさんの返答に、男は笑った。
不良生徒E「後悔することになるぞ」
かなう「なぁるほど。では試してみるか」
不良生徒E「ばかめ。……やっちまえ!」
わっと襲いかかってくる男たち。