ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
ー見玖亭ー
おれは肩をすくめながら、目的地のレストラン見玖亭を見上げて……自分の目を疑った。
悠「あー?これ……シャッター降りてるよな……」
往水「ええ、降りてますねぇ」
投書に書かれていた番地を頼りに辿りついたその店は、放課後の稼ぎ時にもかかわらず、店を開けていなかった。おれは一瞬、不良達が押し掛けてきて商売にならないので臨時休業しているのかと思ったけど、違った。
悠「……」
往水「小鳥遊さん、シャッターに貼ってある張り紙、見えます?」
悠「あー?張り紙……あ、あった……え?閉店…」
本日をもちまして閉店いたします。ご愛顧ありがとうございました、張り紙にはそう書いてあった。
吉音「悠っ、とにかく店長さんに会ってみようよ!」
悠「おう。そうだな」
往水「そいじゃ、裏口にまわってみましょうか。きっとまだ店に残って片づけている最中でしょうし」
吉音「うんっ」
~裏口に移動中~
悠「すいません」
吉音「あっ、いた!店長さんですよねっ?」
見玖亭の店主「すいません。店はもう閉店で……あれ、どこから……ああ、裏口か……開けっぱなしでしたね……」
吉音の呼びかけに答えた声は、力なくかすれていた。
悠「……」
見玖亭の店主「それで、わざわざ裏口から入ってきて、なんですか?見たところ、あいつらの仲間ではなさそうですが」
悠「おれは目安箱の投書を見てお話を訊きにきました、、小鳥遊といいます」
吉音「その用心棒ですっ」
見玖亭の店主「はぁ……すると、逢岡さまのおつかいの方ですか?」
悠「ええ、あ、こちらは逢岡さんの代理の同心です」
往水「おっと、アタシですか?」
悠「そうだよ」
おれは見物人を決め込もうとしていた中村の背中を押して、店主の前に立たせた。
往水「えぇ……南町同心、中村でございます」
見玖亭の店主「南町の……」
中村さんが十手を見せると、ようやく店主の顔に笑顔が浮かんでくる。……が、それもすぐに消えてしまった。
悠「……」
見玖亭「……せっかく来ていただいたのに、もう遅いんです。もう……うぅ……もう、ううぅっ……!」
話しているうちに気が緩んだからか、店主はいきなりぼろぼろと涙を零して泣きだしてしまった。
吉音「わっ、わわ!大丈夫ですかっ!?」
悠「とにかく話を聞かせてもらえませんか?遅いかどうかは、それから考えてみましょうよ。ねぇ」
見玖亭「うぅ……ううぅっ……」
おれと吉音の言葉にも、店主は肩を震わせて泣いているばかりだ。どうしたらいいのか取り乱しているおれと吉音の肩を、中村の手がぽんと叩いた。
往水「まっ、ここは落ち着くまで泣かせてあげましょうや。話しはそれからだって聞けるんですから」
悠「……そうだな」
中村とはおもえないほどまともな提案に、おれは自然とうなずいていた。
吉音「大丈夫ですか?落ち着きましたか?」
見玖亭の店主「はい、もう……見苦しいところをお見せしてしまいました。」
悠「いえ……それよりも投書に書いてあったことについて、お話をうかがってもかまいませんか?」
おれの問いかけに、店主は小さく首肯して話し始めた。
おれは肩をすくめながら、目的地のレストラン見玖亭を見上げて……自分の目を疑った。
悠「あー?これ……シャッター降りてるよな……」
往水「ええ、降りてますねぇ」
投書に書かれていた番地を頼りに辿りついたその店は、放課後の稼ぎ時にもかかわらず、店を開けていなかった。おれは一瞬、不良達が押し掛けてきて商売にならないので臨時休業しているのかと思ったけど、違った。
悠「……」
往水「小鳥遊さん、シャッターに貼ってある張り紙、見えます?」
悠「あー?張り紙……あ、あった……え?閉店…」
本日をもちまして閉店いたします。ご愛顧ありがとうございました、張り紙にはそう書いてあった。
吉音「悠っ、とにかく店長さんに会ってみようよ!」
悠「おう。そうだな」
往水「そいじゃ、裏口にまわってみましょうか。きっとまだ店に残って片づけている最中でしょうし」
吉音「うんっ」
~裏口に移動中~
悠「すいません」
吉音「あっ、いた!店長さんですよねっ?」
見玖亭の店主「すいません。店はもう閉店で……あれ、どこから……ああ、裏口か……開けっぱなしでしたね……」
吉音の呼びかけに答えた声は、力なくかすれていた。
悠「……」
見玖亭の店主「それで、わざわざ裏口から入ってきて、なんですか?見たところ、あいつらの仲間ではなさそうですが」
悠「おれは目安箱の投書を見てお話を訊きにきました、、小鳥遊といいます」
吉音「その用心棒ですっ」
見玖亭の店主「はぁ……すると、逢岡さまのおつかいの方ですか?」
悠「ええ、あ、こちらは逢岡さんの代理の同心です」
往水「おっと、アタシですか?」
悠「そうだよ」
おれは見物人を決め込もうとしていた中村の背中を押して、店主の前に立たせた。
往水「えぇ……南町同心、中村でございます」
見玖亭の店主「南町の……」
中村さんが十手を見せると、ようやく店主の顔に笑顔が浮かんでくる。……が、それもすぐに消えてしまった。
悠「……」
見玖亭「……せっかく来ていただいたのに、もう遅いんです。もう……うぅ……もう、ううぅっ……!」
話しているうちに気が緩んだからか、店主はいきなりぼろぼろと涙を零して泣きだしてしまった。
吉音「わっ、わわ!大丈夫ですかっ!?」
悠「とにかく話を聞かせてもらえませんか?遅いかどうかは、それから考えてみましょうよ。ねぇ」
見玖亭「うぅ……ううぅっ……」
おれと吉音の言葉にも、店主は肩を震わせて泣いているばかりだ。どうしたらいいのか取り乱しているおれと吉音の肩を、中村の手がぽんと叩いた。
往水「まっ、ここは落ち着くまで泣かせてあげましょうや。話しはそれからだって聞けるんですから」
悠「……そうだな」
中村とはおもえないほどまともな提案に、おれは自然とうなずいていた。
吉音「大丈夫ですか?落ち着きましたか?」
見玖亭の店主「はい、もう……見苦しいところをお見せしてしまいました。」
悠「いえ……それよりも投書に書いてあったことについて、お話をうかがってもかまいませんか?」
おれの問いかけに、店主は小さく首肯して話し始めた。