ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました

ー大江戸学園ー

南国「よし、素振り百回だ」

午後は教室を出て武道場で剣術の授業だった。
帰ろうとしたところ、新の担任教師である南国先生になぜか捕まり、おれも授業に参加していた。

剣の腕によってクラス分けがされていておれは初級クラスに混じっていた。
きちんとした制服の生徒にまじりいつもの格好のおれは浮いている。

ちなみに新は上級クラスに入っている。あの腕前なら当然だが。
初級クラスには帯刀を許されている剣徒はほとんどいない。

必然的に初級クラスは基礎の基礎をやらされることになる。実際、今も素振りを繰り返しているだけ。
その素振りも腰が入っておらず、見るからに弱々しい。
柏の鍛練なら既に十人は吊し上げられてるレベルだ。

男子生徒A「結構きついな」

隣で剣を振る男子はすでにあごがあがっている。

悠「腕だけで振るから辛くなるんだ。背中から肩までしっかり動かせ。それにあと半分だ。がんばれ。」

男子生徒A「お、おう」

周りを見回しても皆大体こんなもので、剣士と呼べそうなのはひとりもいない。

悠「学園で一番強い剣士って誰なんだろう?」

男子生徒B「学園には剣徒の中でも剣豪生って呼ばれるずば抜けて強いのがいるんだ」

悠「剣豪生?」

男子生徒B「あぁ、実際そういう身分があるわけじゃないんだけどな」

男子生徒A「あまりに強いんで、尊敬をこめてみんながそう呼んでるんだ。そう呼ばれる者は学園全土でも十人もいないけどな」

悠「へぇ、例えば?」

男子生徒B「そうだな、やっぱり学園二大剣士は特別だろうな。」

男子生徒A「だな。鬼島桃子(きしまももこ)と眠利シオン(ねむりしおん)の二人は外せない」

悠「そんなに強いのか、その二人は?」

男子生徒B「ああ、まったくタイプの違う剣豪生だけど甲乙つけがたい強さだぜ」

男子生徒A「問答無用のパワーを誇る豪腕の桃子に魔剣輪月殺法を振るうシオン。二人は永遠のライバルだな」

男子生徒B「以前勝負した時にはわずかの差で桃子が勝ったって話だが」

悠「へぇ…じゃあ鬼島桃子っていうのが学園一、最強の剣豪生ってことなのか?」

男子生徒A「いやいや。最強ってことになると話は別さ。学園最強の剣豪といえばもちろん…」

南国「よし、素振りやめ!」

悠「うん?」

先生の方へ顔を向けるといつの間にか見知らぬ少女が立っていた。
少女は左目に眼帯をかけていて、独特のオーラをまっっといた。

男子生徒A「おい、あれが学園最強の剣豪生、大江戸学園剣術指南役、柳宮十兵衛(やぎゅうじゅうべい)さ」

悠「あれが…」

南国「初級クラスの視察とは珍しいな、十兵衛」

十兵衛「ふふ、ちょっとした気まぐれです」

南国「まあいい、指南役として軽くみてやってくれ」

十兵衛「はい、わかりました。」
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